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大理石骨病の骨髄移植とは

前回は息子の大理石骨病がどのような病気か細かく書きました。今回はその根本的な治療としての骨髄移植について書きたいと思います。また、前回同様、素人の書いた内容なので詳しくは骨髄バンクなどのホームページを確認して頂くのがいいと思います。


大理石骨病の骨髄移植とは
骨髄移植と聞くと白血病の治療として認識されている方が多いと思います。血液のガン以外で骨髄移植を行う場合というのは稀だそうです。大理石骨病自体が非常に珍しい病気の中でさらに骨髄移植を行っているケースは日本で数件になってくるので、この病院なら一番経験がある!とか、そういったデータの蓄積が一切ありません。ヨーロッパの研究チームの古いガイドラインが信頼できる最も詳しいデータであり、どの病院もそのデータを頼りに骨髄移植に取り組むしかないのが現状です。骨髄内が物理的に狭い状態であることは以前書きましたが、そのために骨髄移植しても骨髄内に定着しにくい環境になっています。さらに骨髄内が狭くなっていくことは進行するため、遅くなればなるほど生着しにくく、骨髄移植は急がなくてはいけないものになります。
一口に骨髄移植と書いてしまったのですが、現在検討している息子の治療には3種類の方法があります。
1つ目、骨髄バンクのドナーから提供を受けた骨髄移植
2つ目、臍帯血による移植
3つ目、両親から採取した骨髄移植
この3種類です。
詳しくお話するためには白血球の型であるHLAが関係してきます。

骨髄移植をしたら、血液型が変わった。
といった話を聞いたことがありませんか?
これは、血液型は赤血球の型を表したものだから起こる現象です。骨髄移植に必要なのは白血球の型です。そのため血液型が違っても白血球の型が一致していれば、ドナーから提供を受けることが可能です。この3種類の方法ですが、それぞれメリットデメリットがあり、HLAの型の一致度が関係してきます。


家族からの骨髄提供の難しさ
HLAについては遺伝子の話も関係します。私は高校のときに生物でなく地学を取っていたので、(主人は物理だったそうです)遺伝子の話が分かりづらくて困りました。図とかで説明すればいいかもしれないのですが、もっと詳しく理解したい方は骨髄バンクなどのホームページを見ていただくといいかもしれません。HLAは8種類の数値の組み合わせを型として表したものです。その8個の数値は両親から4個ずつ受け継いで、HLAの型となります。つまり親から骨髄液の提供を受けると基本的には2分の1の一致度ということになります。両親がたまたま同じ数値を持ち合わせていてうまく半分以上一致する可能性というのは、かなり難しいということが分かります。骨髄移植するのは可能な限りHLAの型が一致しているもの、8個中8個、8個中7個合っているのが好ましいです。もしも息子に年上の兄姉がいたとすると、本来は兄姉から骨髄の提供を受けるのが一番型が一致している可能性が高くなります。しかし息子は第一子ですし、私は妊娠中で骨髄の提供は産後1年半まで行うことが出来ません。唯一の頼みの主人の型は2分の1の一致でした。私たち夫婦は最初、祖父母やおばなど親族から提供は受けられないのか?と考えたのですが、両親でも基本的に2分の1の一致であり、直接遺伝子を受け継いでいる訳では無い血縁者と型が半分以上一致している可能性は極めて低いです。そのため、調べるのは両親といれば兄弟のみです。
妊娠中で骨髄移植の提供者になり得ないというのは、精神的に辛いものがあります。息子の病気を治せるのなら悪魔に魂でも売りたいのですが、それも出来ないどころか骨髄移植の検査すら出来ないのか!という気持ちになります。今では落ち着いて、母親として自分の身体も大事にしなくてはと考えることが出来ています。


3種類の骨髄移植のメリットデメリット
選択肢として3種類あるとしましたが、それぞれのメリットデメリットがあります。骨髄移植というものは、簡単に言うと息子の骨髄内(の免疫)を一度カラに近い状態にした上で、新しい骨髄液を入れて定着させるものです。しかし、身体には免疫細胞がたくさんいます。他人の細胞は免疫細胞からすると敵とみなされます。骨髄移植をすると、まず身体に骨髄液を入れてから自分の免疫が新しい細胞を攻撃して起こる炎症である生着不全の可能性があります。さらに、骨髄内の環境が置き換わってから新しい免疫が細胞を攻撃して起こる炎症のGVHDの可能性もあります。大理石骨病では生着不全が起こりやすいという危惧があります。これら身体に定着する際の懸念事項を踏まえて3種類の提供方法を検討する必要があります。

1つ目、骨髄バンクのドナーから提供を受けた骨髄移植(HLAが8個中7個一致している)
この3つの選択肢の中で最有力候補として検討しています。というのもやはり型がなるべく、たくさん一致している骨髄移植の方が生着不全、GVHDともに起こりにくいとされているからです。ただ、実生活のあるドナーの方からボランティアで骨髄提供を受けるのには検査や日程調整など様々なハードルがあることも事実です。

2つ目、臍帯血による移植
厳密には骨髄移植とは異なりますが、聞きなれない言葉ですよね。臍帯血とは赤ちゃんが生まれてきた時に一緒に出てくるへその緒と胎盤の中にある血液のことです。この血液、お母さんのものではなく赤ちゃんの血液になります。産まれたての若くて元気な細胞が豊富に含まれているために、骨髄液同様の働きが得られるというものです。臍帯血を処分する病院もありますが、臍帯血バンクには多くの臍帯血が保管されており、治療のためにその中からお医者さんが選ぶことができます。これもHLAの型が8個中7個一致しているものを選択可能で、臍帯血バンクの保管からチョイスするだけなので、待ちがないところが強みです。ただ、生着不全を起こしやすいため出来れば骨髄提供を待ちたいところです。

