おちゃめな中学生とこわい中学生 ｜ 自転車ロード

湯の川から深堀や本通まで続く
自転車ロードがある
本当はサイクリングロードか
自転車道路なんだろうけれど
ぼくたちは 自転車ロード と呼んでいた

今は違うけれど
当時は歩行者レーンはピンク
自転車レーンはブルーに
きれいに色分けされていた

通っていた湯川小学校の近くに
自転車ロードの入口があって
正規の通学路ではないけれど
すごく近道できるので よく帰り道に使っていた

車が通らないし
人もそんなに歩いていない
静かだし
道は陸橋になったり
他の道の下をくぐったり
川が流れていたり
景色がきれいだった

ある日おのくんと帰っていた
　　関係ないけれどおのくんは
　　文房具屋さんのペンの試し書きのコーナーで
　　いつも「おの」と書く　　必ずだ

そんなおのくんがぼくは大好きだった
自転車ロードの歩行者側を歩いていると
向い側から中学生がチャリでやってきた

まだ遠かったので
おのくんがふざけて
「自転車はそっち！ていっ！」と
オレたちひょうきん族のアダモちゃんみたいに言った

それが意外にも相手の中学生に
聞こえてしまったようで
中学生は「すんませーん！」てへっ　みたいに
おちゃめに返してくれた

そのやりとりが
ぼくにはなんだか とてもうらやましかった

次の日めずらしく一人で帰ることになった
また自転車ロードを通っていると
向いから中学生がチャリでやってくる！

やった！ラッキー！と思った
昨日のおのくんのように
「自転車はそっち！ていっ！」と
相手にしっかりと伝わる大きな声で言ってみた

「うるせぇ！」
それが相手の中学生の答えだった
びっくりしたと同時に
同じことをしても違う反応が返ってくる
人生の奥深さと言うか
普通に年上に生意気な口聞いちゃいけないというか
いろんな感情がぶわっと頭をかけめぐった

その後はとぼとぼと家に帰った