【ボクシニ 〜20年のキセキ〜】16
1月29日
僕は着実に回復していく
トイレも一人で行ける
ご飯もこの日は七分粥
明日の夜ご飯の時間には通常の食事になると聞いている
ただ一つ懸念することがある
今僕の身体は
傷だらけ
管だらけ
内臓破裂…
正確には
・肝臓破裂 (うち5割破損、6割切除)
・肺気胸
・肺挫傷
カルテには他にも複数文字が羅列していたが
大きな問題点はこの3点とのこと
なかでも肝臓の手術が一番たいへんで
そのために僕は
身体に大きな傷を刻むこととなった
縦30㎝
横20㎝ほどの大きな傷
傷痕はミミズ腫れしていて盛り上がっている
傷の太さや厚みは小指くらい太い
目線を下げ、腹部を見ると
カタカナの《ト》の字に見える
「これ…どうなるんだろう…」
先々どうなるか
全く想像できなかった
いや…
想像したくなかった
ついこの間まで友人と遊んだり
ついさっきまで普通に働いてた
何で僕がこんな目に遭わなければならないんだ!
やり場のない感情は
いつまでも僕の周りを浮遊して
視線を遮ってくる…
「夕闇の中に溶けてしまえばいいのに…」
ボソっとつぶやいた言葉は
夕日と共に静かになり
朝日と共に目を覚ます
これまでとは違う
本当の意味での苦しい日々が
ついに、始まった
つづく
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