メリークリスマス!
寒い冬が来て、鼻水と首痛がひどくなった。足先が冷たくて眠れないので、眠らない。今年も、クリスマス・イブ、クリスマスともに特別何かしたわけではなく、普段通りに我が店で喫茶営業をした。蓋を開けると沢山の人が来てくれて、嬉しかった。どことなく、皆、楽しそうな顔をしていたし、決してチャラつかぬ、穏やかな空間に、ほんのりとささやかな幸せが灯っていた。けれども、だからと言って、皆が皆いつも幸せなわけでは無い。自分も毎晩、気が狂いそうになるのを堪えている。
そういえば自分は、子供の頃、サンタクロースになりたかったのだ。クリスマスの朝に、将来はサンタクロースになろうと、心に決めたのである。皆が眠る頃、可愛いきみのためだけに、こっそりとプレゼントを置いていく。きみは、子供のような顔で眠っている。一体何の夢を見ているのだろうか。こいつは朝起きたらきっと驚くだろうな、とニヤついて、自分は誰にも気付かれぬよう、窓から抜け出して消える。だけど、やっぱり本当は気付かれたいから、曇った窓を指でなぞって、きみにだけ分かる言葉を書き残しておく。「親愛なるマドモアゼル・ユー。今年ももうすぐ終わるね。どうかお元気で。メリークリスマス!」
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