お勧めする写真展 (マシュマロ撮影会企画編)
【 概説 】
本記事では、お勧めする写真展の一つとして「マシュマロ撮影会企画写真展」を紹介します。
【 購読対象者 】※本記事は無料です。
・初めての出展を検討している方。
・出展というものを一度体験したいと考えている方。
・M企画写真展に興味がある方。
【 筆者写真展参加歴 】
2020年 RE:PORT展
2021年 Mマロ6周年記念、るい&マリ展、紫ノ宮ななみ展(全部Mマロ企画)、NEXT展
2022年 The World in YOKOHAMA写真展、Mマロ7周年記念(Mマロ企画)
【 備考 】
・あくまで写真展の紹介のため、展示自体に関する細かい解説(用語、展示方法等)は省略しております。
※展示未経験の方向けの解説的な記事はいずれ作成予定。
・初出展の方にも向いている、ということであって初心者向きの写真展という意味ではありません。
はじめに
写真撮影を趣味とする場合、特にポートレート撮影について現在の一般的なフローは「撮影してその画像をSNS上に投稿すること」です。
SNSというツールがあるからこそ、成り立っている趣味といっても過言ではありません。
また、フォトコンや何らかの審査・認定に関するイベントなどにおいても、「データ」での提出が主流となっております。
つまり、印刷しなくても自分の作品を「簡単に」公開したり、審査を受けたりする環境は既に整っているわけです。
それでも撮影活動にハマといずれ展示してみたい、という願望が生まれるでしょう。
その理由は様々ですが、
・人間は飽き性。
・ポートレート界隈は展示でも盛り上がっている。
・(言い方はアレですが)参加費さえ払えば出展できる写真展が結構ある。
・なんなら、自分(達)で企画すれば開催できる。
・出展するとなんとなくカメラマンぽい活動をしている感がより出る。
などによるものではないでしょうか。
ちなみに私の動機は以下。
・ポートレート撮影活動を開始してからいくつかのポトレ写真展に行く中で、いつかこういう展示もやってみたいなぁと思っていたこと。
・SNSにデータとして公開して見られている環境はほぼスマホ。できれば大きな画で見てもらいたいし、自分も見てみたいと思っていたこと(実際に自分が写真展で大きなサイズのプリントを見て特にそう感じた)。
そこで、ではどこの写真展にしようか・・・ということなりますが、私の初出展は2020年10月に開催されたRE:PORT展というものでした。
実はこの時は撮影活動開始から半年足らずでいきなり出展という流れで、振り返ればよくやったなと思いますが、それでも印刷から出展までド初心者だった自分でも結果的に満足でき、いい経験ができたと思っています。
いやぁ赤レンガ倉庫の展示会場、良かったわ…
ただ、参加費や印刷代(やり直しも含)、その他諸々でGodox AD200が買えるぐらいかかりました(もちろん得たものが良かったので何も問題なし)。
また、他の出展者様の普段の作例を見ると「おぉぉ…」というものばかりで、参加申し込みをする段階では少し悩んだ記憶があります。
それだけに、まだ出展したことがない人にとって大規模な写真展は敷居が高いと感じる人もいるかと思います。いくらお金さえ払えば参加できると言っても。
そこで、自分自身が実際に経験して良かったと感じ、これから展示をしてみようと考えている方にお勧めするのが、今回ご紹介する「マシュマロ撮影会企画写真展」です。
「マシュマロ撮影会企画写真展」をお勧めする理由
cafe & gallery Biscottiとは?
マシュマロ撮影会(Mマロ)の主宰であるモデルの秋元るいさんが経営する飲食店。
https://www.cafe-biscotti.com/
この店舗はギャラリーとしても展開されております。
cafe & gallery Biscottiで展示するパターン
貸し切り
撮影会の企画として参加(Mマロ企画写真展)
1.は店舗のスペースをレンタルし、出展者が自由にその内容を企画する形となります。
本記事は主に「写真展に興味があるが、まだ展示というものをしたことがない」方を対象としているため、2.の紹介を致します。
マシュマロ撮影会企画写真展とは?
