【朗読時代小説】「小女郎狐」半七捕物帳/岡本綺堂作  朗読七味春五郎  発行元丸竹書房

■あらすじ
 今回の半七捕物帳は、半七老人が、昔役人にこっそりみせてもらった「御仕置例書」からの思い出話。新石下村で、五人の男が松いぶしで一度に殺される事件が起こる。関八州の目明かし、長次郎は、事件の裏に、おこよという美しい娘の自殺があるのではないかと捜査を開始するが……
 半七が出てこない回です。

■御仕置例書
 は、岡本綺堂の創作ではなく、御仕置例類集の事だそうで、江戸幕府評定所が、明和八年から嘉永五年までの刑事事件の先例をまとめたもので、民事事件は「裁許留」に記されているそうです。江戸町奉行では、罪状を御仕置裁許帳に逐次記録して奉行に提出していたそうです。

■登場人物
茂右衛門……新石下村庄屋
七助……猪番小屋の番人
佐兵衛、次郎右衛門、弥五郎、六右衛門、甚太夫、権十店……猪番小屋でいぶされる。
長次郎……常陸屋。八州廻りの目明かしで、古狸の異名をもつ。
宮坂市五郎……代官所の手つき
銀蔵……寺男
善吉……佐兵衛の兄。
お徳……善吉と、佐兵衛の妹。
おこよ……川で死んだ美しい娘。小女郎狐と関係をもっていたという。
お竹……おこよの妹
平左衛門……隣村の富裕な百姓。
平太郎……平左衛門の息子。おこよと結婚する話になっていた。



■用語集
目安書(めやすがき)……見やすくするために、箇条をたてて書いた文書。訴状のこともさす。
料簡(りょうけん)……考え。思慮。分別
譴責(けんせき)……叱りせめること
他見(たけん)……他の人が見ること。
後の月見……陰暦九月十三夜の月見
さりとて……そうかといって
傍杖(そばづえ)……とばっちり
眷属(けんぞく)……一族の者。または家来。配下の者。
八州廻り……関八州の治安維持のための、勘定奉行直属の幕府役人「関東取締出役」の別称
庫裡(くり)……仏教寺院の伽藍の一つ。僧侶の居住する場所、台所をかねる場合もある。
床几(しょうぎ)……横長の腰掛け
出来秋(できあき)……みのりの秋
作男(さくおとこ)……雇われて耕作する男
四つ……午後十時
糠星(ぬかぼし)……無数の星
実否(じっぴ)……本当か嘘か
水牢(みずろう)……水浸しにしたろうの中に、罪人をいれて苦しめるためのもの
発頭人(ほっとうにん)……張本人。先に立って物事を企てた人。
小腕(こがいな、こうで)……小さい腕。か弱い腕。または、肘より先の部分。
断案(だんあん)……最終的に決定された、考え、方法、態度
風説(ふうぜつ)……風評。うわさ。
人倫(じんりん)……人道。
罪跡(ざいせき)……犯罪の証拠。痕跡。
所払い……江戸時代の刑罰の一つで、居住する町村から追放し、立ち入りを禁止にする。


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