演奏家としての存在価値(2)
指が回る(速く動く)こと自体は悪いことではないと思います。
大きい音が出せるということも、それ自体は悪くない。
ただ、クラシック音楽においてはこれらが致命的に音楽性を左右してしまうことがある。
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演奏する時は「心で感じる」ことが大前提としてあって、
頭で鳴らした音楽を体を使って演奏して、
演奏したものが自分の頭で鳴らしたものと同じだったかを耳で確認します。
ピアノを弾く時は、
自分が実際に歌ってみて、もしくは、頭で音楽を鳴らして、
それをそのままピアノを弾ければ最高だと私は考えています。
なぜなら、声という楽器だけが体の内部にあって他のどんな楽器よりも他人に気持ちを伝えやすいからです。
他のどの楽器も、その楽器自体の能力を考えると声よりも器用な楽器は存在しません。
簡単な例を出すと、
ピアノでドからレの音を出すとき、「ド」と「レ」の間には「ド♯」しかありませんが、
歌の場合は「ド」から「レ」の間の音程を「無限」に出すことができます。
答えは一人ひとり違うだろうけれど、その人の魅力を出すためには
「自分の声で語る」
ことができればこれ以上に素晴らしいことはないと思う。
自分が人間として成長していきつつ、そのままの自分を音楽に反映させる。それが一番自然だと私は考えています。
(続く)
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