マシュマロ撮影会が、撮影会企画の一環として不定期で実施している写真展。
基本的にモデルが指定されており、そのモデルさんを撮影した画の写真展となる。
なぜお勧めするか?
①展示方法が限られる。
ひっつき虫かワイヤーを使った方法しか展示方法がありません。しかし、この制限(しばり)が逆にいい経験となります。
「ひっつき虫」と「ワイヤー」は、写真展示では頻出のアイテムであり、基礎でもあります。
どんなに制限があっても「ひっつき虫」か「ワイヤー」は対応しているスペースがほとんどのため、この2つを経験しておけば間違いありません。
実はRE:PORT展ではピン打ちだったため、ひっつき虫を体験したのはここが初めて。
壁についたひっつき虫を剥がす場合、「ヌリヌリしながら剥がすと余計に悪化する。ポンポン叩きながら剥がすんだ!」ということを私はここで習得しました。
その他に、
・ひっつき虫の強度。
・ワイヤーでの配置具合。
・これらの展示方法で「正確に、均等に配置することの難しさ」
・設置にあたってどのような道具が必要か。
・どのぐらい設置に時間がかかるのか。
・コクヨ製がやはり良いのか、他のものでも問題ないか。
などなど、様々なことが経験できます。
なお、まったく展示経験がない場合は、ワイヤーよりもひっつき虫をお勧めします。
・ひっつき虫の強度や量、作業時間がどのぐらいかかるか等は一度経験してもらいたい。
・ワイヤーで展示する場合、額装やその他でコストが増える。
・配置さえ明確であればワイヤーはすぐ設置が終わってしまい面白くない。
②展示方法が限られるため、展示方法はハレパネか額装になることが多い。
もちろん、L版や2L版などのサイズを壁に直貼りしてモールでキラキラ、みたいな洒落た展示も可能ですが、初めてならハレパネは是非一度は経験してみてください。
「ハレパネ」も展示では頻出であり、ゲタを履かせず壁にひっつき虫で貼る、これが基本です。
・業者に頼むか自作するか。
・どのぐらいの厚さなら反りにくいか。
・ひっつき虫との相性はどうか、どのぐらいの量があれば落ちないか。
などなど、様々なことが経験できます。
それにハレパネはコストがグレードによってはかなり安いです。
出展するに辺り、参加費やレンタル料が気になるところではありますが、「作成にもコストがかかる」という点も忘れないでください。
例えばA4 10枚を展示できるスペースを得ても、1枚1000円なら1万円かかります。
ちなみにNEXT展はA4縛りというものでした。
③環境がそれなりに過酷。
本会場は「飲食店」のため、温度や湿気等について必ずしもいい環境ではありません(とはいえ、焼き鳥屋とかそんな感じではない)。
また、照明の位置関係で展示エリアによっては特別に熱くなるエリアがあります笑
ですが、このような環境を経験することも有意義です。
プロも使うようなガチなギャラリーは温度管理や空調が整っていますが、利用料も高く、そのような場所での展示は、よほどハマらなければ今後もまずないでしょう。
逆に参加費を払えば出展できるタイプで大規模なものは、撮影活動を続けていく中で今後も出展する機会があるでしょう。
大規模な会場ほど、環境は安定しません。
今まで大規模会場は2回経験しましたが、自分は幸い特に問題ありませんでしたが、ちらほら落下している作品もあって。
ハレパネは落ちると凹むので、かなり悲しい…
ちなみに2022年1月「The World in YOKOHAMA」のみなとみらいギャラリーは、完全オープンスペースとクローズドなスペースが入り混じっており、安定はしません。
日中は暖房で暑く、閉館後は0度に近い気温だったため、展示方法の制約上パレパネが多いグループとしては色々参考になりました笑
④参加費が安い
状況によって変動するかもしれませんが、展示スペースを10の区画に分け、1枠4000円(税抜)が参加費というパターンが多いです。
