遠くて身近な人々のこと
国立科学博物館で開催中の「特別展 大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」を観てきました。
今年は自分の中でエジプトが盛り上がっているなと思いながら、今年は「ベルリン博物館所蔵古代エジプト展天地創造の神話」「ライデン国立古代博物館所蔵古代エジプト展」と見て、今年ラストがここでした。
ガッツリ、ミイラ(笑)
「天地創造の神話」は神話から見る古代エジプトのあり方、「ライデン博物館所蔵古代エジプト展」は古代エジプト人の死生観、今回の「ミイラ展」は古代エジプト人のミイラから見る生活というような印象でした。
ミイラの中身の人がどのような人物でどんな仕事をしていて、どんな病気を持っていて死因は何か、というような感じです。
その中に死者の書やカノポス壺の話や神様の話はあるのですが、主にその時代の人がどう生活していたのかというのを垣間見ることのできるようなものでした。
これで改めて見ると、ミイラってご遺体なのですよね。そしてその棺の色鮮やかな装飾はその人がちゃんと死後の葦の野原に辿り着けるようにと祈りを込めたものなのだなと思ったのです。
古代エジプトはピラミッドとかスフィンクスやカルナク神殿などの建造物や独特な姿の神様、そしてミイラなど現代人にとってはとても不思議で好奇心をくすぐられるものが多いのですが、古代エジプト人にとってはそれが生活であり、そういうものであったということがわかります。
役人や神官といった人のミイラもありましたが、既婚女性や子ども、青年のミイラもあり、ただの埋葬法であったのだなと感じ取れます。
もちろん、このようにミイラにして埋葬されなかった人もいるかもしれませんが、それでも、役人や神官のような高位の人間ではなくてもミイラにして弔われていたということなのですよね。
つまり私たちはその時代に生きていた私たちと同じような人たちのご遺体を覗かせてもらっているのです。
それによって、その時代の人の死生観だけでなく、どんな病気があり、どんな治療をし、どんな食事をして何をして生きていたのか、そういうことを知ることができるのです。
それを知って何になるか……私は研究者ではありませんので、おそらく好奇心以外の何者でもないのだとは思いますが、ただ私の知識欲を満たすものになっていくのだと思います。
面白いと感じるその心を楽しんでいるんですよ。
本当に学びたいのであれば、メモを取ったり、予習したり復習したりするのでしょうが、本当に楽しむだけなので、あの非日常から出てしまうと忘れてしまうものも多いのです。
でも、それでいいと思っています。忘れていくだけで、もしそこで見聞きしたものが必要なら引き出されてくることもあるでしょうから。
ミイラのCTスキャン画像は最近見られるようになりましたが、それによってミイラを解剖することなく色々知れるようになったのも画期的ですよね。
そして、それを見られるのも面白いです。
今回は神々の出番は少なかったのですが、より古代エジプト人が神秘の存在ではなく、ちゃんとその時代を生きていた私と地続きの人間たちであったということをなんか実感した展示でした。
しかし、せっかくカハクに久しぶりに行ったので、常設展も巡りたかったのですが、じっくり見てしまったので、常設展まで足を伸ばせず断念。残念。
カハクの常設展も面白いのでまた今度は常設展目当てで行きたいと思います。