30MMオリジナルストーリー「30Minutes to Mars」設定集1

かつて、人類の新天地として期待されていた星、火星。
テラフォーミング初期に投入された数百の無人探査機は、人類が地球内部での闘争に明け暮れている数十年の間も、耐用年数が尽きるまで活動を続けていた(余談だが、この無人探査機の技術はエグザマクスの自律サポート機、ロイロイにも流用されている)。
ここでは、そんな探査機から得られた近年の火星の様子を、エクスプローラーの活動内容と合わせて紹介していこう。

・火星地表の風景


かつては無骨な岩肌や荒涼とした砂漠が広がるのみだった火星だが、スカイフォール以降その環境は一変した。
地軸の変動、大気組成の変化、それにともなう気温の大幅な上昇。
まるで大いなる意思が介在したかのように、我々のよく知る地球の環境に近付いたのだ。

これを機に行われたテラフォーミング施策の初期に、某国主導で行われた植林施策はこの数十年で実を結び、各所で僅かながらも緑地が点在している事が分かった。中には山脈地帯の一部麓で、数キロ平方メートルに及ぶ森林地帯の存在も認められた(この事については、元来火星の土壌に含まれる毒素を、これを糧とする微生物を大量に用いることで浄化するなど、ゲートの影響に拠らない人類の努力も大きいだろう)。

本来であれば、これら変化全てがテラフォーミング計画を何段階も飛躍させる快挙だが、現状の火星を取り巻く実情はもはや、この星が地球人類の新天地候補だった事など忘れさせるほど、過酷なものとなった。

・ケイブ


火星内部に埋蔵されていた大量の氷塊は、ゲートによる作用と思われる惑星規模での環境変動によってその殆どが蒸発し、最終的に火星各所の水源に姿を変えたと見なされている(大気中の二酸化炭素濃度が急上昇した事による温暖化の結果、という見方が有力である)。
その結果、至る所に氷塊が消えた跡の広大な空洞が残された。
この無数の地下空洞は文字通り「ケイブ」と呼称され、その秘匿性の高さから火星におけるエクスプローラー達の拠点として運用されている。
各地に点在するケイブには主に中隊規模程度のエクスプローラーが展開し、各ケイブ間では発見したアーティファクトの情報交換や、バイロン側の攻撃目標を撹乱する意図での定期的な拠点移動が繰り返されている。

・中央(セントラル)ケイブ

火星に繋がる初代ゲートは、地球~(惑星バイロンに通じる)セカンドゲートの中間点に位置する。

そしてその初代ゲートを通過した先の、火星側出口にあたる大空洞は、中央(セントラル)ケイブと呼ばれる地球連合の総本山として機能している。

地球との往復に使うシャトル発着場を含めた、大規模な軍事基地と、眼下に広がる地球の環境を再現した地下大都市は、独自の経済システムすら構築した、いわば火星における地球連合の首都である。 

各ケイブで確保されたアーティファクトは、先に述べた拠点移動、通称「引越し」を経て中央ケイブへと集約され、次の「定期便」にて地球へと送られる。


・定期便


その名の通り、地球〜火星間を繋ぐ初代ゲートを通る軍事シャトルの通称。
往路ではエクスプローラーの補充要員ならびにエグザマクスなどの各種兵装、現地への補給物資輸送を、復路では火星で回収されたアーティファクトと任期を終えた帰還組を輸送する役目を持つ。
そのため機体はかなりの大型化が施され、全面に光学ステルス迷彩を施す事で、視認性を低める試みがなされている。
輸送スケジュールは地球、火星双方にも直前まで秘匿され、航行頻度は半年前後の間隔を空ける事が殆どである。
最終目的地がゲートである都合上、バイロン側にもその航路は予測されやすく、先のステルス迷彩に加え、ダミー機を含めた複数機をそれぞれ別ルートで移動させる、護衛機を配置する、などの回避策を用いても、最悪は撃墜される危険をともなう。
特に、バイロンとしても最優先目標であるアーティファクトを大量に積み込んだ状態の復路では、ゲート付近に大部隊を展開され迎撃される恐れもあるため、地球連合からも迎えの増援を送り込んでの混戦状態に陥る事も珍しくない。

