恩は返さない
「応援をする」という行動に含まれる
・応援してあげている
・恩を売った
・こんなによくしてあげてる
・やってあげている
というニュアンスが苦手だという話を聞いた。
たしかに、「応援をする」には
そういったものが入ってしまうことは
多いな、と思う。とても多い。
でも、個人的には
「応援をする」は応援した段階で完結してる。
そう考えている。
「応援をする」っていうのは
応援したいからするのであって
頼まれてするものでも
見返りを求めるものでも
相手の何か(成功とか)を期待するものでもない。
応援したいから「応援をする」。
やりたいこと(応援したい)を
やらせてもらった(応援させてもらった)。
これで完結。
小さなエネルギーの循環としては。
ただ、応援のエネルギーは大きいから
この循環には納まらないエネルギーが生まれる。
応援してもらった人の中に。
そこに新しいエネルギーが生まれる。
そのエネルギーは、応援した人に返さなくていい。
そう個人的に思っている。
応援した人に返してしまうと
いわゆる「恩返し」をすると
やっぱり、応援した人と応援された人の間だけの
小さな循環になってしまう。
応援された人は
応援した人に直接返すんじゃなくて
その恩(を感じたのなら)を
別の人に回す。
恩は返すものじゃなくて、回すものだと思う。
応援してもらって、直接恩返しをしてたら
それは、ただのトレードになる。交換。
お金を払って、商品をもらうのと一緒。
小さな循環。
実は、こう考えるようになったきっかけがある。
僕が新入社員(デザイナーになりたて)だったころ。
20年前の話。
お世話になったデザイナーの先輩がいた。
20歳くらい年上の、チーフ。
いろいろ教えてもらったけれど
物覚えの悪い僕は、すぐに成長できなかったし
しょっちゅうミスばかりしていた。
そんな中、僕が入社して1年くらいたった頃
そのチーフが独立して退社することになった。
送別会の席で僕が言った言葉への
その方の返事は今でも覚えてる。
僕「Mさん、今までありがとうございます。
すみません、いただいた恩を、全然返せないで。」
チーフ「恩なんて返さなくていいんだよ。
僕がなにかして、それを返してもらっても、先に進まないでしょ。
もし、なにか恩みたいなものを感じたのなら
僕にじゃなくて、
那珂くんの後輩になにかしてあげれば、いいんじゃない?
その方が、よくなっていくよね。」
あぁ、素敵な考え方だな!と思った。
そうか、恩は返すんじゃなくて
伝えてくんだな、って。
たしかに、親や誰かに育ててもらった恩を
親に返していたら、そこで完結しちゃうよなって。
若い時に、こうした言葉をいただけたのは
とてもありがたい経験だった。
それから僕は
恩は返さずに、回すようにしてきた。
恩を返さないと言って、無礼をするわけではないけれど
敬意と感謝を伝えつつ
恩そのものは、他のところへ回すようにしている。
ひょっとしたら、
それが僕が生意気に思われたりするところかもしれないけれど 笑。
恩は返すものじゃなくて
回すものかなって、思ってる。
それを教えてくれたMさん、どうもありがとう。
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