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ネットで話題になった、某製品がマンガ『コブラ』に似過ぎ問題を取材していたら漫画家さんの忘年会に呼ばれ、そして…!
最近、一部のネット民の間で話題になった、あるドライヤーの広告をご存知ですか?
ざっくり説明すると、小泉成器さんが発売した「MONSTER」というドライヤーの広告ビジュアルが、伝説的マンガ作品『コブラ』に似てる! ――と盛り上がっていたわけです。
コブラ? 知らない。という人に向け、まずはコブラの概要などを軽くご紹介します。(小泉成器さんについては公式HPで確認してね! https://www.koizumiseiki.jp/knowenjoy/monster/ )
<作品の概要>
左腕にサイコガンを持つ一匹狼の宇宙海賊・コブラ。その活躍を、アメコミ風タッチで描くSFアクション(スペースオペラ)コミック。
『週刊少年ジャンプ』で1978年から1984年にかけて掲載され人気を博す。1982年にはアニメ映画化、TVアニメ化も実現。その後も『スーパージャンプ』、『コミックフラッパー』と掲載誌を変えながら、作品は断続的にではあるが継続している。
<あらすじ>
はるか未来、人類が自家用宇宙船で外惑星に行くことが可能となった時代。貿易会社に勤め、平凡な日々を過ごすサラリーマンのジョンソンは、退屈しのぎにT.M.株式会社のアミューズメントを体験する。
脳に信号を与えて夢を見ることができるトリップ・ムービーの中で、ジョンソンは左腕にサイコガンを持ち、賞金首として追われる宇宙海賊・コブラとなる。夢から覚め、波乱万丈のストーリーに満足したジョンソンだったが、ふとした事故から自分が本物のコブラであること、血なまぐさい過去から逃れるため記憶を消していたことを思い出す。
記憶と本能を呼び起こされた男は、相棒の女性型アーマロイド「レディ」と共に、スリリングで危険に満ちた宇宙へ飛び出していく――
以上です。ウィキペディアからほぼ丸パクリしました。
話を戻しますね。まずは、「コブラ」「MONSTER」両者を比較してみましょう。
こちらが「MONSTER」広告ビジュアル。
こちらが寺沢武一先生の『コブラ』。
うん。まぁ、似てるっちゃ似てる。
……なんてことを思っていたら、当の小泉成器さんから筆者(私)に、
「MONSTERの広告について、寺沢先生にインタビューしてもらえませんか?」という依頼が!
あまりにも唐突すぎるので、まずは詳しく経緯を聞いてみることに。
―そもそも、どういった意図でこの広告を作られたんですか?
まず、新しい『MONSTER』の特徴は、「2つのファン」と「4つのマイナスイオン機能」を備えていることです。大風量による時短だけでなく、美しさも実現するドライヤーであることを伝えたいと思っていました。
―ふむふむ。で、西川さんの腕がドライヤーになっているのはなぜ?
今回は、ヘアドライにまつわる「時間」と「美しさ」に囚われている髪の長い女性たちを、「大風量」と「マイナスイオン」の力で解放する架空のヒーローとして、西川さんを描こうと。つまり、西川さん=MONSTERなんです。そのイメージを強調したい意味で、西川さんの腕がそのままMONSTERになっている、という表現をしました。
―SNSでは「コブラじゃねーか!」との反応がかなり多かったですよね。
腕をドライヤーにすると、コブラをイメージされる人がこれほどいるのか、と驚きました。こうした反応を受けて、コブラの著作権を管理されている「エイガアルライツ」様へご説明にお伺いしました。すると、「実は来年、コブラ40周年なんです。せっかくの機会ですし、一緒に盛り上げていきましょうよ!」と仰っていただけて。
―おお、それは良かったですね……。
ただし、まだ寺沢本人がこの広告を承認したわけではないです、と。
近日、寺沢主催の忘年会パーティーがあるから、その場で直接、寺沢がどう思っているか聞いてみてください、ということになりました。
―え、そんな展開?
はい……。そんなわけでして、説明が長くなってしまいましたが、寺沢先生の忘年会パーティーにご同行お願いできませんでしょうか?
なんだその謎すぎる依頼! 激怒してたらどうすんだ! 自分らで行けよ!!!!