以前は6区画ぐらいだった気がするのですが、収支を考えて10にしたのでしょう。
貸し切りの場合は、同じ日程で3万円(税抜)のため少々高目に設定されておりますが、それでも1.2m×1.2m程度のスペースの値段としては「展示スペースだけに着目して相場と比較」した場合、安いです。
※後述する「注意すべき点」を考慮すればこのぐらいが妥当かな、と思っています。
展示するとなると印刷代も含め結構なコストがかかります。
毎日在廊した場合、場所が遠方であれば交通費も高額になります。
お試し的に展示をしてみたいなぁと思っても、そのコストで躊躇してしまうかもしれません。
その意味でも、この企画は適していると思います。
⑤感想ノートの記入率が高い
重要です笑
私自身はポートレート撮影をやり出してから写真展にちょくちょく行っており、初出展前から「感想ノート」なるものの存在を知っていました。
しかし通常は初めての出展でノートを置くという発想はない、もしくは躊躇するかもしれません(BADコメントを書かれやしないか?との恐怖w)。
置くかどうかの判断は出展者によりますが、置いた以上はやはり何かしらの記入が欲しいもの(もちろん称賛コメントを)。
「感想ノートを置いてみたが、何も記入されていなかった」というのは、本当に事件です。
実際のところ、一般的にポトレ展示に関しては被写体となったモデルさんが来場してくれ、たいてい記帳もしてくれるため完全に未記入という状態はまずないと思いますが、記入が「モデルさんだけ」という結果も相当な事件です。
しかし、ビスコ展示に関しては安心してください。
期間中に出勤したキャストさんや常連客の方々、他の出展者さんがたいてい何か書いてくれます。
当然ながらマイナス的なコメントはありません笑
⑥設置トラブルがあってもとりあえずなんとかしてくれる。
もし開催期間中に落ちてしまったと等が発生しても、キャスト自身が慣れているため修復してくれます。
なので、搬入時と搬出時しか来店できなくても安心できるかなと。
⑦必要最小限の準備でも出展できる。
これは展示方法が限られる、ということも影響しておりますが、最低限「展示画」と「ひっつき虫」だけあれば、展示できてしまいます。
⑧搬入、搬出時間が遅い時間帯まで対応している
一般的に写真展の搬入・搬出時間は会場の営業時間が基準となるため、搬出は18時や20時までに、と設定されることが多いです(ただし、たいてい搬出日は休日)。
しかし、ビスコ展示の場合は22時ぐらいまで対応しているため、「搬出のためだけに仕事で半休や休暇取得しなくても済む」という面があります。
注意する点
マシュマロ撮影会の企画であること
これは注意というより前提の話ですが、Mマロに特化した展示イベントのため、その制約が入ります。
自分自身で企画する場合と違い、撮影会の企画の一環で行われるため、被写体はマシュマロ撮影会のモデルに限られます。
従って、Mマロで撮影したことがない方にとってはまずそこから、となります。
※多分専属モデルに限定はされていない。
ただ、実施時期や対象となるモデルは総裁のノリによって決まるため、自分が展示したいモデルさんが対象となるか、それがいつになるかは読めません。
※企画は業として実施しているため、それなりに活動しているモデルさんでないと対象にならないかもしれません。
※諸事情により企画写真展の開催頻度は増えている傾向にあります。
※もし実施時期やそのモデルさんで出展したい、というのが決まっているのであれば、貸し切りタイプで他の出展者とシェアする方法もあります(他の出展者を集める難しさはありますが、その方がコストも安く計画も立てやすい)。
ちなみに、
・ニューフェイス展
→撮影会所属して1年未満の~みたいな感じの。
・メジャーフェイス展
→所属して3、4年の~みたいな感じの。
というように特定のモデルではなく範囲で指定してくる場合もあるため、このような企画を利用するのもいいでしょう。
