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【トラックⅡ外交】
民間外交のこと。退官した政治家や官僚、識者、NGOなどが行う非公式の国際民間交流を指すことが多い。多義的な外交概念。
イデオロギーの差異に関わらず、多くの国で実施され活用されるものだが、国家の外交活動と位置づけるか否かについては議論がある。
権威主義体制の国家では、より戦略的にセカンドトラック(トラックⅡ)外交が実施され利用されている。例えばチャイナでは「異文化間の対話」と称されるもので、党指導部が積極的に推進している。正式な外交(トラックⅠ)と民間外交(トラックⅡ)、その中間的位置づけの「(トラック1.5)1.5極対話」というものもある。
民間交流は表面的には平和なものであるが、権威主義国家のトラック1.5とトラックⅡ外交には「偽装民間トラップ」がある。権威主義国家の場合の民間とは、体制側に是認された紐付き民間人を指すため、その人物は民間を装っていてもオフィシャルな立場を有している。
権威主義国家と対峙する相手国側は真の民間人(時には自国体制批判をすることもあるような民間人)であっても、権威主義国家側は体制に批判的人物ではありえない。トラック1.5やトラックⅡでなされた対話内容は、権威主義国家の体制内で情報共有され国家インテリジェンスに活用されることになる。「間諜は 汽車に電車に 井戸端に」。