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マッチングアプリで出会った人と結婚したアラサー女の婚活話 #10

関係性の深め方、人を好きになる方法について考える

さて、3か月の間1人の人に執心して見事に玉砕したわけだが。
ただで負けたわけではない。
私はちゃんと「3か月以内に関係性を深めて恋愛関係に駒を進めること」という次の目標を得たのだ。
……などとほざきながら、具体的にどういった行動をとればお相手と恋愛・結婚関係的な意味で関係性が深まるのかは皆目見当がついていなかった。
というか、関係性を深める以前に婚活で出会う人は殆どが初対面の異性だ。
なんなら毎度「好き」どころか「うっすら警戒」から始まっている。
ある程度の期間当たり障りのないやりとりを続けてようやく相手のことを「大丈夫かも?好きなのかも?」と思える。
そうしていると3か月なんてあっと言う間に来てしまうのだ。
そんな状態なのに一体全体どうしたら3か月以内に相手のことを好きになって、その上関係性を深められるのだろうか。

色々検索をして、恋愛の勉強をするには恋愛ものの少女漫画を読むべし、という情報をみかけた。
私は素直に恋愛物の少女漫画を読み漁った。
男性視点も大事だと思って、ついでに少年漫画も読み漁った。
結果、何がきっかけで人が人を好きになるのかは全く以て分からなかった。
奴らは結構唐突にときめいてどさくさに紛れてキスしてなんだかんだでお付き合いしているような気がする。
なにもわからない。

やっぱり漫画を参考にするのは無理があるのかなと思ったので、丁度この時期に結婚報告をしてくれた友達に色々聞かせてもらった。
「どんなところがが好きなの?」とか「結婚の決め手は何?」とか。
友達は「うーん……分からんけど、自分と全然違う考え方をしていて、でも興味を惹かれる相手だったからかなー……」と答えてくれた。
そして最後に「人によると思うよ~」と付け加えられた。
結果、何も分からなかった。

つまり人を好きになるきっかけなんて「何も分からない」が正解なのではないか?
「解なし」が解なのだ。
我々はきっと理屈ではなく感情というか本能というか、そんなような言語化できない何某かで人を好きになっている。
最悪当人に魅力を感じるのではなくて「持っているもの」や「その場の雰囲気」で惹かれていたりする可能性すらありそうだ。
まとめて一言で言えば、「人を好きになるのに理由なんていらない」のだ。

だから「相手をどうやったら好きになれるか分からない」のではなくて、「相手が好きである」とまずは仮定してしまえばいいと思った。
そこから関係性を恋愛方向に深めていくためには、相手と恋愛についてや結婚についての話をしていくしかない。
そう結論付けて、私は次のターゲットと出会うことにした。

32歳 マッチョ

マッチョだった。
上腕が発達しすぎて脇が締まらないレベルのマッチョだった。
大腿四頭筋が発達しすぎているのか歩き方もマッチョ特有のそれだった。
最近の悩みは「30代になって友達は焼肉が受け付けないというが、自分は焼肉大好きで友達と食の楽しみを共有しきれない」だった。
最近の悩みまでなんかマッチョだ。

なんて平和な人だろう。
普通に会話もできて、適度に礼節があり適度にくだけていて、本当に本当にとても良い人だ。
よし、この人のことを好きになろう。

そう思って関係の構築を始めた。
辺り障りのない筋トレの話をいくらかした後で、恋愛の話を差し込んでみたりした。
がんばろう。良い人だからこの人のこと好きになろう。
でもなぜか、そう思えば思うほど相手に対する嫌悪感が増していった。
本当に間違いなくとてもいい人なのだ。お相手は何一つ悪いことはしていない。
でもなぜかマッチョの一挙手一投足に対して嫌悪感を感じるのだ。
段々筋肉が付きすぎて脇が締まっていないことにまでイライラしてきた。
マッチョは最後「桜の咲くころに会いましょう」と言って帰っていった。
(来週か再来週には桜が咲きますね、なんて時期だった)

それから、夜にLINE で小一時間程2回くらい通話した。
マッチョは本当に何も悪くないんだが、すごく嫌だった。
凄く嫌だけれどそれでもとても良い人なので好きになろうと思い込もうとしたが無理だった。
そうこうしている内に突然マッチョからの連絡が途絶えた。
私はマッチョを心配するでもなく、申し訳ないけれどただひたすらにホッとしてしまった。
「婚活相手をとりあえず好きと仮定する」のは少し無理があるのかもしれないと思った。
でも逆に言うと、どんなに良さそうな人でも無理矢理好きになろうとしたって好きになれないのだから、相手をデフォルトで「好きになろう」という気持ちで婚活に臨んでも大丈夫なんだなと思った。

あまり周囲をキョロキョロするのも失礼だけれど、それでも周りからの学びって大きい

そしてマッチングアプリですぐに会える程の関係性の人がいなくなってしまった私は、その合間でまた婚活パーティーに参加することにした。
もちろんマッチングアプリも継続して、新しくマッチングしてメッセージのやり取りを続けてはいる。
結論から言うとこのとき参加した婚活パーティーでも残念ながら良い出会いを見つけられなかったのだが、とある女性参加者から気づきを得た。

