地域・ローカルに必要なのは、ビジョンを描く力と3つのスキルという話
あえて、地域・ローカルと2つの言葉を並べたのは、言葉がもつ意味合いが違うと認識してるからです。
旅を広める会社として株式会社TABIPPOを立ち上げて10年が経ちましたが、元々は「世界一周」というロマンある一つのキーワードを原点として始まった僕らですが、いまでは日本国内の仕事が50%くらい、海外の仕事が50%くらいとなっています。コロナ前は海外の仕事が80%くらいでした。
そんな中で、世界各国だけではなく日本国内さまざまな地域・ローカルとか変わって仕事をするようになったのですが、プロデューサーとして仕事に関わる上で最近感じていることが2つあります。
それが、記事のタイトルにもなっている通り「地域やローカルという場にはビジョンを描く力が必要だ。」という話が1つ。
そしてもう1つは「地域やローカルの未来をつくるリーダーやプレイヤーには3つのスキルが必要」という話です。
具体的には、下記3つのスキルを指すのですが、まずは簡単にこの3つが必要なことを説明します。
地域で悩む若者たち
元々のスタートは、仕事で日本全国の地域を訪れながら、そこに住む若者たちの悩みを、生の声として聞いてきたことが1つ。そして、同時に地域の中心を担う大人たちが地域の若者に求めていることを聞いたことも大きかったなと思っています。
まず、大前提として地域には熱量が高い若者がたくさんいます。わざわざ移住をしてきて地域を盛り上げたいと感じていたり、大学や就職などで地域を離れていたけれども、Uターンしてきて地元への想いが強かったり。
日本の地域は、どこも人口減少や少子高齢化に伴う地域経済の衰退のダメージが大きく、どうにかしてこれからの未来を作っていかないといけません。そんな地域を盛り上げていきたいとは思いつつも、地域というのはあまりにも取り組む対象が大きくなってしまいます。
その時、若者がもつ熱量やエネルギーが正しく地域の課題や社会問題の解決、そして持続可能性という意味でのビジネスに結びついていかないのです。
それはなぜなのか?
シンプルに若者には「スキルが不足しているから」だと今は考えています。
地域に必要なスキルの考え方
では、地域にはどんなスキルが求められるのか?
この問いを深ぼって解像度を高めるために、かなり時間がかかってしまいました。
導き出されてた僕らの結論は「地域では、自分ひとりでなんでもこなして、何かを進めていくためにはなんでも地域の仲間と共創をしていく必要がある。」ということです。
まず
・なんでも自分ひとりでやる
・なんでも地域の仲間と共創をする
この2つは、ぜんぜん違うことを言っているように見えるのですが、同時にアンド思考で考えていくことが非常に大切であり、どちらも切り離せない考え方です。
地域には解決しないといけない課題はたくさんありますし、地域の中で地域の人が自分の実現したいこともたくさんあります。そして、その種類はとても多岐にわたります。
・観光客や移住者を増やしたい
・地域コミュニティを活性化させたい
・大きなイベントを開催したい
・地域に新しい事業を生み出したい
・自然環境を守りたい
・伝統的な文化を次世代に引き継いでいきたい
・関係人口を増やしたい
あくまで一例ではありますが、本当に多岐な課題の種類ですし、こんな仕事ができるようになるためには、何か1つだけのスペシャリストというよりはゼネラリスト的な思考でスキルを身に付けないといけないのです。
だからこそ、地域で学ぶべきスキルは「ポータブルスキル」と呼ばれるようなスキルであり、その中でも普遍的に現代社会の世界で必要とされてきたスキルのいくつかであると思っています。
そうして結論づけた3つが、記事の冒頭でも書いた3つのスキルです。あくまで、大きく分類をしてこの言葉を使っているので、かなり広義な意味合いとして3つのスキルを定義していると認識していただいて大丈夫だと思います。
コミュニティデザインは、関係を築く力です。
デザインという言葉にコミュニティという言葉をつけたのは、地域そのものがコミュニティであるからであり、地域活動のベースになるのは、地域に住む人との関係を築く力だと思っているからです。
また、地域外にいる観光客や移住検討者との関係性を作っていくプロセスもコミュニティデザインだと捉えています。関係人口とかもまさにですね。
プロジェクトマネジメントは、推進する力です。
なにかを実現して前進させるためには、推進する力が必要です。それがプロジェクトマネジメントです。このスキルには一定の手法論が存在しているため、一度しっかり学ぶことができれば、それをベースとしていろんな仕事に転用が聞きます。
また、地域でのプロジェクトは難易度が高いです。なぜなら、ビジネスの世界と違って、金銭的な報酬だけで仕事のやりとりができないからです。だからこそ、プロジェクトを導くための動機付けなどの非金銭的な報酬設計が必要です。ここで戸惑う若者も非常に多いですね。
マーケティングは、届ける力です。
最後のマーケティングは、自分たちがやっていることや伝えたいこと、そして地域が提供できる価値をそのまま正しく人に届ける行為の総称です。良いことをやっていても、誰にも届かなかったら価値を対価に変換することが出来ません。
僕は元々、デジタルの広告代理店出身だったのでよく分かるのですが、地域のマーケティングは非常に難易度が高いのです。なぜなら、リードタイムが非常に長いケースがほとんどであり、かつ最終的なゴールに対して関与度が高いからです。でも、だからこそ地域におけるマーケティングは面白いし、学び甲斐があると思っています
コミュニティデザイン、プロジェクトマネジメント、マーケティングの3つが地域に必要なスキルだと定義しましたが、よくよく考えてきたら、この3つは僕個人がキャリアの中で身に付けてきたことの中心でもあります。
だからこそ、TABIPPOが創業して10年たっても地域やそこに住む人に対して、価値を生み出し続けているのかもなと。この記事を書いて思いました。今度、記事を書いて深堀ってみたいと思います。
さて、最後に地域にビジョンが必要だという話をして、締めます。
地域にはビジョンを描く力があるか?
近年、いろんな地域やローカルの仕事に関わっていて、何をやるにも一番大切になってくるのはビジョンだなと改めて感じるようになりました。
このあたり、ビジョンの重要性については大好きなBIOTOPEさんが語っている素晴らしい記事がたくさんあるので、ぜひみてみてください。
じゃあ、すぐに地域でビジョンをつくればよいのでは?と思うかもしれないのですが、それが難しいのです。なぜなら、地域のリーダーは「地域さん」という特定の人というわけではないからです。
僕は群馬県・前橋の出身ですが「前橋さん」という人はいません。当たり前なのですが、これで「地域のビジョンは誰がどう決めるか?」問題に繋がってきます。行政主導の地域創生が難しくなって来ている昨今、行政が適当に決めるわけにもいかないのです。
詳しい話はまた別途、語れればなと思いますが、だからこそ地域には「地域のビジョンを描く力」が求められています。
もしかしたらそのビジョンを描く主体は、民間企業かもしれないですし、観光協会やDMOかもしれません。
でも、もしかしたら地域のビジョンを描いていくのは、この記事をみている「あなた」かもしれないのです。
ビジョンとは「未来」を語るものです。ということは、次世代の未来を担う人がしっかりと当事者意識をもって考えた方がよいですよね。だからこそ「あたな」が重要なのかもしれないのです。
ということで、長くなってきたのでそろそろ終わろうと思います。
なんでこんな記事を書いたのかというと、僕は、そして僕らTABIPPOは若者の未来に期待をしているからです。心底、期待をしています。
地域の未来を担うのは、みなさんだとお伝えしてこの記事を締めたいと思います。
ぜひ、POOLO LOCALでお待ちしています!
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