壊れてしまう前にぼくらは
なんかもう暑くて日差しも強烈で、かと思えば雨も降り出す始末だから、もう全部どうでも良くなっちゃう。自分の店のこととか、今度のライヴのこととか、晩ごはんのこととか、全て忘れてしまいたい。裸になって冷たい湖に飛び込みたい。だけど、自分は今日も汗水流して街を歩き、仕事をして、ライヴのことをぐるぐる考えて、晩には鰹のタタキとか食べてる。結局明日もそうするのだろう。
長くて残り25年かと思うと、多分あっという間。もっと早めに終わる可能性もある。全ては水の泡と成り果てるのは仕方無いとして、そうなる前に、自分は一体何を想い描くことが出来るだろう。誰かのために、何かをやり遂げたい。身体と脳味噌を使い果たして、最後はちりぢりになって煙になって空に浮かびたい。
壊れてしまう前にぼくらは、行きたいところへ行くことにした。静かなその場所では、何のしがらみも無く、欲望や、駆け引きも、無い。そこにはチョコレートの山だけがあるのだった。一口かじると甘くて、隣できみが笑っていて、ああ、やっぱり全部どうでもいいかも、と思った。
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