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【ウマ娘】デバフグラスを追込で走らせると継承564の有効発動率が下がる
今回の記事はデバフ育成における確率の細っかい話。
有効発動率が下がるといってもわずかな差なので、カジュアルにデバフを使うプレーヤーは気にしなくていいお話です。
さて、速度デバッファーの主流は、グラスワンダーやチアネイチャなどを追込で使うことだと思う。自分もこれまではチアネイチャを追込で使ってきた(後ろから応援してくれる感じが好みだという理由で)。しかし、色々考えてみると最適キャラはルドルフなのでは? と思うようになった。本記事ではその理由を説明し、実際に比較検証を行う。
◽️デバッファーは先頭から離されるほど継承564の有効発動率が下がる
まず、前提として継承564の有効発動率について押さえておこう。
過去記事のおさらいなので、既読の方はこの章を読み飛ばしてもらってもかまわない。
過去記事
【ウマ娘】継承564の発動位置とデバフ有効率への影響について考える
継承564の発動位置は「レース後半ランダム」だ。これは過去記事で検証済。ランダムということはゴール近くで発動することもあるわけで、その場合は1位のウマ娘は既にゴールしており無意味な発動(無効発動)になる。つまり、賢さによって決まるスキル発動確率よりも有効発動率は下がるということ。では、どの程度下がるのか?
ウマ娘のレース区間は24分割されて内部処理されているが、ザックリ23/24〜24/24の2区間は無効発動だろうと推測した。例えば2400mのコース(1区間=100m)なら、ゴール手前200m以降で継承564が発動しても1位のウマ娘は既にゴールしているだろうという推測になる。
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上記推測を前提として計算した場合、継承564が発動する12区間(13/24〜24/24)のうち2区間=2/12=1/6が無効となる。これに賢さ1300のスキル不発確率6.9%を加味すると、
賢さ1300の継承564不発確率=6.9%
無効発動確率=(1-0.069)/6=15.5%
合計22.4%が継承564トリガーのデバフ無効確率となる。
「23/24〜24/24の2区間は無効発動だろう」という推測はかなり乱暴で、実際にはレース距離の長短、脚質分布、デバッファーのステータスと脚質などによって変化するのだが、無効となる区間を縮める(=デバッファーが先頭に近づく)のは、ステータス上限が上がり所持スキルも増えた現代ウマ娘においては相当難しい。
いずれにせよ、確実に言えることはデバッファーが先頭から離されるほど無効確率は高くなるということ。仮にデバッファーが先頭から大きく離されて21/24〜24/24の4区間が無効な場合、無効発動確率=(1-0.069)/3=31.0%まで跳ね上がる。ダートで適正の低いデバッファーを出した場合はこのような状況もよく見られる。
以下、本記事では「離されることで有効発動率にどの程度影響が出るか」を数字で可視化することを目的として検証していく。
◽追込適正が低いことの影響検証
デバッファーとして最もよく使われるグラスワンダーの追込適正は初期Fと低い。これは道中の位置取りにどの程度影響するのだろうか?
脚質適正は、ウマ娘が走行する際の「基準目標速度」や、ポジションキープ区間で「ペースアップモードへ移行する確率」「下り坂モードへ移行する確率」など、多くの走行場面に影響している。脚質適正による補正係数は、A=1.0を基準として、F=0.2という低い値だ。
補足:脚質適正による補正係数は下記の通り
S=1.1 A=1.0 B=0.85 C=0.75 D=0.6 E=0.4 F=0.2 G=0.1
出典:ウマ娘スクール「ポジションキープ」ページより
経験上、脚質適正がD以下だと目に見えて道中で遅れていくと感じる。
これを実際に検証してみよう。
検証の考え方
真っ当な検証方法は「継承564の有効発動率を目視でカウントして比較」すべきだが、現実的には大きな困難がある。恐らく数パーセント以下の小さな差になるはずだが、このレベルの有効/無効の二択事象について信頼できる確率精度を観測するためには、数百回程度の検証回数では全く不十分。確率揺らぎで1、2回振れが出ただけで結果に大きく影響してしまう。それを回避するには数千〜1万回程度の検証回数が必要になるだろうが、非現実的だ。
そこで、比較基準となるウマ娘(追込A)を用意し、グラス(追込F)がどの程度遅れてゴールするかを100戦観測し、「100戦での平均着差」を求める方法を採用した。着差は二択ではないので、100戦でも正規分布に近いばらつきになることが期待できる。
そして着差は、計算で継承564の有効発動率に推定変換することができる。
例えば、2400mレースにおける継承564発動区間は1200m。仮に平均着差が120mなら両者の有効発動率の差は10%になると推定できる。着差1mあたりの有効発動率差=1/1200という計算だ。実際には賢さ1300でスキル不発確率6.9%という要素もあるため、
着差1mあたりの有効発動率差=(1-0.069)/1200
と推定変換できる。
検証方法
