【ボクシニ 〜20年のキセキ〜】21
2月10日〜2月12日
腹部に残った1本の管を見ながら
ため息混じりの呼吸を繰り返す
医師からは
『数値が良くなって、この管を抜いたら退院は目の前です』
と、告げられてはいたが
気持ちは晴れてこない…
退屈な入院生活の中で
唯一の楽しみは昼食後の面会時に買ってきてもらうジャンクフード
だがそれも食べ飽きて
いよいよやることがなくなってきた…
2月13日
朝の検診
『うん、これなら大丈夫でしょう。今日最後の一本を抜きます』
嬉しさと切なさが顔を出す………
午後の抜管の時間
『ためらうなぁ、ためらうな〜、ためらうなー…』
まったく同じ掛け声についにやけてしまう
2回目だからか、どこか余裕があった
無事終了すると
『今日からお風呂に入ることも可能です。順調に行けば数日後には退院できますので、それまでに今まで通りの生活が送れるようにしていきましょう』
・・・
その日の風呂の時間
久しぶりに浴びたシャワーはとても気持ち良くて
自分の抱えているモノを一緒に
洗い流してくれるようだった
つづく