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保守と右翼の差異
近現代史実を考察しての保守立ち位置を時系列に纏めたもので実に参考にになる。戦後は保守にとって暗黒時代と解釈して良い。私的感想としては90年代に渡部昇一や小林よしのりの著作で保守なるものに傾倒したが、保守に拉致問題以降に関心、保守言論勢力が全くの立ち位置がなく、発言権がメディアよって封殺されている現状は全く無理解であった。政権与党の自民党がウイングを左翼リベラルまで拡げて堕落していった。大勲位でさえ保守でもない仮面を被った人物。そして現代・・・まだまだ仮面をかぶった似非保守言論人がおり、夜明けは遠いと感じたが、それは左翼も同じかも知れない。保守自由主義者を自認するものには最良の書籍。
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論考と論説の一貫性や正当性を一切無視し、現実的対応と論理よりも感情と情緒に基づいて行動する存在として、著者はネトウヨを描いている。現在、米大統領選挙の結果を巡って、ネット上でとんでもないデマと言説が氾濫流布されている状態。聞くに耐えない誹謗中傷、味方か敵かと云う荒唐無稽な感情と情緒に基づく稚拙な二項対立論。蠢く陰謀論そうか、あれがネトウヨか。著者の体験を交えた似非保守派及び右翼とネトウヨ批判は、「論理矛盾を的確に突き実に興味深い」ものがある。
戦前の憲法学者である佐々木惣一氏は「国体とは皇室と国民の紐帯である」と述べたという。これこそが「保守」の原点であり、いわゆる「君臣共治」という思想、このことが全く理解できない人が保守業界にも多い。一貫した言説か否かで判断するのではなく、感情に基に場当たり的な劣等感とコンプレックスから何らかのターゲットを絞り罵声を浴びせる、情緒的な攻撃をするのが右翼とネトウヨということになると、そこからは何ら生産性もない。現在のネット社会に於ける氾濫情報は自力で情報収集し、分析する「自力救済」の時代に入ったことを自覚して、今後は行動していく必要があります。