ステータスが同等なルドルフ(中距離A・追込A)と、グラス(中距離A・追込F)を用意する。両者は継承564以外のスキルを取得しない
上記2人をルムマからスカウトした強そうなウマ娘7人(詳細後述)と練習モードで走らせる(脚質はグラス、ルドルフ共に追込)
コースは阪神2400、冬、雨、重馬場、調子普通(2025年1月チャンミ条件)
グラスとルドルフの着差(※)を記録し、100戦での平均着差を求める
※10バ身を超える「大差」の場合は「11バ身」と記録。「アタマ、クビ、ハナ差」は一律で0.1バ身と記録。総じて差が小さくなる方向に調整した。
<比較基準個体・ルドルフ(A)>
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<検証個体・グラス(A)>
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<ルムマからスカウトした7人のウマ娘達>
脚質分布は先行2、差し3、追込2
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グラス(A)100戦検証結果
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100回のうち、ルドルフ(A)が92回先着し、平均着差は3.32バ身だった。
ステがほぼ同等でも、追込適正が低いと明らかに着差が開くことが判る。
この着差から推定される継承564有効発動率の差は0.64%
「なんだよ、長々読んできたのに1%未満とかショボすぎるだろ。金返せ!」
まぁまぁお客さん、まだ検証序盤なので落ち着いてくださいな🥸
◽パワーが低いことの影響検証
そもそも、デバッファーを追込にする理由は何だったかというと、「後方脚質の自軍エースの邪魔にならないように」というものだった。同じ理由で、「デバッファーはパワーを控えめにすべきだ」という意見も根強い。ここ1か月以内に見たYouTubeのコメント欄でも、複数の人がそのような意見を述べていた。では、パワーが低いとどの程度基準個体のルドルフから離されるのか? 100戦検証してみた。
<検証個体・グラス(B)>
パワーを755に抑えた個体。スピード、スタミナ、根性はグラス(A)より若干盛ってある。ちなみにルドルフ(A)はスタミナ温存表示が出るが、グラス(A)(B)は出ない。
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グラス(B)100戦検証結果
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100回のうち、ルドルフ(A)が99回先着し、平均着差は7.20バ身だった。
追込適正が低い+パワーが低いことで、グラス(A)の倍以上着差が開いている。
この着差から推定される継承564有効発動率の差は1.40%
1%は超えたが、大多数のプレーヤーが「どっちでもいいよ😩」と言いそうな差ではある。
◽実戦用試作ルドルフとの比較検証
ここまでは継承564以外のスキルを取得していなかったが、実戦向けの追込ルドルフを試作してみたので比較検証してみよう。育成方法・サポカデッキなどは後の章で説明する。
<検証個体・ルドルフ(B)>
追込S、白速度スキルも複数あり、白加速スキルのワンチャンスも積んでいる。しかし、スピードパワー賢さが若干低い。
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ルドルフ(B)100戦検証結果
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100回のうち、ルドルフ(B)が98回先着し、平均着差は-4.29バ身だった。着差がマイナスなのはルドルフ(A)を全ての基準にしているため。
この着差から推定される継承564有効発動率の差は-0.83%
ルドルフ(B)はステータスでは(A)より劣っているが、スキル差でバ身を稼いでいる。留意すべきは、ルドルフ(B)が持っている追込ためらいが影響していること。0.43バ身=1.08mほど割り引いて結果を見る必要があるだろう。1.08m割り引いた場合、着差から推定される継承564有効発動率の差は-0.75%になる。
なお、ルドルフ(B)が(A)よりも前にいることがほとんど(98/100回)だったので、独占・慧眼の影響は無視してよいと思われる。
◽検証結果まとめ
ここまで検証してきたルドルフ(A)(B)、グラス(A)(B)の差をまとめると下記図になる。
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追込Fでパワーの低いグラス(B)と、実戦を意識したルドルフ(B)との差が最大で、平均着差が11.06バ身。継承564有効発動率の差が2.14%
この差をどう捉えるかはプレーヤー次第だが、チャンミ予選80戦で約1.7回の差が出る程度…と考えると、まぁ普通の人は「どっちでもいいよ😩」になるよなぁ😅
ただし、今回の検証個体よりスタミナが低かったり、ずいぶん前に作ったデバッファーを使い回していて全体的にステが低かったりすると更に確率差は大きくなっていくので、一度作り直した方がいいとは思う。
◽追込である必要性
そもそもデバッファーを追込にする必要はあるのだろうか?