とはいえ高名な漫画家さんのパーティーなんて、参加できる機会はそうそうない。ということで、寺沢先生の忘年会に突撃してきました! 果たして、無事お話は聞けるのか? MONSTERの話を出したがために追い出されたりはしないのか!?
MONSTER、先生の忘年会なのにちゃっかり主役顔している。
今回お邪魔したのは、都内某所にて開催された「寺沢武一&エイガアルライツ忘年会2017」。本来は業界関係者しか参加できないパーティーとのことですが、特別に入れていただきました。
エントランスからしてコブラ!
会場内もコブラ!!
箱は、300人ほど入れそうな広さ。漫画家さんのパーティーに伺ったのは生まれて初めてだけど、人、埋まるのか……?
余裕で埋まった。
パーティーはとにかく豪華!
「こんなに煌びやかなパーティーにきたのは数十年ぶりだ」と、私の後ろで誰かが話していました。私は「数十年ぶり」とかじゃなく、こんなに人がいっぱいで会場も豪華なパーティーは初めてだよ!
豪華さに緊張しつつ、まだ先生と話してもいないのに卓上にあったビールをガブガブ飲んでいたところ―――
でました! ビュッフェ形式のお料理!
お品は「スチームチキンのシーザーサラダ」「コールドミート盛り合わせ」「サーモンのカルパッチョ仕立て」「ペンネのクリーミーボロネーゼ」「お魚のオーブン焼きサフランクリームソース」、「イベリコ豚のロースト赤ワインソース」など9品。
料理が到着したあとは人がワラワラ集まってきて、写真なんか撮っていたら「邪魔だどけ」と目で訴えられそうな雰囲気に……。
これ、別にみなさんの食い意地が張っているからではありません。
いろんな人が「先生! 先生!」と寺沢先生のもとに群がっていき、分け入ることが全くできない状況だったので「ボーっと突っ立っているのもアレだし、飯でも食うか」となったんです。たぶん。
少なくとも、私はそうでした。
初めての漫画家さんのパーティーで勝手の分からない私、とにかく料理を食べる! どれもこれも美味い! と感動していたら、スクリーン上に衝撃のスライドが!
「MONSTER」、思いっきり宣伝しとるやないか! どういうこと? 怒ってるかもしれない先生の、しかも忘年会で!? すげぇタマだな小泉成器! これについて、先生はどう思っているんだろう?
寺沢先生、意外と寛大だった。
うめぇうめぇと料理を食べている間、クオリティの高いコブラのコスプレをした人が登場したり、なぜか和服で刀を振り回す人が登場したりで場は大盛り上がり!
漫画家さんのパーティーって楽しいんだなーと、酔っぱらって勝手に入ってきた人の気分でいたら、ついに私が寺沢先生にインタビューする時が! こんなん酔いも一気に冷めるわ! 怒られないのか!? 大丈夫なのか……!? お酒飲むだけ飲んだしもう帰りたい!
―モンスターのポスターはどこでお知りになったのでしょう?
みんながTwitterとかで言ってたからね。これは先生の意図なのか、とか。
―それに対してはどのようなご反応を?
めんどくさいからそのまま(笑)
―モンスターのポスターをお知りになったときに、どのように思われました?
正直、最初はちょっとムッとしたよ。でもまあ、こういうことってよくあるからね。またやってるなあ、とね。
―寛大なお心をお持ちで。
ケンカしないことにしてるから(笑)
―コブラというとクールでワル、というイメージですが、モンスターの広告ビジュアルは先生の作品イメージと合っていると思いますか?
まあ、合っているでしょうね。コブラを好きな人が作ってるって、これを見るとわかる。嫌いな人がやってるわけじゃないから。
―作中の有名なセリフに「サイコガンは心で撃つもの」という言葉がありますが、このポスターは「心で撃ってる」感じはします?
いいんじゃない? なんとも言えないなー。でもきれいだから、それはいいね。
―コブラは40年にわたるロングヒット作品ですが、そこまで支持された秘訣ってどういうものだと思われますか。
ちゃんと描いてること。逃げてないこと。コブラが真っ向から戦いを挑む人だから、その発言も逃げてない。そういうところかな。
このドライヤー、かっこいいよね。このきゅっとしぼってあるところ、女性のイメージだよね。
―コブラも、漫画家としての日々も……途中でやめたろか、と思ったことってありますか?