3つ目、両親から採取した骨髄移植
我が家の場合、主人は8個中4個しか型が一致していないのでGVHDが心配です。肉親の骨髄液のため骨髄内に定着しやすいものではあるそうです。成功率としては8個中7個一致している臍帯血と同じくらいと考えられています。ただ、もしも骨髄移植が上手く定着しなかった時にもう一度骨髄提供を行う要員、血液中の成分が不足して定着が難しい際の成分献血要員として控えている必要があります。

これらのメリットデメリットを考えて進める必要が出てきます。もしも息子の身体に障害の兆候が現れはじめてしまったら、一刻も早く骨髄移植に進む必要性があります。でもうまく骨髄環境が入れ替わってくれなければ意味がありません。


骨髄移植が身体に与える影響
骨髄移植自体は輸血のような処置で終わります。ただ骨髄内に他人の骨髄液を受け入れる環境にする前処置というものは、抗がん剤など使って免疫の働きを抑えることです。また、GVHDが起きた場合も免疫が低下しますし、身体が拒否反応を起こしている状態のため深刻な合併症や感染症を引き起こす可能性があります。体力のある大人の骨髄移植でも、身体が深刻な状況にさらされる確率は低くありません。ましてやあまり前例のない大理石骨病であり、骨髄が病気で狭くなっている2歳児です。とても難しいものになります。大理石骨病特有の懸念事項として、高カルシウム血しょうになるリスクがあります。移植が成功したことでカルシウムが高くなり、身体に影響を及ぼす可能性があるというものです。既に破骨細胞が働かない状態でカチカチの骨に対してカルシウムが高くなると、過剰になってしまうというものです。
あまり気にしないようにしているのですが、骨髄移植が成功した上でも将来的に低身長、不妊症のリスクがあります。前回の大理石骨病についてのページでも書きましたが、現在息子は他の子と変わらない様子で元気に遊んでいます。骨髄移植という身体に負担のかかる治療を本当にするのか信じられず、その治療がむしろ身体の健康でいられる時間を縮めてしまうのではないか、突然不安に襲われます。大理石骨病が進んでいけば出てきてしまう障害が現れればもう不可逆なものだし、いずれは健康でいられない未来が待っているので、骨髄移植することは是が非でもお願いするのは正しいことと分かってはいます。ただ笑顔で遊んでいる息子を見ていると突然襲ってくるジレンマに悩む瞬間とどうしても戦うことになります。



骨髄移植のドナーはどのように決まるのか
余談ですが、HLAの型には日本人に多めなタイプなど探しやすさも個人差があるそうです。例えばハーフの方だと日本の骨髄バンクから探すのは難易度が高いようです。息子は8個中8個一致している方はおらず、8個中7個一致している方もさほど人数の多い方では無かったようです。夫婦でオリジナリティ出しちゃって申し訳ない。
さて骨髄ドナーの選出ですが、骨髄バンクへ病院から依頼してドナーの選定が進んでいきます。20歳から54歳の登録している該当のドナーの方にお手紙が届き、血液検査に応じることの出来る方の反応を待ちます。この時点でお仕事が忙しい方や妊娠中・産後の方は候補から外れていくようになります。最寄りの対応病院で血液検査された方はさらに家族の同意を得てドナーに選出されるのを待ちます。ドナーに選ばれると骨髄提供に耐えうる健康状態であるかの検査(これはおそらく1日がかり)を経て、入院が必要となる骨髄移植へ進むことが出来ます。骨髄提供はドナーの方に実際の生活やお仕事がある中、応じて頂くものなので、どうしても骨髄移植のスケジュールは読めないものになります。骨髄を提供する処置というのはうつ伏せで麻酔をかけた状態になり、腰のところから注射で数ヶ所から骨髄液を引き抜くものです。それは麻酔をかけるのでもちろんリスクのあるものです。骨髄を提供して頂く様々な負担を思うと頭が上がりませんし、うまく骨髄移植まで運んでいくかは祈るしかないものです。今のところ、今年2020年の12月ころに骨髄移植が出来るといいなと考えてながら動いています。


主人が受けた検査について
私が妊娠中なこともあり、主人はドナーになる可能性もあり、血液のバックアップとしても治療のキーパーソンです。ただ、骨髄移植を行う上で家系的に心配な疾患があるかどうか調べる必要がありました。健康診断などで引っかかったことは無いのですが、どうしてもドナーになる場合調べておきたいものという事でした。検査入院について1泊2日くらいかなーと思っていたら、2泊3日の想像よりヘビーな検査でした。最悪心臓が止まる可能性もある、体にも負担のある内容と知って夫婦でビビりました。しかも、私は里帰り出産のために実家にいる状態、主人は息子のセカンドオピニオンのため遠方の病院に出向く用事のなかスケジュールを縫って単身、検査入院に挑むこととなりました。幸い何も問題なく、息子の治療のバックアップが出来そうでした。検査後の主人は腰が辛そうで、身体も青アザがあちこちに。私も出産を控えていますし、まさかこんな家族全員入院を経験する1年になるとは驚きでした。

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