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「島と僕」は Instagram から始まった  〜島の本できるまで〜

「島の本を作ったんです」というと、「どうやって?」「出版業界の人?」って聞かれることが増えてきたので、島で暮らすただの僕が本を作るまでに至った過程を残しておく。

本を作ってみたいと思う人の何かを解決できればと願いを込めて。


2019年の12月、瀬戸内海の大崎下島に暮らし初めて、自身の生存報告の意味合いも兼ねて、Instagramで島の日常の発信を始めたのが3年前。発信のコンセプトなどはなく、島のことが認知されてほしいと漠然と思っていた。

最初は瀬戸内海の島だけをアップしていたのだが、島は瀬戸内海だけではない。アカウント名 setogurashi(瀬戸内暮らし)から現在のアカウント名 shimatoboku(島と僕)へ。

「島をみぢかに感じてほしい」

いろんな人から、「なぜ、島が好きなのか」「なぜ、島を発信したいのか」と問いかけられ、自分でも問いかけるようになった。

「島に縛られすぎていないか?」「島じゃないと本当にダメなのか?」と思い悩むこともあった。僕自身、島出身のわけでもない。

出会う島の人が大好きなことは変わらず、そんな島の人たちの暮らしが続くように、島を認知してもらうことで、島の人口減少が少しでも緩やかにならないだろうかと。

誰もが「島をみぢかに」感じてほしいと、そんな願いを込めて、Instagramの運用を続けることに。

橋で繋がった島から、船でしか行けない離島へ

いろんな島を訪れる中で、橋で繋がらない島での暮らしへの憧れが強くなった。大崎下島は今でも度々訪れるほど大好きで、 #実家よりも実家 と思っている。

島の文化や暮らしを聞き書きし、本にまとめる佐賀県の地域おこし協力隊の仕事内容に惹かれて佐賀県の小川島に移住することにした。

佐賀県には7つの有人離島があり、人口は多くて300人、少ない島は40人ほど。いつか島の暮らしや文化は誰も知らなくなってしまう。暮らしなどの島文化を聞き書き調査し、本にまとめる。

大まかな業務内容

島の本を作るといっても、今まで本を作った経験はないのだ。どうすればといいのだろうかと考えていたところ、地域おこし協力隊制度は、研修を受けることができるのだ。就業先の行政すなわち佐賀県と相談し、雑誌を制作する工程を学ぶ研修を受講した。

「島で頑張る人を伝えたい」

天狼院書店さんの雑誌を作るゼミは、制作してその後自分はどうなりたいのかを考え学ぶ研修でした。(とてもざっくりとした説明です。)島の本を作ってどうするのか。最初は島の本を手に取った人が少しでも、「島をみぢかに」感じてもらうことができたらいいなと思っていた。

「『島をみぢかに』感じるだけでは、その先がない」と講師に指摘される。ただ作って終わりはもったいないのだ。島に来たいと思ったり、島のために何かしたいと思ってもらい、行動してもらうことが最終目標へと変わった。

ただ、自分が訪れた島のことだけを書くのは、自己満足だと気づき、島で頑張る人、特にマニアックな島で活動する人や場所にフォーカスしていきたいと思うようになった。

Instagramでいつも楽しく拝見している山口県の見島へ連絡し取材交渉をしてみた。SNSで発信を真面目に取り組んでいる方は、取材にとても丁寧に対応してくださり、人生で初めて書いた原稿にも丁寧に返信をくださった。

写真も構成も編集も、自分の独学で行い、3つの島々への取材も含めて1ヶ月で完成したのが「島と僕 創刊号」だった。今読み返すと、もっとこうすればよかったと反省点だらけであるが。

天狼院書店さんの雑誌を作るゼミ(研修)は、制作した雑誌を期間限定で店頭販売してくれるので、入稿締め切りが大きな原動力になった。

デザイン制作ソフトはADOBE In Design を使用し、印刷はプリントパックへ発注し、300部で約6万円の印刷費用。

期間限定の店頭販売の他に、Facebook・Instagramでの告知でオンライン販売を行い、全く知らない人にも購入してもらい、応援の言葉をいただいた。

今は、島で暮らしていませんが、島出身で島の本を見かけて購入しました。島のために何かしてくれる人がいることは、とても嬉しいです。

Instagramのダイレクトメッセージの一部

「島をみぢかに」に感じてほしいと思って制作した本が、島出身の人に届いたことは、島を思い出すきっかけになってくれたような気がして、胸が高まった。1冊の本を作る工程はとても多く、大変だったが、これかも続ける原動力となった。

大崎下島 久比 取材合間の1枚

次号は2023年の夏から秋にかけて、発行を予定して制作を進めている。少しでも多くの人に、「島をみぢかに」感じてもらえるように、これからも島を伝えていきたい。

Instagramから始まった情報発信は、いろんな人とご縁をくれた。SNSを通して、これからも島活を続けていきたい。


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