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2024上半期読書

橘公司『デート・ア・ライブ』9~22、アンコール2~11
三島由紀夫『花ざかりの森・憂国』『女神』『美徳のよろめき』
雨宮和希『灰原くんの強くて青春ニューゲーム』1
トーマス・マン『ある幸福』
エマニュエル・レヴィナス『倫理と無限』
アサヒ『日本語が話せないロシア人美少女転入生が頼れるのは、多言語マスターの俺1人』
G・バタイユ『眼球譚』
左リュウ『放課後、ファミレスで、クラスのあの子と。』
真代屋秀晃『友達の後ろで君とこっそり手を繋ぐ。誰にも言えない恋をする。』1~3
衣笠彰梧『ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編』8~11
熊野純彦『レヴィナス入門』
四季大雅『わたしはあなたの涙になりたい』
紙城境介『シャーロック+アカデミー』1~3
桂嶋エイダ『ドスケベ催眠術師の子』2
二語十『探偵はもう、死んでいる』11
すかいふぁーむ『幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら疎遠だった幼馴染が怖い』
藍藤唯『完璧な俺の青春ラブコメ』
三上こた『親友歴五年、今さら君に惚れたなんて言えない。』
大泉貴『我がヒーローのための絶対悪』
中村智紀『埼玉県神統系譜』
紫ユウ『喋らない来栖さん、心の中はスキでいっぱい。』
椎田十三『いでおろーぐ!』2、3
川端康成『山の音』
道造『彼女でもない女の子が深夜二時に炒飯作りにくる話』
水鏡月 聖『僕らは「読み」を間違える』
猫又ぬこ『俺のクラスに若返った元嫁がいる』1、2
ヰ森奇恋『すまん! クラスで人気の文学少女がスカートを短くしたのはオレのせいだ』
眞田天佑『多元宇宙的青春の破れ、唯一の君がいる扉』
福山陽士『居残りすずめの縁結び あやかしたちの想い遺し、すずめの少女とお片付け』
野良うさぎ『幼馴染に陰で都合の良い男呼ばわりされた俺は、好意をリセットして普通に青春を送りたい』2
赤松中学『緋弾のアリアXLI 原罪の龍王』
北条新九郎『かみつら 1 ~島の禁忌を犯して恋をする、俺と彼女達の話~』
健速『六畳間の侵略者!? 45』
チェーホフ『かわいい女・犬を連れた奥さん』

計70冊。

既刊・新刊問わずTOP3!(順不同・ラノベに限る)

眞田天佑『多元宇宙的青春の破れ、唯一の君がいる扉

 難しいこと考えずに楽しめる”ライトノベル”! 変に本質ぶってつまんなくなるラブコメは、こういう優秀なエンタメ作品を見習うべき。
 いや、マジで全部が”ちょうどいい”。SFに対する距離感とか、キャラの描写量とか、ちょうどいい。不必要な「尖り」がない。ラノベの優等生。イラストもかわいいしね。自信を持って万人に勧められる作品です。2巻もあって、1巻よりはちょっと落ちるけど、でもやっぱり面白いです。おすすめです。

中村智紀『埼玉県神統系譜

 なんかラノベオタクの間ではまあまあ有名だったらしい。俺はついこの間知った。2015年刊行です。
 森見だのハルヒだのは置いといて、俺はこういう何気ない日常を淡々と描いていく作品が大好き! 最近だと『変人のサラダボウル』も近いことをやってる。なんでもない市井の生活をそのまま書いていくことで、いちばん人間らしい人間の姿を映す。でも変サラはちょっと「面白過ぎる(エンタメすぎる)」から、俺にはこれくらいがちょうどいいです。壮大な事件や出来事はむしろ邪魔なんだなあと再認識。こういう文章がいちばん心に馴染む。

野良うさぎ『幼馴染に陰で都合の良い男呼ばわりされた俺は、好意をリセットして普通に青春を送りたい』2

 人によっては星1の最低評価だったりするけど、俺にとっては魂の小説です。分かるけどね、ジェネリック綾小路清隆すぎるとか、文章が幼稚すぎるとか、評価低い人の言い分は分かるんだけど。

 ただ、僕は、この人の文章が幼稚というのは少し違うと思う。というのも、「青春リセット」は、現代の小説家の自然な日本語や一見上手に見える多重に修飾されたような文章を目指すには、あまりに本質に触れすぎていると思う。文章というものが小説家の理想を言葉として表象するにあたり、必要に応じて継ぎ足されていくものだとするならば、この作者にはもうこれ以上の言葉が必要ないのだ。人間存在のいちばん繊細な部分を描写するにはこれで十分なのであり、これ以上の修飾や視覚的な自然さは「過剰」なものとなってしまう。われわれの日本語という言語はどこまでも素直であり、また具体を記すのに適した簡素な言語だ。この頃言われる「文章力が高い」とは、僕にはたとえば当意即妙の比喩や、煌びやかな修飾語句の多寡によって決められているように思われる。けれどもそれらは本来、日本では古くから俳句や短歌といった詩歌の追い求める領分であり、小説のなかに上手な比喩がでてきて、それでもって上手な小説だというような評価を見ると、僕はなんだか嫌になってしまう。
 現代の、特にラノベにおいて、小説家の筆致がここまで鋭敏になることはほとんどない。大抵の作家は自らの感覚が読者に伝わらないことを恐れて、過度な言葉を書き連ねてしまう。自分の言いたいことを正確に伝えようとするあまり、話が長くなってしまう「おしゃべり」な文章なのだ。
 けれどこの作者には、それがない。氏はどこまでも寡黙だ。本人の意図するとしないとに関わらず、”これ”を”これ”と一言で指し示す言葉を的確に置くことができてしまう。だから本人もそれ以上”これ”について書こうと思っても、もはや書くことがないので止まってしまう。そういう文章が、現代の流麗な文章を読みなれた多くの人には「下手くそで」「稚拙な」文章に感じてしまうのだ。

 ただそれはそれとして、2巻はキャラの名前間違えすぎ! 三回くらい意味わからんところで意味わからんキャラの名前が出てきて混乱したわ! 寝ながら書いてんのか? ちゃんと推敲しろバカ。


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