「質問」の話

よく聞かれる質問があります。
よく聞かれるのだから答えを用意しておけばいいのですが、毎回困ります。
「なぜこんなにお笑いを続けてこられたんですか?」
これ、すごくよく聞かれます。
なぜ困るのかというと、「続けてこられた」という感覚はないからです。
むしろ「辞めるべきタイミングを逃してまだ続けてる」が本人視点の感覚です。
この質問、難しいのが多くの場合、悪意がないんです。
プラスの意味で質問される方が多いです。
確かに「一つのことを続ける」こと自体は凄いのかもしれません。
ただ、尊敬にあたる部分が全くないというか。
質問された側は質問した側の意図にないところで勝手に傷ついてしまいます。
(良い結果が出てるわけではないのに)なぜこんなにお笑いを続けてこられたんですか?、に聞こえるからです。
というわけで今回はその質問に明確な答えを出すことで自分が何者であるかをはっきりさせようと思います。

お笑いを始めて最初10年くらい、コンビを組もうとしてました。
とにかくピンは嫌。
ピンを試しにやってみて、芸人仲間にめちゃくちゃ裏笑いされたのがトラウマで一年間芸人辞めて就職してました。
それくらいピンが嫌でした。
結果、14回解散しました。
10年やっていてもコンビが長続きしないので全く10年やった実感はなし。
さすがにコンビを諦めてピンになり、すぐR-1ぐらんぷりで三回戦に行きました。
コンビではM-1もキングオブコントも二回戦止まり。
それがピンで三回戦いけたのだから、とピンで続けることにしました。
やっとスタートラインに立った。
そんな気分でした。
三回戦に行けた翌年、「ネタ相談会」というのをやってました。
芸人数人でお互いのネタの案を相談する会でした。
その中にいた後輩の一人は毎回芸人全員にプリントを配ってました。
プリントには大喜利のお題が書いてあって、それに書き込んで下さいという「もうネタ相談会の域から出てるんじゃないか」という相談内容でしたが、特に疑問を持たずに毎回プリント大喜利を回答してました。
翌年のR-1ぐらんぷり、三回戦でその後輩と一緒になりました。
後輩がやったフリップネタは9割くらい、私の考えた大喜利の答えでした。
爆ウケ。
その日一番のウケ。
一方、私自身は下位に沈んだであろう程度のウケ。
自分で考えたボケに負けました。
後輩は準決勝で敗退しましたがその後、別の大会で優勝。
自分の考えたネタが自分の手を離れ、テレビのゴールデンでやってる大会で優勝。
複雑な気持ち。
ちなみにその大会、霜降り明星の粗品も出てました。
多分この先一生ないですが、私のネタが粗品に勝ちました。
その後数年、後輩の作家をやってました。
ある日、思い立って後輩に伝えました。
「自分のネタに集中したい」
作家では満足できませんでした。
芸人でいたかった。
芸人として、少しでも認められたかった。
この能力があるならもっと芸人として認められていいはず。
この思いがあるから今も続けている。
私はそういう者です。

という話を自慢みたいでなかなか自分では言い出しづらいのでnoteに書きました。
これ読んでも後輩たちビビらないでくれ(笑)
威圧感のない先輩のままでいたいので。

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