2月14日〜16日ライヴ喫茶 亀10周年『スリーデイズライヴショウ』

我が店、ライヴ喫茶 亀の10周年記念ライヴ。案の定ギリギリ崖っぷちの準備で大変だったが、大変なだけで、苦しいとか嫌だとかそんな風には一切思わなかった。むしろこんなに楽しくていいのかと思うほど、頭の中がライヴのことで満たされていた。告知の段階では、初日音楽、二日目お笑い、三日目ひとり、という感じで、この店だから出来る色々な催しにすると決めた。たとえば芸人を山ほど呼んで三日間のお笑い祭り!みたいなものは、自分は結構しんどくなる質で、そういうのではなく、あくまで喫茶店の、ライヴ喫茶としての一番楽しく愉快な三日間にしたかった。蓋を開けると沢山の人たちが来てくれて、田口さんはお祝いの巨大消しゴムはんこを三種類!も飾ってくれたし、斯さんは手製の亀小皿を十種類!もプレゼントしてくれた。お花や、ケーキや、チキン、フードプロセッサー、文庫本、お酒、おつまみ、お菓子、煙草…、色々と頂きまして感謝です。

初日の『喫茶店コンサート』は、自分のやっているバンド喫茶が出演。病気マサノリさんは必ず呼びたいと思った。今まで出会った人の中で一番ロックで格好良い人だ。そして、京大の吉田寮で出会った、楽しんでいこうや西岡さん、バンドでしか見たことは無かったが、歌がとても良かったのでお呼びした。バンド喫茶で最後に歌った「彼方へ」という曲は、昔19か20歳のときにドラムの檜山と、あと友達二人とやっていたバンドで作った歌だ。檜山が、あの曲またやろうよ、と言ってきたので、歌詞とサビのメロディーを少し変えて、作り直した。それで、確か吉田寮でのライヴの帰り道、檜山とふたりで車で大阪に戻り、夜中に寄った亀で新たな「彼方へ」を聴いてもらった。多分ライヴ後の妙な高揚だったのか、ふたりで冬の寒さに震えながら、その場でまた一緒に歌詞を考えたりして、完成した。当日は「ベイビー!」とか、はやしさんがフリップを作ってきて、面白かった。西岡さんはイメージした通り、亀の雰囲気にぴったりだったし、病気さんは変わらずロックで、新曲もやっていた。最後は皆で舞台に上がり、私が好きな病気さんの歌をリクエストして皆で歌った。「練乳入りの甘いスウィートスウィートスウィート…話す言葉、聞く耳…」ってやつ。

二日目は『爆ナイトオブコメディー』。この日はどうせ長くなるだろうと分かっていたので、急遽、途中休憩を入れることにした。今は東京にいる畑さんが素敵なメッセージと共にお酒を贈ってくれて、嬉しかった。ゲストの漫才師は初出演だったが、ちゃんと外側から面白くいじってくれたし、山が動く寺岡さんもシークレットゲストで登場、将軍様とユニット漫才を披露してくれた。ぶるぼんは、昔から圧倒的な存在で、ただそこにいるだけで、いつの間にか一番目立って、一番笑いを取る、みたいな人。クリスタル大坪さんもそういうタイプだし、ドリンクバーゲン北野さんも、そう。それが混じり合うとどうなるかな?って想像してたら、何だか凄いことになってた。合計3時間の熱狂、変態見世物大集合って感じで、ぐちゃぐちゃだけど滅茶苦茶笑った。「ヤング嶋仲ゲーム」は21個のゲームを全て用意しており、その準備にかなり時間が掛かった。当日は終演の都合で6つくらいしかやれず。生肉も高級なやつを用意していたが使えず、官能小説や、サンタの格好や、特別なマシュマロも…。

三日目は『ひとりぼっちのルンルンパーティー』。最後はひとりでライヴしようと思って、何となく思いついたタイトル、だけが決まっていた。先週の時点でもまだ内容が決まらず、初めは、私の声が出なくなって舞台で筆談しながら書いた言葉をスクリーンで映して、舞台上に紙が大量に捨てられていく…みたいなイメージだったが、ボツにした。鼻炎がひどくなって、鼻水ティッシュだらけになる…というのもボツ。ちょうどその頃、メンタル的にちょっと落ち込んでおり、といってもそれは、ライヴの準備のときには必ず訪れるもので、だったら、と思った。桂枝雀さんが鬱になったとき、高座で涙が止まらなくなって、もう嫌や…、って呟いたら、観客が皆笑ったという逸話がある。チャップリンの「ライムライト」のラストシーンも、そんな感じだ。舞台上でもしも自分が死んだら、お客さんは笑うかな?それとも助けてくれるのかな?そんなことを考えながら、自分の好きなものを沢山詰め込んだものにしようと、前にひとりでやった『ひとりぼっちの昼寝』とか、古畑任三郎とか、最近見た映画の「SAW」とか「ノロイ」とか、後は漫才や歌、辻褄合わせのフィクションで、楽しく死んで、強く蘇るような舞台にしようと思った。本当はもっと血まみれのドロドロになりたかったが、意外とさらさらだった血糊グミ、不味すぎて普通に吐きそうになった。

そんな感じで幻のような三日間はあっという間に終わり、また日常が訪れる。右目が矢鱈と充血して血溜まりになっていることだけが心配だが、体調は崩れることもなく、普通に元気です。こんなに楽しい三日間は他に無かった。本当は、来てくれた人たち全員と握手したい気持ち(しませんが)。世の中は暗いことばかりで、インターネットも不気味な怖さが潜んでいる。舞台に立つことは未だに緊張するし、不安に泣きそうなときもあるけれど、何とかやって、誰かが見に来て、そうして、救われる。まぁもう少しやるか、って思う。店を始めて10年、当初からずっと来てくれている人も、最近来始めた人も、これから来る人も、ありがとうございます。あなた自身の素敵が見つかる場所になれていたら、幸いです。

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ヤング嶋仲
何もいりません。舞台に来てください。