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【新世代賞News】第7回新世代賞受賞作品発表:「人新世」をテーマに若い才能が輝く
新世代賞は、Design Stories、SHIMOKITA COLLEGE、小田急電鉄株式会社の3社が主催する、25歳以下の若いクリエーターを対象とした新人賞です。2023年に開催された第7回新世代賞は「人新世」をテーマとしています。
人新世とは、人類の活動が地球の地質や生態系に顕著な影響を与えるようになった現代の新たな地質時代を指します。そして、この言葉に込められた意味は広く、環境問題への警鐘や、未来への希望を託す言葉として使われています。
多様な作品が集まる中、厳正な審査会を通して選ばれた受賞作品5作品は、小田急線の車内広告として掲示され、小田急線利用者に新たな視点を提供しました。小田急線をご利用にならない方も、こちらで第7回新世代賞の受賞作品をご鑑賞いただければと思います。
最優秀賞
「或る道」(萩原貫太)
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受賞コメント:「よく外に出て、至る所に息づく生き物たちを追ってゆく中で作品を制作しています。今回の写真作品に登場する生き物はタヌキでしたが、私は彼らの周りに広がる円環の一部を切り取ったに過ぎません。土手という場所は、人間が治水のために設けたフィールドであり、大雨のたびに水没し、水がひくと更地となります。そういった代謝の激しい場に生きる彼らとのやりとりの中では、彼らと人間との関わりや共通点を意識せざるを得ません。これからも目に見えない関係性やそれらとの身体を通した対話を地道に続けてゆくつもりです。」
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優秀賞
「In every.」(玉城結羽)
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受賞コメント:「今回優秀賞をいただき、とても光栄に感じております。「人新世」というテーマに対面し、リサーチを進めていくにつれて、環境問題は身近にあり、ヒトの体内にまで既に影響を与えていることを知りました。環境汚染が、ありふれた構成分子となった未来に、地球、そしてヒトが、形を変えて生命をつなげていく様子をイメージしながら制作を進めていきました。制作を通して得た自身の視点を、大切に心の中に留めていきたいと思います。」
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審査員特別賞
「STARRY WILL」(Marskasei)
受賞コメント:「このたびは新世代賞審査員特別賞という輝かしい賞を頂戴し誠に光栄に思います。審査と選考のプロセスの中、サポートしていただいた方々に心から感謝を申し上げます。本作のアニメーションの制作には、「ひとりぼっちの人工衛星」という歌から着想を得ています。「役目を終えた|さよならをした|軌道をそれ さあ行こう 果て まで|さよなら 緑|さよなら 引力|さよなら 海 野 谷 山 丘|好きな 人|好きな 場所|好きな 星|つぎは 月|つぎは 火星|つぎは、、、無線が切れた|さよならをした|君の上で 今日まで 見て いた|静まれ 嵐|静まれ 暴力|静まれ 海 野 谷 山 丘」このような歌詞は私に平静をもたらし、宇宙に身を置くと、人類の微小さが明らかになります。世界のさまざまなの大都市の喧騒を離れ、ネガティブな感情とマイナスのエネルギーから遠ざかります。故に、「STARRY WILL」という作品を通じて、星様のように輝く意志を届くまでの旅を描きました。アニメーションの背景とした宇宙は瞑想の時の雰囲気とリンクさせ、そこから創り出した惑星には永劫の希望と安心、そして強い意志が存在してることを感じさせたいです。制作の現状にはまだ多くの課題がありますが、今回の受賞を励みに、制作を続けることのできる幸せを噛みしめつつ、これからもアニメの表現の枠を探りたいと思います。本当にありがとうございました。」
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観客賞
「人新生」(大谷理佳子)
受賞コメント:「人新生というテーマから、まだ見ぬ未来は私たち自身の手で作り上げていくのだという意志を映像と音楽を用いて表現しました。自分が明日の世界を変えるかもしれないとそれぞれが意識して生活することで、未来を本当に自分たちの手で変えていけることを伝えたいです。作品の中で一番大切にしていることは、言葉です。短い言葉で見てくれる人それぞれに意味を感じてもらい、また考えてもらうきっかけになるにはどの選択が良いか模索しながら制作しています。今後も作ることの楽しさを忘れずに、作品制作を続けていきたいです。」
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SHIMOKITA COLLEGE賞
「Wo(ndering if the world weren't made by)men」(CASA (Chisako and Arata Suzuki Association) 鈴木智沙子 / アラタスズキ)
受賞コメント:「私たちは、人類が2000年間かけて破壊してきた原風景を取り戻すべく、「あるべき地球の姿」の創作をテーマに活動を行っています。今回は女性にフォーカスし、ミソジニーでもフェミニズムでもない女性の姿を模索しました。文化によってこの問いへの答えは異なりますが、我々は日本人としてどのような社会や芸術を創っていくべきでしょうか?来年開催の展覧会では、地域ごとの自然の特性や文化の固有性にも着目し、より幅広い主題の作品を展示しますので、引き続きご刮目ください。」
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