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【ウマ娘】継承564の発動位置とデバフ有効率への影響について考える
有馬記念チャンミの大逃げ対策として、ルムマでは久々にスタミナデバッファーが散見されている。超今さらではあるのだが、本記事ではデバフに欠かせない継承564について調査・考察してみよう。
◽️概要
継承564の発動位置が本当に「レース後半ランダム」なのか、手作業で200回観測・調査した
観測結果を受けて、発動位置がデバフ有効率にどのように影響しているかを考察してみた
観測・調査結果は概ね予想通りであったので、本記事のメインは2.の考察部分になる。
◽継承564の発動位置調査
水着ゴルシ本人のスキル説明文には「レース後半どっかで」と投げやりに書かれている。
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普通に考えれば、レース区間13/24〜24/24の間でランダム位置発動だろう。しかし、水着ゴルシが実装された後、実際に発動位置を調べた人の中には「ゴール近くでの発動頻度が多い(偏っている)」と報告していた人もいたのだ。当時は「ホンマかいな?」と懐疑的だったが、今になってふと思い出し、自分で調べてみようと思ったのがこの記事の発端だ。
調査方法
コースは東京2400m(練習モード、日本ダービー)
継承564を積んだチアネイチャを200回走らせて発動位置を観測
発動位置の判別は、コース脇200mごとに立っているハロン棒(ゴールまでの残り距離を示す標識)を目印とする
ハロン棒とハロン棒の間(200m)を1つの計測区間として区切り、残り1200mからゴールまでの6つの区間のどこで何回発動したかをカウントする
<走ってもらったチアネイチャ>
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<東京コースのハロン棒(残り1200m以降)>
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観測するうえで留意すべきは、「全レース、チアネイチャが1着でゴールすること」という条件下で行うことだ。仮に「他のウマ娘が1着でゴールし、チアネイチャが大きく遅れてゴールする」ような場合、チアネイチャのゴールシーンまでレース映像が映されず、画面が切り替わってしまう。そうなると「本当は継承564がゴール直前に発動していたのに、発動シーンが映っておらず不発と区別がつかない」という事態も発生する。それでは正確な調査にはならない。
チアネイチャ(デバッファー)を1着にするには、練習の登録画面で1番目に低ランクのウマ娘を配置すればOK。そうするとモブも合わせて低ランクになる。
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調査結果
200回の観測・調査結果は下記の通り。
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さて、上記の発動回数比較グラフは結構デコボコだが「この程度なら確率的に偏りなくランダムだ」と言えるのだろうか? こういうときは統計学の出番だ。いや、何も難しいことはない。考え方は下記のようになる。
200mごとに区切った6つのレース区間を、それぞれサイコロの6種類の出目とみなす
このサイコロの出目が偏っておらずランダムに出ていると言えるかを検定する
手法は「カイ二乗検定を用いた適合検定」になるが、面倒な計算は自動でやってくれるWebサイトがあるのでそれを利用しよう。
サイコロの正確性 - 高精度計算サイト - Keisan - CASIO
観測結果を入力したところ、「正確なサイコロといえるでしょう」との判定結果が出た。
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今回の観測母数200回において継承564の発動位置は「レース後半ランダム」だと言ってよいだろう。
なお、不発回数14回(7%)だが、このネイチャの賢さ1300における不発確率の理論値は6.9%なので、ほぼ合致している。
◽ 継承564の発動位置とデバフ有効率への影響
ここからが本題。
継承564がレース後半ランダム発動なことが確認できたが、全ての発動区間でデバフ(独占・慧眼・ささやきなど)が有効なわけではない。ご存知の通り、ゴール近くで発動しても1着のウマ娘は既にゴールしており無駄撃ちになる。では、どの程度ゴール近くまでなら有効発動になるのだろうか?
