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人の心を動かす方法。CINEMA CARAVANから学んだこと

こんにちは。しまなみ映画祭実行委員会です。

しまなみ映画祭は、2010年から神奈川県逗子市で「逗子海岸映画祭」をつくり続けている「CINEMA CARAVAN」にアドバイザーとして関わっていただき、運営の核となる考え方を日々アップデートしています。

今日はCINEMA CARAVANとのコミュニケーションを通して得た気づきを紹介したいと思います。

自由に自己表現できる場所を

Photo by @__fromapril

逗子の海はとても穏やか。小さな湾になっていて、大きな波が立つことなく、心地良い風が海から流れ込んできます。太平洋なのに太平洋っぽくありません。むしろ、瀬戸内海に似ています。

ここで暮らしている人は、落ち着いた海の近くで育っているからなのか、とてもおおらか。街にもゆったりとした時間が流れていて、どんな人でも受け入れてくれるような懐の深さを感じます。

そんな逗子で、CINEMA CARAVANに関わるメンバーは、地元に根差した映画館「CINEMA AMIGO」や、街の魅力を伝える宿泊施設「AMIGO INN」をオープンさせるなど、逗子海岸映画祭以外にも活動を続けてきました。全てに共通しているのは、自己表現の一環だということ。

CINEMA CARAVAN 主宰の志津野雷さんは、こう語ります。

「僕らが活動を始めた頃は、逗子は何もない場所だと思われていたんだよね。鎌倉も葉山も徒歩圏内なのに、逗子のことは誰も気にかけない。でも、だからこそ、自分たちが『こういうライフスタイルを送りたいよね』と考えたことを社会に提案するには、ちょうどいい場所だったんだよ」。

海の家で生まれたカルチャー

Photo by @emi_comorebi

CINEMA CARAVANの活動を知った後に気になるのは「なぜやっているのか?」ということ。これは一言では語りきれませんし、言語化するのは非常に難しいですが、鎌倉や逗子、葉山などに根付く海の家を起点としたビーチカルチャーは、大きく影響を与えているひとつになっている気がします。

パッと頭に思い浮かぶ海の家といえば、開放的な空間でビールが飲めて、軽食を楽しめるというもの。一方で、鎌倉や逗子、葉山などの海の家は、アーティストたちの自己表現の場所。大人と子どもが一緒に音楽を聴き、ダンスを踊り、みんなで楽しい時間を共有できる楽園のような場所です。

それに刺激を受けた次世代が自己表現をするようになり、その次の世代も同じように自己表現をします。CINEMA AMIGO館長の長島源さんは「ここら辺の海の家では、森戸海岸のOASISや一色海岸のBlue Moonが有名。演奏するアーティストのジャンルは、レゲエになったり、ヒップホップになったり、ジャズになったり、世代によって変わるんだよね」と教えてくれました。

ちなみに、CINEMA CARAVANが生まれるきっかけになったのは、わずか2年弱の営業期間だったけれど伝説的な存在になっている、横須賀市秋谷にあったカルチャースポット「SOLAYA」。ここでの出会いがあったからこそ、多種多様な人たちが自己表現できるイベントや場所が逗子に生まれることに繋がったそうです。

2種類の動機のバランスをとる

Photo by @__fromapril

今の時代、たくさんの人のモチベーションには他人が関わっています。どれだけ有名になれるのか、どれだけ影響力を持てるのか、どれだけ稼げるのか……といった具合に。

ただ、CINEMA CARAVANや、彼らが浸ってきたビーチカルチャーを知ると、自分の内側から湧き上がってくる感情を大切にし、それを何かしらのかたちに落とし込むことも必要なんだなと感じられます。もっと言えば、自分と向き合い、やりたいことを考え、行動に移す必要があるのでしょう。

「外側からのエネルギー」と「内側からのエネルギー」──。前者に傾きすぎたら、何をやりたいのかは伝わりません。後者に傾きすぎたら、特定の人しか楽しめません。一番難しいことは承知の上ですが、ちょうどいいバランスを取ることが大切なのでしょう。

想像力を豊かにする

Photo by @__fromapril

しまなみ映画祭実行委員会は、こうしたことをCINEMA CARAVANとのコミュニケーションを通しながら学び、自分たちの知識や知見として蓄積し、日々アップデートを続けています。

きっと、もっと参加者の人たちのことを考えなければいけないし、もっと自分たちのやりたいことを話し合わなければいけません。もっと視野を広げて、しまなみエリアにとってしまなみ映画祭が存在する意味をディスカッションしなければいけません。

やったことがないことだとしても、今以上に想像力を豊かにすれば、見えてくるものがあるはずだし、必要なものが分かるようになるはずです。

そうすれば、CINEMA CARAVANのように、たくさんの人の心を動かすイベントをつくることができるかもしれません。

Photography | Hayate Tanaka
Text | Shotaro Kojima 

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