アンコンシャス・バイアス問題(清水勝彦研究室ブログ)

今度外相になった上川陽子氏は「女性ならではの視点生かす」とおっしゃり、9/10の日経では「学歴信仰は日本社会に今も根強い」と言い切る。「異次元の少子化対策」は女性にとって全く響かないという意見も聞く。この3つの共通点は「いつの間にかそう思い込んでいる」こと。

外相に選ばれたのは「川上陽子」としての能力を発揮することのはずである。韓流ドラマで有名なように日本の「学歴信仰」などはたかが知れているし、アメリカの方がはるかにそうである。女性が欲しいのはお金ではなく尊敬だというのもわかる。こうした例は思い込みに自分で気づくことの難しさを端的に表している(頭がいいといわれる人ほどそうである)。9/10の記事はなんとサイエンス欄にある。

行動経済学が人口に膾炙するに従って、日本でもアメリカでも「アンコンシャス・バイアス」がよく取り上げられるようになった。ダニエル・カーネマン教授が2002年にノーベル賞を取ったのは何十年にもわたるその業績が評価されたからであるが、いかにも「最新の研究」なんて言う人たちがいて驚く。さらに驚くのは「アンコンシャス」と堂々と言うこと。バイアスのほぼ100%は無意識だと思うので、みんな喜んで馬から落馬しているように見える。

「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクション」といったのはアインシュタイン。私も含め人はバイアスから逃れられないものであり、かつ自分では気づかない。だとすれば、唯一の方法は(自分と意見の違う)人の声に耳を傾けるしかないような気がする。アクティビストの無理難題も配偶者の小言も、まずは敬意をもって承ることが第一歩。難しいから成長するんです!と自分に言い聞かせる毎日。

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