事例研究
ひとつの事例として、2024年10月のチャンミCLASSIC(東京2000m)決勝レースを取り上げよう。このレースでは今回の調査でも走ってもらったチアネイチャがデバッファーとして出走し、独占+564慧眼+ためらいを発動。結果、相手2着に3/4バ身差という際どい着差で勝利をもぎとった。
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564慧眼の発動位置は残り400m付近。ここから先は全バ速度スキル出しまくりなので、仮にネイチャが残り200m付近で継承564を発動しても無効だっただろう。
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デバッファーが相手エースからどの程度離されてゴールするかは、レース距離とデバッファーの仕上がりに依存する。しかし、ざっくりとみて「ゴール近くの23/24〜24/24区間の発動は無効」と思ってよいのではないか。
注:レース距離ごとの23/24〜24/24区間距離(ゴールまでの残距離)
2000mレース:残り167m以降
2400mレース:残り200m以降
2500mレース:残り208m以降
3200mレース:残り267m以降
確率的には
継承564不発確率=6.9%
23/24〜24/24区間発動確率=(1-0.069)/6=15.5%
合計22.4%が継承564トリガーのデバフ無効確率となる。
経験上、長距離レースでは300m以上引き離されることもザラなので、無効確率は更に高くなるはずだ。
2割以上の確率で無効になるのは結構デカい。無効確率を少しでも下げるにはデバッファーをできるだけ引き離されないように育成することが必要になる。事例に出したネイチャは意図的に白加速スキル「ワンチャンス」「がむしゃら」を積んでいる。決勝でもワンチャンスを発動して最低限の加速をしていた。
よく「デバッファーは賢ささえ高ければ他のステはテキトーでいいよ」という意見も目にするが、十分なスタミナと可能な限り高いパワーもあった方が良いというのが私見だ。パワーの高いデバッファーが味方の後方脚質エースと一緒に走る場合、道中でエースの邪魔をするリスクもあるのだが、やはりデバッファーが「後方遥か遠くポツン」になることは避けたい。(ただし、逃げデバッファーの場合はこの限りではない)
◽ 2024年有馬チャンミ用のデバッファー考察
速度デバッファーの場合
あまり悩む必要がない。独占力持ちのウマ娘を育成して出すだけだ。言うまでもなく慧眼は積んじゃダメ。
<中山2500mにおける効果量>
ためらい:0.15m/s × 3秒 × 2.5=1.125m(0.45バ身)
独占力:0.25m/s × 3秒 × 2.5=1.875m(0.75バ身)
合計1.2バ身の効果量がある。
慧眼を併用できる中距離ほどの威力は無いが、それでも一定の効果は期待できる。
スタミナデバッファーの場合
魅惑のささやきは必須として、八方にらみ、スタミナグリードの取捨選択を考える必要がある。個人的には八方にらみは不要、スタミナグリード採用はアリだと考えている。
・八方にらみが不要と考える理由
ささやき+八方両発動で最大効果を狙うわけだが、両発動するためには「八方を通常発動して当てる」必要がある。長距離レースではこれが難しい。特に今回のような大逃げ・逃げが流行りそうな環境においてはなおさらだ。八方を採用するということは、継承564で八方が誤爆する(=ささやきが出ない)リスクもある。そもそも「視野範囲に居る相手にしか当たらない」八方はどこで発動しても逃げには当たらない可能性が高いだろう。ならば、継承564で確実にささやき(無限遠まで届く)を当てる方が良いと思う。
・スタミナグリード採用はアリだと考える理由
スタミナグリードは効果量が小さい(体力1%消耗)こと、継承564で誤爆してささやきが出ないリスクがあることから、非推奨とする人も多い。しかし、個人的には採用してもいいんじゃないか…と思っている。その理由はグリードの発動区間だ。
下記「スタミナデバッファーのスキル発動区間模式図」を見て欲しい。
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スタミナグリードは中盤発動スキル。レース区間5/24〜16/24の12区間で発動する。継承564発動区間との被りは図中Aの4区間しかない。継承564で誤爆するリスクはさほど大きくないのだ。これならば、ささやき+グリードの両発動も十分期待できるのではないだろうか?
・デバッファーの脚質について
八方にらみを使いたいなら差しになるが、八方を捨てるなら今回は先行が良いかも? と考えている。理由は「逃げからできるだけ離されないため」だ。既に述べた通り、ささやきがいくら無限遠に届くと言っても「発動した時はもう相手エースがゴールしていました」では意味が無い。なんとか上図の区間番号21あたりまでは発動しても無効にならないようにしたい。区間番号23以降の発動はどう頑張っても無効だろう。
そうなるとデバッファーキャラの選択も考える必要がある。ささやき持ち3キャラの先行適正はネイチャB、嫁マヤノA、マミークリークA。道中で少しでも良い走行モード乱数を引きたいなら嫁マヤノかマミークリークが候補になる。もっとも、グリードの発動順位条件が5-9位なので、逃げ先行が少ないとグリードが出ない。こればかりは実際の環境状況を見て臨機応変に変えていくしかない。
…いや待てよ。白加速スキルを考えると先行には適当なものが無い。例えば真っ向勝負は1-5位条件だし、発動タイミングも怪しい。その点、差しなら最速加速としてがむしゃらが使えるし、順位条件も4-9位で問題無し。何よりスタミナデバッファー育成御用達のSRルドルフから簡単に取得できる。
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やはり先行より差しの方が最終直線で前に居る確率が高い気がしてきた。うーむ🤔
実際にデバッファーを使おうと思っている人は、事前にルムマで脚質を変えて感触を確かめてみた方がよいだろう。
→実際にルムマで試してみました。次の記事にて解説します。
【ウマ娘】2024有馬チャンミ・Wスタミナデバフをルムマで実践してみた