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コラム:体外受精で産まれた子供の数=体外受精にトライした人の数ではない

🍀時系列に沿っての話は、番号を振っています。

🍀「コラム」の記事は治療内容には関係なく、飛ばしても話はつながるようになっています

先日、2018年度体外受精で産まれた子供の人数が産婦人科学会から発表されました。


2018年に体外受精で生まれた子どもは過去最多の5万6979人だったことが、日本産科婦人科学会が1日に公表した調査でわかった。体外受精で生まれる子どもは年々増え、17年より362人多い。厚生労働省の統計では18年の総出生数は91万8400人で、16・1人に1人が体外受精で生まれた計算になる。【引用:朝日新聞デジタル2020年10月1日】

16人に1人。

5万人…

30人学級だとして、だいたいクラスに2人。


それを多いと感じるか少ないと感じるか、人それぞれだと思いますが、

「経験者」というか「当事者」の私は率直に思っていたより多く感じました。

クラスに2人のお母さん、お父さんが、一連の流れを経験している…

と思うと、人には話さないけど、意外と身近にいるのかもしれないんだなあ・・・と子供が勉強する教室を思い浮かべて、思いました。


遠い昔ではなく、ちょっと前までは「試験管ベイビー」なんて言われていたので、いつか将来、本人がそれを知ったらどう思うだろう?等も考えると、やはり、普通に妊娠できなかったことへの引け目みたいなものがないといったら嘘になります。

でも、それだけのお子さんが誕生していると思うと、近い将来もっとスタンダードになっていくのかなと、心強くも感じました。


でも、逆に、クラスに二人の割合で、体外受精で授かっていると考えると、もしかしたら、経済面が厳しくて諦めた人がもっともっといたんじゃないかとも思ってしまいました。

そして、地域格差もあるだろうなと・・・。

助成金等もあるけれど、一旦支払いはしなくてはいけないし、もちろん全額助成には程遠いし、お給料日とかなんて関係なく、支払いはやってきます。

(最近はカード払いもできるようになりましたが)私が不妊治療を始めたころは、現金払いだったので、毎度クリニックでかなりの「札束」を持参しなくてはならず、ドキドキしながら払ったことを覚えています。)


基本的には、夫と結婚してからの2人の貯蓄から算出していまいたが、実際私個人で貯めていたお金から支払ったこともあります。

援助的な面で言っても、結婚式等ならもしかしたら、どちらかの両親がなんてこともあるかもしれませんが、体外受精となるとそれも言い出しにくいですよね。

なので、経済的に諦めたけど授かっていたかもしれないという人を数えたらもっともっといてもおかしくはない気がします。


1日も早く、保険制度が見直されたらいいなと思います。

でも、もっともっと本質的な話をすると、トライした人たちがみんな授かることが出来ていたなら(体外受精にトライした人が全員授かれていたら)実際クラスに2人じゃ済まないと思います。

私も成功率は20%ですと言われた時もあったので、単純に計算して5倍の人がいるということです。


なので、16人に一人では決してないですよね・・・。


加藤レディースクリニックに朝受付に並ぶ人の数・・・エレベーター裏の階段でグルグルと女性が並んで待っている。

何も知らない人が見たら、階段に並ぶ大勢の女性たちが、まさか不妊治療に通っているなんて絶対に思わないと思います。

それだけの人たちが、今日、今、この時も頑張っているんです。


実際、具体的に東京出身、沖縄在住、34歳が初産だった私の周りにどれくらいいるかと考えてみました。

リアルに私の友達で考えてみると、体外受精で出産したと話してくれた友達4人。

クリニックでお見掛けして、あー体外受精で病院に通っているんだと知った方2人。

今現在、未婚だけど彼とトライしている友達1人。

人工授精の段階まで不妊治療をしていた友達2人。

今現在まだ授かっていないお友達2人。

意外といるんです・・・。


やっぱり、私達夫婦だけが特別な経験をしている訳ではなく、これから結婚し、子供を産む人たちにとっても、遠い話ではなく、とても身近な問題なんだなと心から思います。


なので、この統計も、体外受精で産まれた子供の数はもちろんだけどそれだけではなく、体外受精で妊娠にトライした方の人数も一緒に報道してほしいと思います。

何人に1人、不妊に悩んでいて年間で何人が体外受精に挑んでいる。

体外受精の成功率は100%ではないから、産まれた子供の数の何倍もの人たちが頑張っているということだから、もし全員成功していたら、出生率はどれくらいになるのかな・・・


だって、この数字を見て、こんなに多いんだなと当事者の「私」が感じるくらいなのだから、実際当事者じゃない方たちは、尚更意外と多いんだねーと感じていると思います。


でも、もっと、身近な問題としてとらえてほしい。

すぐそばに、悩んでいる人がいるかもしれないと、少しは思っていてほしい。


それによって、もっと取り組みやすくなったり、会社も休みやすくなったり、些細な言葉に過剰に傷ついてしまうことが少なくなったり、病院にも行きやすくなったりすると思います。

(調べればそういう統計も出ているのかもしれないけど)

これだけの人たちが頑張っているから、応援してね。

子供は宝だよね。って報道してほしい。



だからこそ、せめてせめて経済面で諦めていしまう人がいないように、

今まさに改革の時である保険制度を早急に進めてほしいと切に願います。



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