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ひび

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日々のことについて文章を書きます。
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2024年12月の記事一覧

幽霊になっても

こないだ「ア・ゴースト・ストーリー」という映画を観た。交通事故で死んでしまった男が幽霊になって妻を見守り続けるという話。幽霊、つまりゴーストは、白い布で覆われており目のところが穴になっている、どことなく漫画的ビジュアルで可愛らしい佇まいなのだが、そのため表情も無く、勿論言葉も無く、ただそこにずっといるだけの存在で、だからとても切ない。残された妻を隣で傍観し続ける。大切な人に、伝えたいこと、伝えられ

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しょうもない芸人

芸人でもバンドマンでも、奇人変人ぶってるタダの見栄っ張り、単なる承認欲求野郎は見ればすぐに分かる。あぁ、こいつ、やっとるな、って思う。そういう人が一番しょうもない。見ているこっちが恥ずかしい。これはキャラとかそういう話では無くて、もっと根源的なもの、全ての舞台表現において、薄っぺらい見栄っ張り、背伸び、格好付けは、すぐに露呈してしまう。文章だったら多少はごまかしが効くように思う。ただ、人前に立って

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宇宙の迷子

彼方を彷徨う名無しの子は、不貞腐れた顔でカタツムリと戯れている。不意にキョロキョロしたかと思うと、またつまんなさそうな様子で三角になって、飛び交う流れ星をじっと見つめる。多分、自分の星を探しているのだろう。いつか、それは遠い昔のこと、あの頃自分がいた場所は、果たしてどこにあったっけ?懐かしい記憶をかすめていくのは、故郷の光景と、布団のぬくもりと、湯気の匂い。宇宙の迷子はふわふわと旅を続けて、明日は

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