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そんな私の独立記念日

「では、そういうことで」

白い封筒を上司に手渡し、

「よろしくお願いします」と告げた。

今から2年前の出来事である。

何年も、何年も、避けてきた選択肢。

退職。

その明らかな意思表示を行なった瞬間であった。

勤務すること16年半。

今だから言えるが、この自ら禁じた選択肢は、16年半前にも確かに存在したし、入社を果たす前にも、そんな気持ちであった。

意地っ張りにもほどがある

あまりに我慢強いのも良し悪しだ。

家族からは散々言われ続けていた。

「お願いだから辞めてくれ」と。

あまり詳しく書くわけにはいかないが、察して頂けると嬉しい。

ちょっと今から仕事辞めてくる

その頃に、本屋さんに並んでいた本がこちら、【ちょっと今から仕事辞めてくる/北川恵海】

追って映画化もされた小説なので、ご存知の方も多いかもしれない。

いわゆるブラック企業で働く主人公、青山が、駅のホームから線路に身を投じようとするが、ヤマモトと名乗る男に、間一髪で助けられる。

同級生だと名乗るヤマモトだが……。

そんなストーリー。

小説も読んだし、映画も観た。

そう、自分と重ねて……。

どこか遠くから、

客観的に自分を観ているような気がして、

もう、腹は決まっていたのだけれど、

改めて、背中を押された気がした。

自分が、青山だったなら……。

そこにヤマモトが居たならば……。

あなたがもし、

主人公の青山と同じような状況にあるのならば、

線路に飛び込む前に、

立ち止まって、この本を読んでみて欲しい。

映画を観てみて欲しい。

それさえも出来ないというのなら、

私が、

あなたのヤマモトになってあげるから。

つい先日も、有名な若い俳優が飛び降りた。

そうなる前に、

こだわりを捨てるとか、

組織から離れるとか、

違う環境に身を置くとか、

なにか出来るはず。

何もかも、

訳がわからなくなって、

自暴自棄になる前に、

いったん、振り返ってみて欲しい。

心の友は、案外近くにいるかも知れない。










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