グラスを追込で使うから着差=確率差問題が生じるわけで、差しで使うならこの問題は解消する。実際ルムマでも差しデバフグラスに遭遇することは多い。
デバッファーが「後方脚質の自軍エースの邪魔にならないように」という神話はずいぶん前に言われ始めたものだが、今回検証をしている中で、現代ウマ娘でそれを気にするのは時代遅れになっているように感じた。だって、デバッファーはウマ好みも中盤金スキルも持っていないんよ? それで追込アヤベさんの邪魔をするのは相当難しい。もちろん邪魔することが全く無いとは言えないが、気にする人には一度練習で回してみることをお勧めしたい。「パワーは控えめに」神話も同様だ。
結論として、速度デバッファーは差しグラスでおk…かと思ったが、一つだけ追込にするアドバンテージがあった。それは追込専用のデバフスキル「まなざし」が使えること。終盤視野範囲に相手が居ることが条件なので有効確率は低いが、終盤直後に発動すればアヤベさんにはそこそこ当たる…こともある(詳細後述)。
◽追込デバッファーはルドルフが最適と思う理由
独占力を持つウマ娘は5人。
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このうち、追込適正Cがルドルフとチョコフラッシュ、Dがチアネイチャ。グラスとタキオンがF。チョコフラッシュも追込Cなのだが、マイルFなので「レースに多く出てSPを稼ぐ」ということがやや難しい。その点、ルドルフはマイルCなので追込をAに上げつつマイルレースにも出ることができる。実際、検証で使用した試作ルドルフ(B)は追込SかつマイルS、レースに23戦出てSPを稼いだ。
しかし、そんなルドルフを速度デバッファーとして使う人は少ない。理由は明白で、サポカでけん制4種を取得可能なSRルドルフ、もしくはSSRルドルフを使用できないためだろう。でもね…
$${\bf\Large 中距離速度デバッファーにけん制積むの}$$
$${\hspace{60pt} \bf\Large そろそろやめてもよくないですか?}$$
デバフ育成講座のような動画を拝見すると、「速度デバッファーにもけん制を積むと、相手が位置取り調整出せなくなってお得かも」みたいに語られているのだが、「けん制1発で位置取り調整が出なくなるような相手って、速度デバフ当ててもなお僅差で負けるような強敵なの?」と思ってしまう。そもそも位置取り調整1回の効果量は約0.2バ身。2400mにおいては3秒白速度スキルの半分程度の効果しか無い。個人的には中距離以下の速度デバッファーにはけん制を積まなくてもいいと思っている。
「おいおい、あんたの作った試作ルドルフ、けん制焦り積んどるやないかい! 教えはどうなってんだ 教えは!😡」
いやその、けん制焦りは因子継承で拾っただけなのでオマケです。オマケ。ホントダヨ。
さて、「追込デバッファーはルドルフが最適と思う理由」は以上だが、次点としてチアネイチャも挙げておこう。追込D・マイルCなのでほぼルドルフと同じ適正が得られること。もうひとつは自前で白加速のワンチャンスを持っていることが大きい。ルドルフにワンチャンスを積むのは結構苦労するのだ。
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◽試作ルドルフの育成を軽く説明
因子は両親自前。デバフ専用因子(レンタル)を使って数回因子周回したので、それなりにデバフ因子を継承するようになった。片親をルビーにしている理由は、ほんのちょっぴりデバフ効果のある継承「至上であれ」を入れるため。
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育成サポカデッキは下記の通り。スキルヒント最難関はスタミナウオッカ(配布)からワンチャンスを拾うこと。追込ためらい取得元としてSSRヒシアマが無い場合、代替としてSRパワーヒシアマもしくは桐生院がおすすめ。SR根性エアグルーヴよりステは整えやすいと思う(青因子はパワー盛りで)。また、デバフスキルを揃えるのが最優先だが、白速度スキルも可能な限り拾いたい。
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◽阪神2400で、まなざしって当てられる?
練習やルムマで試したところ、有効打(勝ち負けを争う相手に当てる)になるのはなかなか厳しい印象😑
脚質分布で逃げ先行が2人以上居るとバ群が伸びて当てるのは難しい。本記事の検証は先行ドンナ2人だが、100戦して勝利したアヤベさんに当たったと思われたのは3回のみだった。一方、ルムマでもちょくちょく見かける逃げ先行不在の場合はバ群が詰まって当てやすくなる。と言っても10レースに1回当てられるかどうか、というレベルなので、どんぶり勘定で5〜10%程度といったところだろうか(まなざしが当たったかどうかを画面上で判別するのは非常に難しいです)。
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「まなざしがその程度しか有効じゃないなら、デバッファーをわざわざ追込にしなくてもいいじゃんね⭐︎」
それはソウデスネ🫠
でも、わずかでも可能性があるなら詰め込みたい! という気持ちが大事なんだよ兄貴! 決勝で相手の強ツヨアヤベさんにまなざしを当ててハナ差で勝利を掴め!