「2023年度エコガーデナー養成講座」受講生レポート10月・水曜クラス
<10月クラスで学ぶこと>
記録的猛暑もようやく過ぎ去った10月。4月から始まった園藝学校も折り返し地点です。これまで、実習の場である下北沢エリアの歴史、エコガーデナーとして鍛えるべき見方考え方、園芸の道具や園芸をめぐる課題、実技篇・剪定に挑戦!など、さまざまな体験と学びを得てきました。後半もますます楽しみです。
今回の内容は、
プラス、「1週間にわたる合宿での樹木医研修」を終えたばかりのマメシバさんの臨場感あふれる体験シェアがありました。同じ興味や目的を持つ人たちと寝食を共にしての深い学び。その高揚感に触発されました。学ぶ&体験する=人生のワクワクですよね!
<1> 植物を知る=似た木の見分け方~どこを見るのか
◉ 見て触って観察しよう~3つの鉢は「クマツヅラ科、クスノキ科、ブナ科」
テーブルの上に木の枝葉が入ったガラス鉢3つ。「未知の植物に出会ったとき、どうやって当たりをつける?」「名前はわからなくてもいいから、大きなグループを知ることが必要」「どこを見ればいいか、実際に触って識別しよう」(先生)ということで、さっそく、みんなで見たり触ったり!
葉の色、形、匂い、手触り、硬さ、付き方、少しずつ違うなあ。葉のフチ、葉の裏、葉脈、枝の硬さ、それぞれ違います。でも全体の形が見えないと、植物名が出てこない。
◉クマツヅラ科を観察!~実のつく位置
🌿今回の3つの例題写真=どれがどの植物か名前を当ててみてください!🌿
🌿🌿答えは文末にあります🌿🌿
クマツヅラ科からは2つ「コムラサキ/ムラサキシキブ」
*コムラサキ
葉のフチは上部半分ほどがギザギザ(鋸歯)、実は葉柄の付け根から少し離れている、葉が対生で平面。
*ムラサキシキブ
葉の縁は全体にギザギザ、実は葉柄の付け根についている、葉は?十字対生?
似ていますよね。店頭ではコムラサキも「ムラサキシキブ」として販売されることが多いようです。伝えるときに確実なのは、学名で伝えることだそうです。
(コムラサキ=Callicarpa dichotoma /ムラサキシキブ=Callicarpa japonica)
◉クスノキ科を観察~謎のダニ部屋
クスノキ科からは3つ「クスノキ/ヤブニッケイ/シロダモ」。「葉脈が下から大きく3本に分かれている」のがこの科の特徴だそうです。たしかに葉脈がシンプル!葉裏が白いのがシロダモかな。粉白色で絹毛。
「クスノキとヤブニッケイは見分けがつきにくい。樹齢と樹勢が同じだと見た目がそっくりです」と先生。ではどうやって見分けるの?
ここでマメシバ先生が意外な単語を、、
「ダニ部屋があるのがクスノキです」ダニベヤ??ダニってあのダニですか?ダニが住むんですか?「葉脈と葉脈の間にポチッと出ているもの」がダニ部屋。とても小さく、探し出すのが大変でした。帰宅後、ネットでダニ部屋研究レポートいくつか読みました。なぜこの部屋があるのかの分析など興味深かったです。植物、おもしろい!
◉ブナ科を観察~鋸歯(キョシ)がポイント
ブナ科から3選手「シラカシ、ウラジロガシ、アラカシ」。身近な植物ですが、葉だけを見るとわからない。どれも葉がツヤツヤしていて、葉脈が緑色です。
見分け方のポイントは、葉の大きさと鋸歯(キョシ)=ギザギザ。葉のフチ全体がギザギザなのがシラカシとウラジロガシ、上半分だけなのがアラカシ。「葉で見分けるのが難しいものは、花が咲く初夏に見ておくのが良いですね」と先生。
◉「標本」を自分で作ろう
受講生がダニ部屋捜索に苦戦していたときに、マメシバさんが見せてくれたもの、それは先生が18年前に手作りしたという標本でした。スケッチブック3冊に50種類の植物の押し葉とイラスト、細部までの特徴が記されています。ダニ部屋の場所も理解できました。
私にはここまでできませんが、葉や花や枝を「よく見る」ことの大切さを感じると同時に、「見つめて見つける」こと自体にワクワクしました。散歩がさらに楽しくなりそうです。
<2>病害と虫害=線路街を歩く~今起きている病虫害を知る
◉病害虫害にもトレンド有り
私jinaは野菜づくりが趣味。貸農園の狭い区画でパズルのように畝を作り、いろんな野菜をつくっています。楽しくて畑も野菜も大好きです。ただ、有機(化学農薬不使用&消毒しない)のため、虫や病気との闘いが大変。植栽や樹木はどのようにするのか興味津々です。
病虫害にもトレンドあり。樹木では、昨今「トチノキヒメヨコバイ」や「モモヒメヨコバイ」の被害がひどいそうです。でもむやみに農薬を使いたくはない。農薬だ!消毒だ!となる前にできることはないのでしょうか。
「虫の行動バターンやライフサイクルを把握しておくことで、防除の対策を練ることができます」。出てくる時期、どの植物のどの部分をどのように加害するのかなどを知る。そして、卵の段階での駆除、剪定して風通しを良くするなど、植物や環境の安全への影響が少ない対応を考える。日頃から現場をよく見て、言葉を発しない植物の声を聞くことが大事ですね。私も心がけます!
◉下北線路街観察ウオーク
多彩な植物に出会えるシモキタ線路街。さあ、実習へ!病虫害を見ていきましょう。マメシバさんが指差したウメの樹、葉っぱが色褪せて元気がありません。葉の裏にはウワサの「モモヒメヨコバイ」がウロウロ。
見上げれば病気で先端が枯れているカツラが。さらに、キノコが生え幹の中が「腐朽」しているモミジも。街の景として、いつもサッと通り過ぎている樹木が、植栽が、つらそうです。私たちにもできること、何かあるでしょうか?
◉気づけることが役にたつ。今回の学びがそのきっかけになるように
「もともと日本にはいなかった虫の被害も増えています。いつもの公園で倒れかけている樹を見つけることもあります」
「気づいた人が“こういう被害を見た”など行政に連絡すれば、処置も早くなります。私たちが気づくことは、植物や環境の安全への大きな助けになるのです」。
いつもの散歩道、視点も変わってきますね。
植物の見方、見分け方から、身近にある虫の被害まで、今回もアタマとココロが満杯です。マメシバさん、受講生仲間、サポートスタッフのみなさん、ありがとうございました。
THANK YOU!
10月レポート担当>水曜クラス jina
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