人間だからあるよ。でもファンが許してくれなかった。ファンが喜ぶまではやらないと、って。何でもそうだよね、潮時もあるだろうけど、ファンが見たいといってくれるなら最後までやるよ。貴乃花みたいでしょ?(笑)
―先生もけっこうワルなイメージがあります。見た目からですが……
見た目? おなかん中真っ黒だからね。黒が好きなんだよ。ドレッサーの中はみんな黒。ドレッサー自体も黒だし、部屋ん中みんな黒。
―じゃあMONSTERも黒のほうがお好きですか?
いや赤が好き(笑)
―それは赤なんだ!
色っぽいよね、赤のほうが。あと、目立つよね赤、戦隊ものなんかもリーダー赤だしさ。
―コブラの色が赤なのは理由があるんですか?
やっぱり一番目立つ色ってこと。自分はよく真っ黒な格好してるけど、あ今日は違うけどね、でも真っ黒ななかにワンポイントで赤を入れたりする。おしゃれだよね。黒はみんな色がないと思っているけど、実はおしゃれな色なんだよ。だからこのドライヤーの並べ方、いいよね。黒と、赤。
―ワルなイメージということで、ちょっと失礼な質問かもしれないんですが……
(パンチするしぐさで、リングをはめた手を見せて)痛いよこれ。跡がつくよー。
―うわーそれはちょっとやめてください! 先生、女性との関わりのほうも、コブラ並みに……
ふつう! あ、今日見てればわかると思うけど、みんなにキスはするよ。それが寺沢一流のあいさつ。いやな人はみんな逃げちゃう(笑)
―これもまた複雑な質問かもしれませんが……女性キャラは露出多めのイメージがありますが。
みんな言うよね。でもファンに言わせるとね、なんでもうちょっと見せないの、って。なんで隠してるのって。
―え、見せろってクレームがくるんですか! 逆かなと思いました……
スタイルがよければ見せるでしょ。隠す必要ないもんね。
―そうですね、私ももっとスタイルがよかったらもう少し見せる格好するでしょうし。
見せたいでしょ。見て、って感じになるよね。
―コブラは来年40周年ということで、ファンの方にひとこと、お願いします。
いま手がけている、次のコブラの話には「オーバー・ザ・レインボウ」という副題があるんですよ。ご存知の通り「オズの魔法使い」からとってるんだけど、そこにはテーマがあって。「進みすぎた科学は魔法と区別がつかない」というもの。ということで、みなさんぜひお楽しみください。
一回パンチ食らいそうになりましたが、寺沢先生も今回の小泉成器さんの広告デザインおよび商品デザインについては寛大なお心でもって見ておられるよう! よかった! 殴られなくて!!
ということで、無事にインタビューが終わり。
はじめはどうなることかと思いましたが、作品に対してきちんとしたリスペクトをもってお互いが話し合ったことで、今回の「忘年会」のようなミラクルが起こったわけで。それって素敵じゃありません? 少なくとも、私はそう思います。
お土産がすごかった
さて、寺沢先生のパーティーにお邪魔した私ですけれども、緊張&お腹いっぱいで途中退出することに。
すると! 受付の方から「記念品です」と、ずっしりと重い黒い袋が!
中身は、コブラのラベルの貼ってある高級日本酒2本と、
コブラのハンカチと、
40周年記念ピンバッチと贈答用バッグと、
何故か「葉酸生活」!!
健康第一の漫画家さんなので、おススメしたい健康食品も入れてくださったのでしょう。変わってる~! でも、ありがたくいただきます!!
まとめ
怒ってる相手に怒ってるネタを振りに行け、だなんて最初はどんな罰ゲームかと思ったけれど。今回のパーティー、とても素敵な体験でした。
40年もの長きにわたって愛される作品を生み出した一流クリエイターのパーティーを体感できたことはもちろん、表現者同士の意識の相違とリスペクト、そこから生まれるミラクルにも遭遇しました。表現に関して真剣な人たちの姿、やっぱり素敵です。酒浸りの目ではありますがきちんとこの目に焼き付けて帰りました。
追伸
頂いたコブラのハンカチ、勤務先(未定)の半熟女キャバクラで使っていイイですか?