仕事≒無茶
えっ、一週間はやいね。なんてこったい。シマシマの時間だったよ。
えー前回は汗して働くのはみんな大好きっていう話でした。今回はこれをもっと深堀りした話にしましょう。
シマシマずっと思っているのですが、「苦労することが仕事をしていると思う人」っていますよね。
昔の人に多い気がする。今はタイパだコスパだといって何かとシマりがちだからです。
そっちも突き詰めていくと、味気ない人生になっていくのですが……少なくとも効率重視なので効率はいいです。
「苦労している」とは非効率的なのです。
今回はそんな話。わりとディープな議題です。
ディープすぎてシマシマももうちょっと消化できていないけれども、前回の「苦労してみせるために、無いはずの在庫を探しに行く」は仕事だとは言えないけれど、お客のニーズに合わてそんなパフォーマンス(!)もいると思えば、仕事になっちゃうんですよね。
これの規模を大きくしたのが、「台風で交通手段がないけれど頑張って仕事に来ちゃう」とかだと思うんですよ。
こんな日に仕事なんて無茶! だけど暴風雨の中に飛び出していった私は飛ばされそうになりつつタクシー捕まえて出社できた! 同じく、ボロボロだけどやってきた仲間たち! 頑張ってる! 頑張った! 仕事した! みたいな。
実際台風で他社は動いてなくて客もいなくて商売にならんみたいな感じで、むしろ来るほうが非効率なんだけど、なんて仕事熱心! とやり遂げた自分に感動できる。やり遂げた仕事ではなく、やり遂げた自分。
この、どれだけ苦労したかで仕事を計っているのってよくないと思うんですよね。あ、もっと単純なのがあった。残業だ。残業するほど偉いの法則。
いませんでした? 残業自慢するひと。同僚に。
あれはクレーム電話を受けた日だった。
真っ当な失敗のやつだったからそこはすみません。配送の失敗はよくある。
とりあえず再配送は明日につくということは何度も伝えているのだが、先方様は「必ずつくのか保障しろ」というのである。
「明日には配送の予定でございます」
「予定じゃなくて明日来るのかって聞いてるんじゃ! 必ず来ると何故言えん!」
これですね、確約はしてはいけないと言われてるんですよね。配達業者さんと提携してるんですけども。
地震・雷・家事・台風・道路陥没・地雷発見・爆破予告ともかく、予期できるものからできないものまで何が起こるかわからないので確約しないようにと。
いや、自社で配送ならしてもいいですけど。今日から配達行って玄関前で寝泊まりして朝になってピンポン鳴らせばいいし。しかし、商品を出すところまでがうちの仕事なんですよー。
「提携したなら、提携した先のことまでそっちが責任を持つべきだろうが!」 えぇー。
まあ、大丈夫だろうけどね。天下のクロネコ様だし。98パーセント大丈夫だと思うけど。
ともかく、「そのくらいの覚悟で仕事をしろ」という話だった。ご高説も一時間聞いてたらねー、さすがにダレるんですけどね。
そんなこんなで、じーさん根気よく一時間ほど気持ちよく怒鳴っている。ふと気が付くとえらい時間である。だってじーさん閉店間際に電話してくるんだもん。
「もう店は閉まってるのか」
「ええもう閉店時間は過ぎてますよ。一時間ほど」
「じゃアンタ残業か」
「サービス残業ですね」
すっごい皮肉も言ってみたんだけど、それを聞いたじーさん、電話口でもわかるほど、すっごい満足気に
「そうか」
と言った。
なんか。イヤだった。
一時間喚かれていたより、これが嫌だった。ものすごく覚えている。
一時間もサビ残でクレーム電話を聞いていたという事実が、「頑張って仕事している」の感動スイッチを押して溜飲が下がったのだと思う。じーさんいう所の「覚悟ある仕事をしている」姿だったのだろう。「アンタもご苦労さんだったね」とまで言われた。
すごいな、感動スイッチ。私はアンタより若いので、これのどこが一生懸命仕事してる姿なのか、よくわかんなかったよ。
仕事を一生懸命やる。
仕事で苦労する。
これは実は、イコールではないのだ。仕事だけでなく何事もそうだけど。
ムダで、する必要のない苦労は、「努力してる!」という誤認感動できる以外には何の役にもたたない、とりわけ成長の役には立たない。
若いうちの苦労は買ってでもしろ、というのは、「ただし苦労の質による」と続かせるのが正解だ。
若者のためを思って、我儘言っておっかぶせる苦労は、該当しない。