日本vsベネゼエラ マッチレビュー
今回はキリンチャレンジカップ2019の試合を分析していきたいと思います。
1.スタメン
試合前の発表ではRMF浅野・OMF中島・LMF原口・CF鈴木の4-2-3-1だったが、実際には上記のフォーメーション
注目ポイント
・日本は中盤中央の数的不利をどう解消していくか
・ベネゼエラは2トップに対してどう対応するか
2.試合情報
得点
0-1(前半8分・23ロンドン)
0-2(前半30分・23ロンドン)
0-3(前半33分・23ロンドン)
0-4(前半38分・18ソテルド)
1-4(後半24分・20山口)
交代
日本 ベネゼエラ
HT IN3三浦↔OUT2植田 後半16分 IN17 オテロ↔OUT7マチス
HT IN9古橋↔OUT21鈴木 後半32分 IN15ムリジョ
(4-2-3-1に変更) ↔OUT18ソテルド
(原口がRMF・古橋がLMF) 後半37分 IN13サンブラーノ
(中島がOMF) ↔OUT5マンサーノ
後半20分 IN11永井↔OUT15浅野 後半44分 IN19アリステギエタ
後半20分 IN20山口↔OUT13橋本 ↔OUT23ロンドン
後半36分 IN14井手口↔OUT8原口 後半47分 IN11J.アニョール
↔OUT6エレーラ
3.10番中島の取扱説明書
この試合は前半ベネゼエラのペース、後半は日本のペースと面白いくらいにハッキリと展開が変化した試合だった。
その大きな要因は森保監督の中島の使い方にある。
攻守両方で裏目に出る前半のLMF起用
ベネゼエラはSBとIHとWGの三人で良い距離感を保ちつつビルドアップをしてくる。
それに対して、中島は自分の前に相手SBがいるときは威勢よく取りに行くが(勿論これによってチャンスが出来たシーンも2.3度あったが)、高い位置で攻撃参加をしてきたSBに対してのマークの意識が低い。
それによって佐々木が2人を相手にしなければいけない状況が生まれてしまっていた。
さらに、これは中島がトップ下の選手であることが大きく影響しているが、逆サイドや中央からの攻撃に対して中央にポジションをとってしまう癖がある。
1失点目・3失点目のシーンを見てもらえれば分かるが、逆サイドのクロスに対して両方とも大外の選手がフリーになっている。
佐々木が競り負けたのが直接的な失点の要因ではあるが、佐々木の頭の片隅には大外の選手への意識が残っており反応が遅れているのも一因である。
ビルドアップにおいて中島は自由に動き回って間でボールを受けるのが非常に得意な選手である。
前半から相手の4-1-4-1のブロックに対してDMF横でボールを受けるシーンが多く見られた。
しかし、ここからの攻撃の組み立てが問題なのである。
まず、佐々木があまりオーバーラップをしない。(前述の中島の守備能力の低さのカバーによる反動かもしれないが)
さらに、中島がLMFなので左サイドに味方がいないために選択肢が中央に突っ込むしかなく、結果相手の素早いプレスバックの餌食になっていた。
中島のOMF起用によりペースを掴み始める後半
まず何といっても両サイドで安定してボールを奪えるようになったのが大きい。
両サイドハーフに守備もできる選手が入ったことにより、相手WGがボールを持った時に味方SBと挟み込んでボールを奪う回数が格段に増えた。
そしてビルドアップ時にDMF横を狙ってもサイドに味方が必ずいる状況を作れるようになった。
左サイドでは、DMF横を狙う中島に対してサイドにいる原口。
右サイドでは、DMF横を狙うRMF古橋に対して常に高い位置で攻撃参加をするRSB室屋。
相手が警戒してIHがDMF横をケアし始めるが、そうすると今度は柴崎や山口が落ち着いてボールを持てるようになるという好循環が生まれ始める。
4.データから考える日本の決定力
前半と後半でガラッと展開が変化した試合だったが、Football LABのデータによるとベネゼエラのシュート本数は大きく減少しているものの、日本のポゼッション・シュート本数はほとんど変化していない。
ベネゼエラはペースを掴んでいた前半に4点を決めたのに対し、日本はペースを掴んだ後半に1点しか決められなったのである。
シュート本数は前半とほとんど変わらないのである。
ここで、興味深いデータがある。
上のデータの30mライン侵入回数に注目してほしい。
相手の倍近く侵入しているのにも関わらず、得点は1点しか取れていないのである。
日本とベネゼエラの得点の差はどこで生まれるのか?
決定力不足と言ってしまえばそれまでだが、自分は30mライン侵入後の崩し方のビジョンが共有できていないのも一因だと思う。
今回の試合で多く見られた日本の攻撃パターンは
①中島を起点としたカウンター
→中島がボールを持った時の周りの動きがイマイチかみ合っておらず、不本意なシュートで終わってしまう。
②RSB室屋の攻撃能力を生かした右サイドからの分厚い攻撃
→室屋がサイドをえぐっても、クロスに対する前線の入り方が微妙
日本代表は合流してから試合までの期間が短いので攻撃のビジョンをしっかり共有するのは難しいとは思うが、実戦でいい形になっている攻撃パターンだけでも共有して欲しい。
5.総括
久しぶりに日本代表の試合をしっかりと見て、さらに分析にいたっては初めてだったが、負け試合でもすごい収穫のある1試合だった。
思った以上に今の日本代表が中島に依存しているが、それでもペースを掴んだ後半は凄くワクワクする出来だったので今後の森保監督の選手采配に注目していきたい。
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