とてもひさびさに、ひどく、ゆらぐ。
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とてもひさびさに、男に生まれてくればよかったなと思った。
小・中学生の頃、毎日のように男になりたいと思っていた。小学校3年生の頃から同じチームでサッカーをしてきたやつらが、急に身長が伸び、筋肉質になり、声が低くなっていく一方で、意図せずして”女性らしい”体型に近づいていく自分。当時は、毎日「男になりたいな〜」とぼんやり思っていたけれど、大人になるにつれてあんまりそう思わなくなったので不思議である。
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「下山田さんって胸オペしないんですか」
「引退したらホル注するんですか」
と、よく聞かれることがある。FTMだと思われることが多いのだが、自分自身「男になりたい」と思うことはあっても「自分は男だ」と思ったことはないし、「ヒゲが欲しい」「胸が煩わしい」と思うことはあっても「胸を取らないと精神的にキツイ」というところまで思ったことはなくて。
性自認がなんなのかと言われれば「男でも女でもない」という感覚が強いし、そこに何か名前をつけなければいけなのだとすれば「ノンバイナリー」という言葉が一番近いのだろうなと思うようにもなってきた。(まあ、一番近い表現は女子サッカー界の"メンズ"なんだけど)
男でも女でもないという感覚は、一般的には非常に中途半端にもうつるようだけれど、歳を追うごとに自分が何者であっても良いと思えるようになったのは周りの信頼できる人たちが「下山田は下山田だからね」と肯定してくれたからだと思う。
そうやって、男か女かではなく下山田は下山田であると言い続けてくれた周りの人たちの存在もあってか、いつの間にか「男になりたい」という気持ちは薄くなって見えなくなっていた。
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27歳、まわりの友達が続々と結婚をしていく歳だ。
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