【ボクシニ 〜20年のキセキ〜】⑨
翌日
「痛い…焼けるように痛い…」
時間は深夜3時
あまりの痛さに目が覚める
寝付く前から違和感を感じてはいたが、痛みを感じたわけではなかった
「何これ…もしかしてヤバいのか?」
昨日の出来事が脳裏をよぎる
それと同時にナースコールを押していた
心の中ではもう少し様子を見ようと考えていたのに
無意識に、反射的に押していた
『どうなさいました?』
看護師が駆けつけてくれる
顔を見てホッとする
「なんかこの辺が痛くて起きてしまいました」
僕は自分のお腹を指しながら訴える
すかさず看護師が
『そうなんですね。それは手術をしたからだと思います。どれくらい痛みますか?』
「焼けるように痛くて、今まで味わったことのないような痛みです。」
『そうなんですね。それでは痛み止めを入れましょう』
そう言うと、看護師は座薬を入れはじめる
戸惑う僕を置き去りにして…
今までにない痛みと
今までされたことのない治療
昨晩から続く[はじめての経験]
そして
恥ずかしさと
何もできない無力な自分に
激しい情けなさを感じたのもはじめての経験
一人になった瞬間
目から…滴った……
つづく
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