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北朝鮮に備える軍事学 黒井文太郎 著

2006年末に書かれた著書ではあるが、2024年現在のロシアウクライナ戦争に参戦した北朝鮮を考察する上でとても参考になる。
結論から言えば、世界有数の超極貧国ならず者国なのにも関わらず、しかも外国まで派兵し極めて軍事予算を膨大に国家予算を割いているのに内実は脆弱で貧相であろうか?
国家と云うに値しない権威主義体制の不成者で反社会的犯罪集団である。
国民の兵士の生命を捨て駒にして二の次にする恐るべき恐怖独裁統治であろう。人権の概念はそもそも無いのだ。

故金正日の生前北朝鮮の核攻撃に関して著者は、「平時あるいは有事の初期的段階では、現状のままでも十分に抑止力が効いており、破滅と滅亡、体制の崩壊を充分承知であるから絶対に使用されない、朝鮮半島有事の最終局面、あるいは国内の騒擾に際しては、決死の覚悟捨て身で核兵器が使用される可能性が僅かにだが可能性はある。ゼロでは無い
万が一その場合、凡ゆる方法論でも抑止不能ということになる」従って、「北朝鮮の核攻撃を完全に抑止するために日本も核武装すべきだという主張にはほとんど根拠も合理性がない」単に感情に基づく言説で余りに幼稚稚拙な論に値しない与太話の類。北朝鮮の核兵器について日本の自衛隊が軍事的に準備できることはあまりないという大前提のもとで、可能性として残る‘北朝鮮の脅威’について軍事面のみからQ&A方式で説明している。北朝鮮核問題についての重要な論点は以下のよう。よく言われる‘北朝鮮の脅威’の具体的な内容とは日本にとっては、将来的に北朝鮮がミサイル搭載可能な小型化された核弾頭を開発すること(※北朝鮮当局がすでにミサイル搭載核弾頭を開発したことを仄めかす発言をしているが、恐らくこの時点では陽動を意図した毎度の法螺吹きだろう)最重要課題は核兵器燃料としてのプルトニウムの大量産態勢に入ることであり、許容できないレッドラインだが、現在ある脅威としてはサリンなどの化学兵器搭載のミサイル搭載である。しかし現有バージョンのミサイル防衛システム(新型艦対空ミサイルSM−3・地対空ミサイルシステムPAC−3)は両者とも、特にPAC−3はミサイル迎撃の有効性は疑わしい。それを補填するにはミサイルが発射される前に先制攻撃する「敵基地攻撃能力の確保」である。朝鮮有事が始まっていれば米軍に任せでいいが、開戦前でしかし開戦がほとんど秒読み状態という場合(そんな可能性はまずゼロとしつつ)、日本が有効的に対抗できるお薦めはトマホーク巡航ミサイルの配備で(現有のF−2支援戦闘機では単独で北朝鮮上空に潜入して目標を爆撃することには性能上不安)、地下基地の破壊は無理だが、日本の核武装とかMDとかより安価で実効性があるとしている。では100%の安全を確保するにはどうしたらいいのか…「北朝鮮が核弾頭小型化に成功する前に金正日政権を倒す以外にない」。もう遅いかもしれない。いずれにしても金一族専制独裁体制のうちは核問題は絶対に解決できないと考えるのが現実的なのだろう。他にも興味深い話が載っている。
それは18年前の事実だが、自衛隊の武器技術とインテリジェンス能力の飛躍的向上、特にヒュータントとシギントに分野に関してだ。
懸念されるのは2009年〜2012年の悪夢の旧民主党政権の時期である。この3年間は尖閣諸島でのお粗末振りも考えて日本の防衛力は後退もしくは停滞したのではないかと思う。全く無能な内閣に呆れ果てはいるが、実務者や現場レベルを推測すると歯痒い思いがしただろう。当時の総理大臣、外相、防衛相の顔を思い出しただけでも虫唾が走り悪寒がする。ともあれ北朝鮮軍には核兵器による恫喝しか生き延びる術は無く。1世紀前の脆弱な軍隊としか評価しようがない。安倍晋三政権によって遅ればせながらも周辺事態法が整備され自衛隊予算も増額されたことを評価に値する。

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