【往復書簡】アーカイブ(急行2号様)
福岡を中心に創作活動をしている急行2号さんとの往復書簡。作家と飲食店店主というそれぞれ別の視点から、「遊び」や「道具」など様々なとっかかりを手掛かりに、自己の成長や他者との関係性などについてやりとりをしています。まわりみちも多いですが、道中何かしらのヒントが見つかれば幸いです。
1通目(シモダ→急行2号)
そもそもサカナクション山口一郎さんのとあるインタビューを見たのが急行さんとの書簡を始めたきっかけだった。その動画で知った《浴びる遊び》や《探す遊び》について、渇くから探すみたいなことを書いた。自分にとってのオアシスが本屋なのは今だに変わらず。読んでも読んでも渇く。
2通目(シモダ←急行2号)
言葉で分類するのは簡単だけど、探しているのか浴びているのかの判断が悩ましい遊びはたくさんある。気分の問題なのかもしれない。こちらが投げた《渇く》というボールを受けて《乾かない》ことについてが書かれている。急行2号さんがお茶の間テレビの前でワッハッハと笑っている姿を想像するとなんだか和む。
3通目(シモダ→急行2号)
道具が便利であればあるほどに施行する隙間がなくなって浴びる遊びになりやすく、逆に不便であれば(それを補うために考えるので)探す遊びになりやすい。結局《道具》によって分類されるのではなく、それを扱う姿勢によって探す遊びと浴びる遊びに分類されるなんてことを書いた。読み返すと句読点が気持ち悪い。
4通目(シモダ←急行2号)
日常的に絵を描かれている方による《道具》選びの話。その裏側にある意図がわかって面白い。“自分が考えていることを言わずとも他人がそっくりそのまま言ってくれる、これほどラクなことはありませんね。人はこうして思考がにぶっていくのかもしれません。”と書いてあって、首を激しく縦に振った。
5通目(シモダ→急行2号)
《言葉》も道具のひとつだとして、その道具(言葉)をどのように扱うかについて。今もまだずっと考えている。そのぐらいに言葉は繊細で扱いがむずかしい。この時に触れた「卍」の意味は今だにわかってないし、きっとこの先も分かり合えない。
6通目(シモダ←急行2号)
急行さんによる《言葉》との向き合い方についてのお話。文字を視覚的に捉えていて、さすが作家さんと感じた記憶がある。絵のアイデアも語句も結局のところ《組み合わせ》の問題。自分が持ってるものの中で繋げていくしかないみたいなことが書かれている。今読んでもその通りだと思う。
7通目(シモダ→急行2号)
《道具》について考えていた時に京都で学生と話したのをきっかけに《時間》の話題に。道具を扱えば時間を短縮できる。言い換えれば使える時間を増やせる。あとは《意思疎通》について。こちらは効率の良い方法なんてなく、真っ正面から向き合わねばならないので時間がかかる、なんてことを書いた。これ以降しばらくは抽象画にハマっていた。あと寝坊して予定飛ばしたのを思い出した。
8通目(シモダ←急行2号)
時間の話から再び《探す遊び》に舞い戻ってきた。意思疎通に関しては自分が正確に伝えるよりも相手の発信を正確に受け取る方がむずかしいという話に。本当にそうだと思う。自分の発信は場数踏めば上達するけど、相手の気持ちはどこまでいってもわからない。わからないなりに考えるしかない。終盤では「青色の魔術師」と一部で称されていた急行2号さんによる《青色》の話について。これがこのやりとりの中で一番聞きたかったことなのかもしれない。
9通目(シモダ→急行2号)
引き続き時間との向き合い方について。“《時間をどう捻出するのか》を考える時間は、車の免許を取るのと一緒で、ずっと遠くへ早く行こうとする場合には必要な遠回りだと思います。” 一見立ち止まっているように見えて焦るかもしれないけど、そこに意図があれば立ち止まるのもまた必要な遠回り。いつまでにどこに行きたいかをしっかり持っておくのが大切なんだと思う。
10通目(シモダ←急行2号)
展示在廊中に言われた話をきっかけに「他者の内面も知らないことだらけ」と書かれていて、これもまた作家さんならではのきっかけだなと思った。人間の内面という「常に動いているもの」を知ることは本当に難しい。本当に。あと急行さんの好物を知りたい人は冒頭だけでもお読みください。
11通目(シモダ→急行2号)
《最短》について回りくどく書いているが、これも必要な遠回りだと思っている。カーナビの目的地設定とは違って、人生における最短を知るのはめちゃくちゃむずかしい。だからよくわからないまま効率に走ってしまうのだろうけど、目的地があやふやなで効率化だけを追いかけて、その先には一体何が……
12通目(シモダ←急行2号)
遠い未来の話と明日の話。人間を《生もの》と表現していたのが今更面白い。あとは急行さんの好きな言葉について書かれている。読み返すとこの時急行さんは待ち合わせに遅刻していて、こちらはグループ展に(文章寄稿で)出展していた。とある時期と立場が逆転していて、それもまた面白い。
13通目(シモダ→急行2号)
受けた質問に返す形で《無難》と《個性的》について。無難と個性的が対義関係にあるとして、じゃあ「個性的=難」なのか。その答えは今だにはっきりとは見つかってない。ただ一つ確実なのは今もまだ「個性的」なファッションを選ぶことが自分にとって「難」であるということのみ。またまた《探す遊び》と《浴びる遊び》の話が出てきて、初回から通底しているのを読み返して感じた。
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