竹が身近にある生活から考える、豊かな暮らしの定義
こんにちは。しまなみ映画祭実行委員会です。
前回はワークショップの概要と、竹の選び方についてお伝えしました(詳細はこちらから)。今回は切り出した竹の加工方法について紹介します。
竹と共にあった人の暮らし
日本では、昔から竹は身近にあった材料のひとつ。
垣根やすだれの材料にもなるし、かごや箒としても使われるし、箸にもなります。農業や漁業にも使われることを考えると、本当にいろいろな使い道があると実感できます。
そんな歴史があるからこそ、美しさと耐久性を同時にあげられる加工技術も発達しています。茶道具を思い出してみれば、納得がいくのではないでしょうか。
竹テントでもその技術を活かします。
私たちは「油抜き」についてワークショップで勉強しました。
竹が個性を放つとき
油抜きとは、竹に含まれている油分を取り除く作業のこと。
何もしないままだと、竹の表面の油分が、竹自体が持っている水分の蒸発を妨げてしまい、腐ってしまったり、特定のカビや昆虫の餌となったりする可能性があるのです。こうした理由から火で炙って、耐久性を高める知恵を先人たちは日々の生活の中で実践していました。
油抜きは表面の汚れをとり、艶を出すことができるため、竹を美しい建材に変化させることができます。竹藪に生えているときの竹は自然の一部でしたが、このあたりから竹は人の生活を豊かにするものになります。
しかも、それぞれが個性を放つようになり、ひとつひとつが違った表情を見せるようになるのです。
体いっぱいで楽しめる島の暮らし
こうして作業をしていると、あとから竹の一部が昆虫に食べられていることが発覚したりします。
通常であれば、捨てなければいけなくなるのですが、そんな竹は最高のおもちゃになります。ワークショップをやっていた場所で遊んでいた子どもたちは、いつの間にか自分たちで弓矢をつくっていました。
竹とんぼや竹ぽっくり、水鉄砲も、すべて手作り。その姿を目の当たりにすると、島でのびのびと好きなことをして暮らせるのは、子どもにとっては最高な環境なのだろうなと考えざるをえません。
島で暮らす魅力は、こういうところにもあるのです。
ないものは自分たちでつくる
竹の汎用性は非常に高く、その加工方法を知っておくことは、自然と寄り添いながら暮らしていく上で必要なスキルとも言えるかもしれません。竹は簡単に手に入り、生活を豊かにしてくれる資源のひとつです。
違う視点で考えると、竹テントづくりのワークショップでは、ないものは自分たちでつくるという感覚を養うことができます。それは子どもにとっても、大人にとっても大切な考え方です。
しまなみ映画祭ではこうして得た気づきを反映して、会場を設計したいと思っています。
次の記事では、実際にテントを組み立てる作業について紹介します。
続きはこちらから
Photography | Hayate Tanaka
Text | Shotaro Kojima
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