目立つ存在になろう
どの仕事でもそうですが、知識だけではどうにもできないことが意外にあります。それは「経験」や「ノウハウ」と言われることもありますが、学校写真の世界ではもう少し違う要素もありました。
学校写真の仕事では、写真の知識が豊富で写真歴の長い人でも、良い写真が撮れるとは限りません。
それは、人対人の関係性が写真にしっかり残るからです。
わかりやすい例を挙げてみます。
趣味で風景写真を長くやっている人に、全体集合写真の撮影を依頼したとします。
全体集合写真は大伸ばししますから、高画素数のカメラと、歪みの少ないレンズを使って、しっかり絞って写真を撮ります。三脚を使うかどうかは場合によりますが、必要とされる機材と撮影手法は風景写真と全く変わりません。
しかし、実際はなかなかうまく撮れないのです。
撮ってきた人は「思っていたよりずっと大変だった」と必ず言います。
自分のペースでじっと対峙できる風景写真と、たくさんの意思を持った人間の集団。勝手が違うのは当たり前なのです。
撮影対象に、自分の存在を知ってもらわなければ、意識がそこへ向くことはありません。
結果として、撮られた写真は「綺麗」かもしれませんが「意識」がこちらに来ていないので、つまらない写真になってしまいます。
自分は学生時代(今も含めですが)外見にはコンプレックスがあります。
常に年上に見られるのと、とにかく「身体が縦横にでかい」のです。身長180cm・体重も100kg以上あります。
19歳の時にガソリンスタンドのアルバイトしていて10kg落ちたのと、30歳くらいの時にダイエットにチャレンジして15kg落ちたことはありますが、どちらも一時的なもので、しばらく経てば元に戻りました。
しかし、この仕事をしていると、どちらも非常に有利に働きます。
年上に見えるということは、若いうちから経験者に見られるので、相手が不安感を覚えることが少なくなります。それは信頼につながる部分であったりもします。
大きな身体はどこへ行っても目立つので、すぐに覚えてもらえます。たまにしか行かない学校や、仲間のヘルプで行った学校でも、だいぶ期間が開いてから再度行ったとしても「あぁ、また来たね!よろしく!」となるのです。
背がすごく高い・低い、太っている、ハゲている、クセの強い顔をしている。みんな自分の意思で簡単に変えられるものではないので、馬鹿にされてきた過去もあるでしょう。
でもそれは仕事を始めると「他の人と違う」という個性になります。
変な例えですが、学生時代にマドンナ的な女子や、アイドル的人気の男子がいたことでしょう。確かに彼女ら・彼らは目立つ存在で輝いて見えたでしょう。
でも、そのままの勢いで芸能界に入ったとしたらどうでしょうか。
美人・イケメンというだけならいくらでもいます。よほどの他者との違いがなければ、すぐに個性は埋もれてしまいます。彼女ら・彼らは「その特定の集団に限って」目立っていたにすぎないのです。
僕らの劣等感から生まれたコンプレックスは、そのまま武器になるのです。
ただし、暗い顔をしていたらダメです。少なくとも大きな声で明るい挨拶を心がけましょう。それだけで全然違ってきます。
自分が覚えている「人物」をよく思い出してみてください。みんな何らかの特徴がありませんか?
変わったクセのある先生はモノマネされやすいのと同じで、特徴がある人は印象に残ります。それは仕事をする上で強力にプラスに動きます。
世の中には、どうしても覚えてもらいにくいという人もいます。自分のカメラマン仲間でもいました。
その人は、撮影のときは必ず虹色の帽子をかぶっていると言っていました。そうすると帽子が目立つからみんな覚えてくれる、と。
本人が覚えてもらいにくいなら、目立つ衣服や小物でアピールするのもありなのです。
虹色の帽子もそうです。目立つデザインのメガネ(華美じゃないもの)や、いつも同じ目立つ色の服を着ているとか(常にピンク色の服のカメラマンさんも知っています)で良いのです。
常にカメラマンベストを着ている知り合いは、その細身な身体とおじさんという年齢から、生徒から「戦場カメラマン(渡部陽一さんのこと)」とあだ名がついたりもしました。
ただの1人のカメラマンとしてでなく、あなた個人として覚えてもらえる工夫をする。意識をこちらに向けてもらえるようにする。
それだけで、仕事の雰囲気はきっと変わると思います。
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