ルーツしまねインタビュー#2上田航平さん Part.2
Q島根で学生時代を過ごして、大学院で初めて島根県を出たと思うのですが、大学院進学を決めた理由や、今どのような研究をしているのか聞きたいです。
大学院に進学した理由は2つあります。
1つ目は、島根大学でお世話になっていた高田先生のもとでもっと学びたいという気持ちがあったからです。その背景を話すと、僕は島根大学法文学部の学生で高田先生は島根大学生物自然科学部というところの教授でした。まちづくりに近い活動をしていたのが、この生物自然科学部で、2年生の夏からずっと高田先生の元でたくさん学ばせてもらっていました。しかし、学部が違うため直接的な指導は受けてきませんでした。でも自分の好きな興味分野を学ぶことは楽しいと思っていましたし、もともと島根大学に入ったのもまちづくりの勉強をしたいと思って島根大学に入学を決めたはずなのに全くできていないなというもどかしさもあったので、高田先生のもとでさらに学びたいという思いが強くなっていきました。
もう一つは、すごいフィールドステーションや五感で感じる雲南ツアー、UCCなどの活動を通して地域にでて活動することはこれまでやってきたけど、それをきちんと学術的に、理論的に落とし込むことが大学生時代にできていませんでした。地域の課題解決や、地域の現場で起こっていることと学術的に言われていることを結びつけることが自分の強みにもなると思い大学院に進学することを決意しました。
大学院に入ってからは、初めて自分のできなさを痛感した1年半でした。自分は井の中の蛙でした。島根にいたときは、活動しただけでちやほやされていたけど、大学院に進学をしてみて、研究して論文を書くことが大学院生としての役割の中、問いを立てることや課題設定、文章を書くことが苦手で、なぜ大学院にいるのだということを感じていました。島根という何も後ろ盾がない状況で自分は何も勝負できないということに気づきました。島根だったら島根出身で、雲南出身でという話が通じることばかりだけど、神戸に来てから、島根での話をしても「で?お前何できるの?」ということに繋がり自分の弱さに気付かされました。島根にいるだけでは気づけなかったことがたくさんあって、どこにでも飛び込んでいくことも大事なのだと考え、自分を見つめるきっかけになりました。
研究では、Uターンのプロセスの研究をしています。人がUターンするときの意思決定がどのような要因でどのようなプロセスを経ているのだろうかということを明らかにしていきたいと思っています。あとは、地域活動といわれる自治会とか、僕たちがこれまでやってきたことの活動がどのような役割があるのだろうかということにとても関心があります。もちろん地域を持続させていく上で必要なことではあるのだけど、それだけではないと思っています。地域活動がどのような役割を持つのか、また、Uターンの人が孤立しやすいといったネガティブUターンの人が地域に馴染んでいくとか気持ちが前向きになっていく過程で、地域活動が機能しているのではないかという仮設を立ててそれをインタビューを通して明らかにしていこうとしています。
Q農学研究科とどういう繋がりがあるんですか?
それ、よく聞かれる質問です。農学研究科の中にも3つ専攻があります。その中でも自分は食料共生システム学専攻の食料環境経済学というコースに所属しています。人が減る中で今ある地域の仕組みをどう変えて持続させていくのかといった政策的な部分を社会学的アプローチを使って探究するコースで、農学部だけど、やっていることは経済、経営とかに近いですね。
Q今後、社会人になって島根やルーツ島根とどうかかわりたいのか、またやってみたいことがあれば教えてください。
今、島根の若者にとってルーツしまねというコミュニティがあることはとても幸せなことで、学生とのつながりや仕事に発展するつながりとか、いつか自分が島根に帰るときに頼りたいコミュニティなのではないかと考えています。もちろん情報と人とのつながりがルーツしまねにあると思っていて、いつか島根に帰るときにコミュニティもゼロで、人との繋がりもゼロでという状態って島根に帰って活動するのに一歩勇気がいりますよね。でも、自分は今の状態に満足していて、社会人経験を経てから島根に帰ってやりたいと思うのはすんなりできると思います。それは、きっとルーツしまねというコミュニティがあったから、島根で働くことに魅力を感じて働いている人もいれば、ルーツ島根のおかげで生まれた人とのつながりを自分がもっている状態だから、帰りやすくしてくれているものだと感じています。しかし、まだ島根にすぐ帰るという意思決定はしていないので、徐々に帰るタイミングでこの繋がりがあったことへのありがたみが分かってくるのだと思っています。だからルーツしまねでこういうことをしたいというのはあまりないのだけど、強いて言うならば後輩たちの手助けとか、就活の面で困っている人がいればルーツしまねというコミュニティを活かして学生の手助けをしていきたいと考えています。
自分の生まれ育った県にそのようなつながりがうまれはじめているということはとても幸せですよね。
島根出身でなくても、自分のつながりから島根やルーツしまねに関わることも良いと考えています。だからこそ、まずは地元の人が地元同士でつながることが必要で、島根県内各市町村の境目をなくすという意味でも、ルーツしまねは人とのつながりを途絶えさせないという意味でもうまく活用できるコミュニティになるのではないかと思っています。社会人になって自分がやりたいとおもったことを、好きなタイミングでこのルーツしまねを活かして何かアクションを起こすことも良いと思います。
最後まで、読んでくださりありがとうございました。