いずれ企画ネタが枯渇して、「誕生月が奇数で所属が3年未満」とかマニアックな条件ものがあるかもしれません。
「在廊」という体験はあまり期待しないほうがよい
この在廊というものは、出展したら是非やった方がいいと思っています。
極端に身構える必要はなく、撮った場所、撮影方法、機材、モデルさんの話等々、そんなのを話せばいいのです。
「これは◯◯を意識したんですか?」と聞かれたら、実際は何も意識してないけど「結構そうですね」とか微妙に答えておけばいいのです。
とにかく生でコミュニケーションをする、というのが大事なのかなと。
そもそも写真展への出展は「公開したい」という意味では同じことです。
しかしSNS公開に比べ、公開範囲は相当狭くなります。
だからその分、リアルを楽しまなければもったいない。
あとカメラマン側は横のつながりってあんまり機会ないと感じています。
なので、こういう機会は積極的に在廊しに行ったほうがいいかなと。
で、ビスコについてですが、飲食店なので在廊しにいっても基本的にはカレーを食べるだけです。
特に在廊者であることを示すものはないので、自分の存在が知られていない場合は自らがその存在をアピールしない限り、展示品の解説など在廊的なことを何もすることなく終わります。
その点、机の上に「エリアAの出展者」みたいな置物でもあればいいかな?とか思ったりしています笑
※一般的な写真展では在廊者は通常ネームホルダーを下げます。
[余談1]
在廊について最初は積極的に声かけするタイプでしたが、大規模な写真展を経験して「全部見るには結構な時間がかかる」ことがわかりました。
来場者には「全部見たい、時間がない」という方も多いと思うので、現在は基本的に受け身で、感想ノートに書いてもらったらお礼も兼ねてこちらから声かけする、というスタイルでいます。
[余談2]
ビスコ行ってカレー頼むと15~20分ぐらいで提供されます。
生米から炊いているのに(推測)何故そんなに速くできるのか?と思っていましたが、現在の炊飯器って10分程度で炊ける機種もあるんですね…知らなかったです。
搬入・搬出が平日である
代理で依頼することもできますが、そもそも色々経験してみたい、ということであればやはり自分で実施すべきでしょう。
しかし搬入・搬出は平日のため、職業によっては調整が必要となる場合があります(そのためだけに休暇取得とか)。
コロナ規制の影響を受けやすい
2022年4月現在、コロナについては収束に向かう(向かわせよう)とする流れはありますが、まだ予断を許しません。
本写真展はカフェという飲食店内での展示となるため、国や都の規制を受ける場合があります。
私は2020~2021年にかけて4回参加しましたが、全部規制時期だったため会社帰りに在廊しに寄るとかができませんでした。
ノーマルな来場者を呼び込むには若干ハードルが高い
写真展ではありますが、あくまで飲食店内に飾ってあるというスタイルのため、
・来場者も1オーダーが必須となる。
・コンカフェというクローズド的な場所に入る必要がある。
・混雑具合にもよるが、席が空いていなければ写真を丁寧に見ることは難しい。
もしあなたが家族、恋人、友人、同僚等でポトレ界隈に毒されていない一般人を呼ぼうとした場合、上記の趣旨は予め言っておいた方がいいでしょう(基本的には一緒に行くか在廊日に呼ぶ方がいいでしょう)。
単独で来てもらった場合、往復2時間以上かけて来てもらったのに単にカレーを食べに来ただけ、という結果に終わってしまうかもしれないので。
総じて言うと、ビスコでの展示は「写真展ライク」な面がある、ということです。
あくまで飲食店がベースです。「ギャラリー&カフェ」ではなく「カフェ&ギャラリー」なのです。
“写真展ですがちょっと特殊”ということを意識しておきましょう。
ということで、初めての出展に「マシュマロ撮影会企画写真展」も検討されてはいかがでしょうか?
最後にビスコで出展したときの作品を紹介。エリアBが多い笑
〆