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あまとみトレイル2泊3日②2日目30km
この日は朝4:30に起床。
今回のトレイルでは、気温にばっちりマッチした寝袋とエアマットを持ってきたので夜21:00から朝までぐっすり快眠することができた。
今シーズンは八ヶ岳や南アルプスでだいぶ実験的な装備でトライしていて、ターブにビビィ、FPマットにコアライナーだけで寝てみたけれど岩を直に感じたり、寒すぎてなかなか寝れなかったりで失敗したなぁと思いながら翌日寝不足で歩くことがあった。
1泊程度なら問題ないが、経験上寝不足やタンパク質不足の状態で何日か歩き続けると回復量が足らなくて疲労とダメージが蓄積する。5月にみちのく潮風トレイルを歩いた時には、それが原因でアキレス腱を痛めて東京に戻っても1週間程度治るのに時間がかかった。苦い思い出。
その分寝覚めが良いと、1日のスタートからすでに気持ち良い。体も全快したみたいだ。朝食に袋ラーメンとコーヒーをゆっくりいただいて、戸隠キャンプ場を後にした。
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そう、私ファンなんです。
気温が上がりきらない早朝には、レインスカートが活躍する。素材に使われているDCFは透湿性がなく、水を通さない特性がある。
そのため、シンプルにレインウェアとして使うこともできるし肌寒いシーンでは蒸らしてあっためる、みたいな使い方ができる。お腹、お尻、太ももといった大きい筋肉に対して雨風をシャットアウトすると体温が安定するので、多少天候が悪くても安心しながら行動できる。
何より、巻きつける、バックル外して剥がすだけなので脱いだり着たりがめっちゃ楽。靴を脱いでいちいちレインパンツに足を通さなくていいのは状況に応じてスピーディに行動したい人にとってはうってつけだと思う。
※レインパンツ履いたってどうせシューズは濡れるんだから…
黒姫山域を抜ける
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そんなことを考えているうちに、黒姫山域の入り口に到着。
ここから美しい樹林帯を歩く時間帯に入った。
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自然に還り、また自然の一部となっていく連鎖。
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森がハイカーのために道を塞がないでいてくれたんだろうか?
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古池に広がる花畑
少し歩くと、古池という開けたエリアに出る。
特になんてことのない開けた池なのだけど、野菊の花畑が広がっていて素敵なスポットだった。
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古池を過ぎたあたりから雨足が強くなって、本格的に降ってきた。
予報で見た台風14号の進路があまりにもえげつなかったので「そんな角度で台風曲がってこないだろ」とタカを括っていた。新潟・長野に来る頃には台風ではなく温帯低気圧に変わると聞いていたこともある。
結果的に予想は外れて、樹林帯に中に川ができるほどの雨になった。
最悪のケースに備えてしっかりとしたレインウェアは持ってきていたので、特に危険な状態になることもなくしっかりやり過ごすこともできた。備えあれば憂いなし。
この時間帯はあまりに雨が酷かったので、ほとんど写真は撮れなかった…
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森の緑が霧雨に滲み出ていくような光景。
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避難小屋とおじさん
スタートから4時間経とうととしていたころに氷沢避難小屋が現れた。お腹が空いてきたし、ずっと雨に打たれながら歩いてきたのでテンションも下がっていて、ここらでまとまった休憩を取ろうか?迷っているタイミングだった。
小屋に一人だけ、先客と思われるおじさんがいた。寝泊まりしていたのかな?と思える布団などを広げていて、くつろいでいる様子だった。昨晩からいたのか、早朝にここに着いたのか。なんとなく「あっ、人来ちゃったか」という心の声が聞こえたような気がしなくもない。
静かな避難小屋でゴソゴソ物音を立てるのがなんだか忍びなくて、大人の男の一人だけでいられる時間を邪魔してはいけないということにして、長いせずに早々に後にすることにした。
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そんなところ歩いちゃ危ないよ。
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万が一の緊急事態に安心して駆け込めるようにしてあるらしい。
笹ヶ峰セラピーロード
黒姫山域を抜けると笹ヶ峰ダムについた。そこからさらに1時間ほど歩くと、森林セラピーロードというボーナスステージが待っていた。
トレイルランニングでも有名なエリアらしくて、20~30名ぐらいのトレラングループとすれ違った際には「あまとみトレイルですか?僕らもなんですよ!」と爽やかに挨拶してくれた。
それもそのはず、ブナ、ミズナラ、カラマツ、ハルニレといった様々な樹林帯が広がっていて名前負けしないマイナスイオンっぷりに歩いてるだけで癒されるような素晴らしいエリアだった。
特にドイツトウヒの森はよかった。
日本でこんな景色が見れるだなんて!車でアクセスして、この辺りをハイキングするだけでも楽しめそうな満足感があった。初日のフォレストミュージアムを通りがかった時はどうしてもトイレが我慢できずスキップしてしまったので、この時はルートから外れて牧場を散策したり、樹林帯歩きを楽しんむことにした。
※というかグリーンハウスにたどり着くまでに小一時間ほど迷っただけなのだが…
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まるで海外みたいだった。
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留まりやすいのか、それともかたちが仲間っぽく見えてるんだろうか?
