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大統領になりそこなった男たち

既に16年前に刊行された書籍であるが本年2024年の秋11月に行なわれるアメリカ大統領選挙を考察する上で非常に興味深い感がある一冊だろう。殆ど大統領にめでたく当選した大統領の祥伝は数多存在する。しかしなり損なってしたった人の名前すら知らない人、特に日本人は数多いのでは無いか?
改めて何故故にアメリカ大統領選挙
しかも日本国籍の投票権を持ち合わせていない日本人にも関わらず、関心を持ち尚且つ考察する事が有用なのか?それは日本及び日本人にとって世界唯一の同盟関係国であると共に、世界最大の超大国であるからだ。好嫌問わずこの自由を愛する国の運命に左右されることは論を待たない事実である。

ネタバレにならない程度に、特筆すべき人物は第六章のロバート.タフトと第七章のダグラスマッカーサーである。タフトは知る人ぞ知る保守自由主義者にとって鑑、若しくは尊敬する存在である。父を元大統領に持つ毛並みの良さと揺らぎなき保守派としての確固たる強い信念には、近年に於いて、バリーゴールドウォーターやニュートギングリッチ同様に脱帽する。2人とも大統領にはなれない、なり損ねた人物でもある。
(※1964年の大統領選でゴールドウォーターは現職のジョンソンに大敗してなり損ねた)
七章のダグラスマッカーサーについては日本人にとっての最大のアンビバレンスでその人では無いだろうか。太平洋戦争で完膚なきまで日本を敗戦させ。日本を占領統治し朝鮮戦争で失脚させられた経歴を持つ。
正に愛憎と賛否が極端に分かれる人物の代表選手であろう。
私は彼が大統領を目指していたとは知らなかったし、意外な感覚もあった。戦争の英雄が国家指導者になる例は多いがなり損なってしまった例はあまり知らないのは私だけだろうか?

この書籍を通して共和党と民主党の差異と歴史的変遷が読み取れると共に、現在の政治的分断が比較的容易に理解できる。#江崎道朗 先生の言葉をお借りすれば、アメリカ合衆国は一枚岩では無い。様々な思想思考があり、多様な民族人種が存在する。
その多くを包摂、糾合した所産が二大政党と結果なのだろう。
単純な日本的発想では割り切れないのが唯一の同盟国であり、日本のロールモデルとして影響が強いアメリカ、特にその最高政治指導者を決する選挙が俄然面白くもある。

さてさて世界最大の政治イベントである今秋に確実に行われるアメリカ大統領選はどの様な結末が待ち受けているのか?
注視せざるを得ない。

#大統領になりそこなった男たち
#内藤陽介
中公新書リクレ 刊行
2008年

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