・装甲車


火星におけるエクスプローラー部隊の主な移動手段。主にケイブ間の移動に用いられる。
一般的に地球で知られる装甲車よりも、どちらかといえば大型重機に近い巨大な車体と車輪を備える。
岩肌ばかりが並ぶ火星の悪路にも負けぬ走破性と、複数箇所に内蔵された小火器により、内部に収容可能な数十人の乗員の生存率を高める。

・アーティファクト


火星という土地の重要性を一気に高めた要因。
人類が観測した二度目のゲート出現に呼応するように、宇宙の各地(その内実に7割は火星)で発見され始めた未知の物体郡の総称。
地球連合軍とバイロン軍の開戦後から間もなくして、各所で発見が相次いだ。
その多くは、エグザマクスに類似した機動兵器の一部もしくは、その機動兵器用武装と思われる物であるが、中には我々の概念を覆すような、およそ兵器とは似つかわしくない形状やサイズの物体も見受けられる(これについてゲート理論の研究者達の見解では、ゲートを通過する際、何らかの特異な作用によって転移元での形状、質量から大幅に変質してしまったのではないかと言われている)。
なぜ火星でばかりアーティファクトが発見されるのかについては諸説あるが、そもそもが広大すぎる宇宙空間は勿論、地球や惑星バイロンでは人工的な建造物が多く、それらの地下に現出しても発見に至らない物が殆どだから、という見方が有力である。
地球連合では、それらが及ぼす(既知の技術では再現不可能なものを含めた)脅威度および発見頻度に基づいたA〜Eまでのランク付けを行っており、特にクラスB以上に分類される物については、最優先事項として如何なる犠牲を払ってでも、これを確保すべしとしている。

・エクスプローラー


火星のアーティファクトを確保するべく組織された探索員達の総称。
その構成員の多くは、地球連合統治下における地域での重犯罪者や、傷病以外の理由(主に軍規違反など)で除隊処分となった元連合軍兵士である。
彼等にアーティファクト回収という危険極まりない任務が課せられた理由の一つは、言うまでもなく懲罰としての側面だ。
そしてもう一つは、彼等の性質である「餌に食らいつきやすい」というものだ。
アーティファクト回収に成功した部隊には、その働きに応じて重犯罪者であれば恩赦を、退役軍人および僅かながら存在する志願者には、褒賞が与えられる。
これにより地球への帰還が成った暁には、大幅な刑期の短縮であったり、多大な資産がもたらされる。その日を夢見て、彼等は今日も危険を顧みずに戦うのだ。
また、上述の恩赦にせよ褒賞にせよ、火星任務の期間中はポイントとして各員にプールされるシステムとなっている。
このポイントは拠点内において嗜好品やアルト用の各種兵装、低クラスのアーティファクトの購入にも用いることが出来る。強力な装備を有したアルトは、すなわち任務で多くの戦果を挙げた強者の証左でもあるのだ。

・バイロン軍火星方面支部

火星における地球連合の活動拠点が中央ケイブなのに対し、バイロン軍の拠点は火星にそびえるオリンポス山麓に接岸された、巨大要塞「エクソダス」となる。

エクソダス内部には人口数千人を収容可能な居住エリア、アーティファクトの解析班が活動する研究エリア、エグザマクスの収容ドック、全活動を指揮する司令部などが存在する。

・星遺物回収大隊

地球連合のエクスプローラーに対して、バイロン軍側が火星のアーティファクト確保任務を与えた部隊の総称。

こちらは地球連合のような重犯罪者を登用する事は稀であり、主に地球侵攻の前線から様々な理由で退いた軍属のみで構成されている。

その為、民間からの志願兵も混在するエクスプローラーに比して、総合的な戦闘力は遥かに高いものの、慢性的な人員不足という弱点を抱えている。






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