
His name is Prince, the One and Only:小さい大きな思い出
プリンスと聞いてまず誰が思い浮かびますか?
英国のプリンスチャールズ、ディズニーのプリンスチャーミング、星の王子様のリトルプリンス。アル中さんは高見沢さんが永遠のプリンスですよね。
そしてミュージシャン、Prince Roger Nelson
その多彩な音楽・エンターテインメント性で”プリンス”というジャンルを確立し、ありとあらゆる試みの先頭を切り常に第一線にいたのはまさに王子の貫禄でした。
たまに出るテレビではそのシャイな一面やジョークいっぱいの話しぶりが人間味に溢れ、舞台の上での王者の風格とはかけ離れていて、いい人っぽさが見る人を魅了したスター。
今日はプリンスとの思い出を文字にしたいと思います。
90年代の始め、私がミネソタ州のミネアポリスで大学生活を始めたときはそこがプリンスの故郷であることも知らず、彼の音楽にも特に興味はなかったのですが、じきに友達に連れられ映画パープルレインに出てきたライブハウスやプリンスが経営していたクラブ Glam Slam に出かけるようになりました。
そのクラブの非常出口で初めて生のプリンスに会います。
真冬の雪が残る道で滑らないよう、クラブに出かけるときは靴の替えを持って行っていた私は、非常出口でハイヒールからスノーブーツに履き替えている途中でした。
バン、と勢いよく開けた裏口から入ってきたのはプリンスとボディーガードが二人。
プリンスは上半身裸にモコモコしたコートを羽織った姿で、多分私が外からの冷たい風に身をすくめたのを見たのだと思いますが(もしくは自分が裸なので)、大きな声でボディーガードに
“ドアを閉めてくれよ”と怒鳴りました。
私はそれにビックリするやら、プリンスが至近距離にいることに戸惑うやらで、申し訳なさそうにちょっと会釈をしました。
実際、あ〜こんな所にいてごめんなさい、と思っていました。
その時プリンスが私を見て何か言おうとしていたのを遮って、私の口から出たのはアホ丸出しの
“Are you Prince?”でした。見ればわかるのに、ホントに恥ずかしい。
プリンスの答えは
“Yes, I am. You must be a princess”でした。
そんなしゃれた返しに、 “Uh, not really”と答えた私はやっぱりアホです。
“雪が降ってるから靴紐をしっかり結んでね、プリンセス”
ふふふ、と笑ってバイバイおやすみと手を振って階段を登っていく姿をぼーっとしてみていたのですが、ハッと我に返って
なんで握手してもらわんかったのかー(悔涙)
とガックリ落ち込んだのでした。こんなこと一生に一度しかないというのに。
が、そのひと月後もう一度プリンスに声をかけられます。
プリンスはツアーに出る前に必ず自身のクラブでリハーサル、と称してライブをしていました。地元の人へのプレゼント、もちろん無料です。
小さな100−150人入るかどうかのスペースで、小さな舞台にダンサーもバンドもフルで入れて2時間ほど歌います。
宣伝もせず知っている人だけ入れる完全なるシークレットライブなのですが、私はラッキーなことに知り合いの知り合い(笑)に教えてもらって、3−4回見ることができました。
そのライブでプリンスが私を見つけて、“あ!プリンセスが来てるじゃないか!”と指差してくれました。そして “靴は何履いてるの?見せて!”と笑われ、ヒールを脱いで高く差し出したのを覚えています。
他のお客さんは、なんじゃこれ、と思っていたでしょうが私はそのやりとりが一生忘れられない思い出になりました。プリンスって気さくだな〜、と感動でした。
どのライブでも髪型がかっこいいけどどこで切ったのか、とかそのドレスの色は今日の俺のジャケットとお揃いだな、とかお客さんに声をかけて、楽しそうに笑うプリンスは心の底から音楽が、ライブが好きな少年のようでした。
ツンとしてるイメージがあり、傲慢だとの噂を聞くこともあったのですが、この個人的な体験に彼の暖かい人間性を感じてプリンスが大好きになったのです。
そしてなぜこんなことを思い出したかというと、今年になってまたアルフィーにハマり彼らのラジオ番組で高見沢さんが、
“ミュージシャンに大切なのは音楽性と人間性ですよ”と熱弁していたからです。
音楽は全く系統の違う2者ですが、私がプリンスとアルフィーの共通点はここだな、と思っています。
他に比べようのない唯一無二の音楽性・エンターテイメント性
人間としての優しさとユーモア溢れる人間性
まさに The One and Only
音楽だけでも素晴らしいと分かるけれども、好きになれるけれども、それに人間性が上乗せされると相乗効果が半端ないとアルフィーを聴きながらプリンスをしみじみ思う夜更けでした。
シマフィー(名前、プリフィーにすればよかった)
アコースティックの "Cream": 観客とのやりとりが楽しいです
R&R Hall of Fame:ジョージハリソン追悼のセッション
”Let's Go Crazy”
"My name is Prince" (冒頭のニュースは実際に起こった暴動ではありません:Official Youtube site)