【違憲立法審査制度】
立法行為をはじめとする国家の諸機関の行為について,それが憲法に適合するか否かを審査し,違憲の場合にはその行為を無効と宣言する権限を裁判所等に与える制度。各国の違憲審査制は、裁判所型とそれ以外のものに分かれる。後者の例としては、フランスの憲法院があげられ、議会で制定された法律が施行される前に合憲性の審査をする。前者の裁判所による場合も、さらに普通裁判所によるものと特別裁判所によるものとに分かれる
普通裁判所によるものの代表例はアメリカで、特別裁判所によるものの代表例はドイツである。日本国憲法がどちらのタイプに属するかについては学説上の争いがあったが、最高裁判所はいわゆる警察予備隊違憲訴訟(1952年10月8日)において、アメリカ型を採用したものと解釈し、以来、この考え方に基づいて運用されている。違憲立法審査をする裁判所は最高裁判所に限定されないが、最高裁判所は終審裁判所であるから、憲法の具体的な意味は、最高裁判所によって終局的に確定される。このことから「最高裁判所は憲法の番人である」などと通俗的にいわれる。
しかしながら現実に最高裁判所が法令に違憲の判断を下したのは10例に留まっており極めて消極的な運用がなされている(が、退職後の裁判官は割と活発に発言しがちである)。そのため政府内で法令の違憲性を審査する内閣法制局が「法の番人」などと呼ばれ実質的な違憲立法審査の機能を果たしている。
<参考>
https://kotobank.jp/word/%E9%81%95%E6%86%B2%E7%AB%8B%E6%B3%95%E5%AF%A9%E6%9F%BB%E5%88%B6%E5%BA%A6-1145498