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霊感の強い人は宇宙好き説

リサ・ランドールの『ワープする宇宙』

こちらは奥さんとの思い出の本です。
いや、ご本人はたぶん読んでいないし、一方的に思い出化しているだけなんですが。

宇宙好きなんですよ。オタクなんで。1年に数回は宇宙好きのともだちと「5次元の会」と称して超常現象をあくまで科学的に検証する雑談とか、やれNASAに入社?できたらなんの職種がいいとかを肴に飲んだりするくらいのレベルで。

宇宙に興味をもったのはもともと霊感が強かったからなんですね。こんな話、信じても信じなくても酒の肴には丁度いいだろうという位のノリで実体験をべらべらしゃべったりしているので僕が「霊感についてやたらあつく語る怪しいおっさん」という認知はある周囲に程度広まっているとは思いますが。

そもそも、こどものころから感じている変な感覚を「霊感」という言葉で説明していいのか躊躇はするのですがおよそ普通には体験しないはずのことを体験ないし記憶していることが多々あるのです。

そういえば、5,6歳のころでしょうか、夜になると変な大人声で寝言を言い出したり、四つん這いになってワンワン吠えたり、外を徘徊するようなことがしばしばあったらしく「こいつやべーんじゃねーか」と感じた親が僕を夢遊病の疑いで精神病院に入院させて脳波やら何やらをチェックさせたことがあったらしいです。

結局、医学的にはなんの所見もみられなかったらしく、夜の奇行も小学校に入るといつのまにかなくなっていたということで特におとがめ?はなかったのですが、そもそもあれは夢遊病だったのか?

夢遊病は、本人にはその記憶がないとされているんですが僕の場合は朝起きた後も記憶に残っていたし、別に昼間でも人と違うものが見えたりするようだという自覚があったりしたのですが、「きみの後ろに立っている人って誰?」とか、「きみとは来年の今頃、吉祥寺のカフェであうよね」とか、そういう脳内現象はすべて妄想として口に出さず処理するようになっていました。

大人になるとそういった現象もほとんどなくなってくるのですがそれでも霊感の強いほかの人と出会うとピンとくるものがあって「しまざきさんって霊感強いでしょ」「あなたもでしょ」みたいな会話は相変わらずあるし、そういう人が集まると変な現象が起きたりするので面倒くさかったりします。いや、この話信じなくていいですよ。

ちょうど奥さんとの結婚式を間近に控えたときだったのですが。確か仕事の打ち合わせか打ち上げかなにかで、霊感の強いスタイリストさんと全方位的オタク女子な音楽ディレクターあたりと駒沢大学のカフェで宇宙談義をしてたんですね。

そのときの話題がこのリサランドールの本だったと思います。まだ実証されていませんが、宇宙の外には異なる次元があって、物質は異次元の間を移動するという仮説をめちゃめちゃ研究している天才女性なのですが、霊感のつよい人間としては、この仮説はすごく腑に落ちるものがあって、幽霊とか怨念とかそういうことじゃなく、物質(や観念のような無機の存在)が物理的に時空を超えるから超常現象はあるのである、ということなんですよ。

その時も夜更けまでそんな話をしていたと思います。そのとき突然、猛烈な悪寒がし出して全身がぶるぶる震えだしたんですね。そうしたらスタイリストさんが「なんか、きたね」と言うわけですよ。僕も「きましたね」と震える声で周囲を見渡すと壁に飾ってあるポートレート写真の男の子が異様なオーラを発してるんです。まさに目で殺す勢いで。

その写真をみた瞬間に金縛りのようになって息ができなくなり、「ごめん、ちょっと俺、帰ります!」といって、その場をはなれたんですが、外にでたら少し落ち着いたんで徒歩10分の家まで歩いて帰ったんです。しつこいですが、信じなくていいですよ。

それで帰宅すると、深夜だったでしょうか。奥さんがまだ起きてらっしゃって鬼の様相で僕をにらみつけるのです。「おまえ、もうすぐ結婚式だってのに、準備もぜんぜん終わってないのにどこほっつき歩いてんだ、ばかやろう!」という目で。

その時、大いに反省し平謝りだったのですが、その涙混じりの奥さんの目が、さっき駒沢のカフェで観たポートレートの写真の目のようで、僕は二度ほど目で殺されかけたわけです。そして今思えば、あのときの悪寒はもしかしたら奥さんの怒りの生き霊だったのかもしれません。

いや、あのときは本当にすみませんでした。


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