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映画の中に迷い込んだかのようなルートがずっと続く。
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どう見てもウ⚪︎コにしか見えない。
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なぜか約束のネバーランドの「ハウス」を思い出した。
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こいつのおかげでこのあと歩き切れたといっても過言じゃない。
苗名滝の滝に至るまで
ここからは下り基調になり、他のセクションと比べて整備がそこまで綺麗にされてはいなかった。
まず勾配が非常に急なため、ポールがないと体重を支えるのが難しく普通に下る分にも足を滑らせそうになる。加えて連日の雨で土が完全にぬかるんでいて、おそらく5~6回ぐらいは転んだだろうか。
初めは「こんなのどうやって転ばずに歩くんだよ!」と悪態をついていたが、数回転ぶともうすでに泥だらけだし変わらないしどうでもいいか、という気分になっていた。
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それもそのはず、この辺りから斜度がきつく滑落しそうな箇所が多かった。
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この霧をくぐると別世界のように天気が変わっていた。
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花言葉は「雰囲気のいい人」らしい。
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ぬかるみがひどく、斜面も急でどれだけ注意して下ったも何度も転んで泥まみれになった。
泥まみれになりながら苗名滝(なえなのたき)にようやく到着。
新潟県と長野県との県境、「関川」にかかる落差55メートルにも達する滝で、「日本の滝百選」にも選ばれているそうだ。実際目の当たりにすると他に99も同じぐらいすごい滝があるのか?と思うぐらい迫力がある。
柱状節理(ちゅうじょうせつり)といって、規則性ある割れ目を持つ地質構造で火山岩である玄武岩壁(げんぶがんへき)を削って生まれた滝らしい。
この日はあいにく雨でぼんやりとした岩壁しか見られなかったが、晴れていると絶景らしい。またいつか歩きにくる時には晴れを狙ってこようと思う。
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滝壺から砕けた水飛沫がこちらまで届いてきて、自然の途方もない迫力を感じた。
出典 : 新潟観光ナビ
杉野沢
この辺りからロード歩きが辛くて、なかなかスピードが出なかった。
あとすこし、あとすこし、を200回ぐらい唱え続けてやっとのことで温泉にたどり着く。
一日中靴とソックスに吸わせた雨水と泥がひどくて、施設のカーペットに少しだけ足跡が残ってしまった。シャワーで流してもなかなか泥が落ちず、何度も擦って落とすのに苦労した。
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アキレス腱が悲鳴を上げ始めていた。
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泥汚れと疲れがとれるまで、何度も湯船に浸かることができた。
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「冬になったらまた来なさい」と言ってくれた。
温泉にゆっくり浸かってリフレッシュできたら、暗闇の中を20分ほど歩いてchant!さんへ。
chant!さんはロングトレイル、スノーハイキングを快適に楽しむための道具を作るガレージブランドで、あまとみトレイルを歩くハイカーのために庭をテントサイトとして解放してくれている(要予約)。
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20時と着くのがだいぶ遅くなってしまったので、そそくさとシェルターを貼って食事を済ませ、明日に備えてシュラフに潜った。