私が婚活会場に行くためのエレベーターを待っていた時のことだ。
後からやってきて同じエレベーターに並ぶ女性がいた。
その人は、すらりとした長身で、綺麗な長い髪の毛で、白いカーディガンにスカートを合わせていて、とってもきれいな人だった。
同じ婚活パーティーに参加するんだろうなということはすぐに気が付いた。
でも、先にいた私に会釈するでもなく、かといってスマホを触るでもなく、暗い表情でずっと前を見ている。
ちなみに私だって相手に挨拶をするわけでもないのでお互い様だし何ら不快感はない。
普段だってエレベーター一緒になっただけの人に声をかけたりしないから普通だと思うのだけれど、その時ばかりはなぜだか心にひっかかりを覚えた。
そうして沈黙のまま、お互い暗い表情をして同じエレベーターに乗り、同じ婚活会場で降りた。
もちろんそのまま別行動、お別れである。

これが私の周りの既婚者女性、例えば母とか友人だったらどう振舞ったかなー…と不意に考えた。
きっと目的地が同じ人が1人でいると見るや否や、挨拶をしてそこから良い感じに世間話でもしていたんじゃなかろうか。
そうじゃなくたってにっこり笑って会釈くらいはしたんじゃなかろうか。
思えば私の周りの人たちはみんないつもキラキラした表情をしている。
会えば当たり前のようににっこり笑って挨拶してくれるし、いろんな話を楽しそうに聞かせてくれる。
そうしてくれるので、私はいつも楽しい気持ちでいられる。
一方の私はというと、エレベーターで一緒になった婚活女性と一緒で、特に表情に気を付けるでもなく、人がいても挨拶するでもなく過ごしている。

家族にも友人にも婚活相手にも「相手の話を聞いて楽しい」とか「一緒に過ごしてくれて嬉しい、ありがたい」そう思うことはあったけれど、果たしてそれってどのくらい相手に伝わっていただろうか?
にっこり笑って明るい表情で相手の話を頷きながら聞くことって、相手を尊重して、心地よい気持ちでいてもらうために必要な振る舞いなんだと唐突に気が付いた。

明るい表情を作るのは得意じゃないけれど、相手に楽しい気持ちとか感謝の気持ちとかが伝わるように頑張っていこうと思った。
普段なら周囲なんて全く見ていないのに不意に目に留まってこんな気づきを得られて、私はあの時エレベーターが一緒になった女性って実は神様かなにかだったんじゃなかろうかって誰にも言わずにこっそり思っている。

相性がいい人ってやっぱりメッセージの印象が抜群に良い

そしてこの婚活パーティーの日、今の夫になる人とマッチングした。
プロフィールで「すぐに会いたい」を選択していたので本当はマッチングしないでおこうと思っていたのだが、前述のエレベーターで一緒になった女性のことを考えながら操作していてうっかり間違えていいねを返してしまったのだった。
でも、届いたメッセージの1通目の印象が抜群によかったのを覚えている。
私のプロフィールを読んだ上で、私が1番大事にしたいと思っているところを抜粋して、それに関する質問を投げかけてくれていたのが分かった。
「すぐに会いたい」を選択していたので警戒していたけれど「すぐに会おう」と言ってくるわけでもなかった。
その後は1日に1回、決まったような時間に必ず読みやすくて返信しやすいメッセージをくれた。
キラキラした絵文字もないし、言い回しや慣用句の使い方も私の好みだった。

メッセージだけで好印象を持ちすぎてしまいそうだったので、
マッチングして1週間ほどで私の方から会ってほしい旨メッセージをした。
早いかなと思ったけれど相手も「すぐに会いたい」を選択しているからいいかなーと思った。
おやつの時間帯にカフェでお茶をする約束を取り付けられた。
メッセージの印象と実物が違うなんてことあるあるだから…と期待しないよう自分に言い聞かせていたが、会う日まで期待と緊張が止まらなかった。
この頃になるとマッチングアプリで人と出会うことに慣れてきていて殆ど緊張なんてしなくなっていたので、久々の緊張だった。

そして当日。
私はカフェで先に待ってくれていた夫に向かって、「この人を好きになるんだ」と思いながらとびっきりキラッキラの笑顔を向けて「夫さんですか?初めまして!」と声をかけるのだった。
(なお後日、夫はこの時の私について「全然笑顔じゃなかったし目力強すぎてすごく怖かった」とボソッと呟くのだが、それはまた別のお話。)

今回得た婚活の知識

  • 人を好きになるのに理由はいらないけど、無理矢理人を好きになるのには無理がある。

  • 良い人だからって好きになれるとは限らない。

  • 周りの既婚者と自分を比較してみると得られる気づきがある。

    • 私の場合は「にっこり笑って明るい表情で相手の話を頷きながら聞くこと」ができていないことが大きな違いだった。

  • 人といる時に明るい表情や笑顔を作ることは、相手にできる最大の心遣いである。

  • 作った笑顔が本当に笑顔になっているかどうかはまた別である。

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