海外在住の友人にお願いしてはいけないこと
大人になってから、日本に住んだのはたったの1年4ヶ月で、それ以外は海外だった私。(*現在はアメリカ東海岸在住です)
日本に帰るときはフェイスブックやなんかで繋がっている友人(と呼ぶには会ってない時間が長すぎる)たちに ”お願い!” と言われることがたまーーーーーーにある。独身の頃のお願いは ”今度帰ってくる時アレ買ってきて!”系のお願いがほとんどで、お土産を兼ねて喜んで買って帰っていたが、結婚してからちょっと様子が変わった。
たった1年4ヶ月の日本在住時代に知り合った方や、昔の友人、夫の職場の上司などが、そして更には彼らの家族や友人(私たちには赤の他人)が、私たちが結婚してアメリカに移住する(夫にとっては帰国)となった時に必ずお願いしてきたのが
”うちの子をホームステイさせてちょうだい”
正直に言う。これはいくら仲良くしている友人でも、ましてや単なる知り合いなどには、絶対にしてはいけないお願いである。
誤解のないよう宣言するが、私は帰国時に誰かのお宅にお世話になったことは一度もない。Give and Takeなんだから、というわけではなく、本当に突然に”アメリカ住んでる”というだけでほぼ他人にも言われたことがある。
こちらは相手の本気度がわからないので ”はいはいどーぞ” と流すわけにもいかず、真剣に受け止めて ”うちには余分なベッドルームはない”とか”田舎だから遊びに行くところはない”やらの納得してもらえないかもしれない理由をドキドキしながら述べねばならない。
アメリカの治安や、子供がいることの不便さや、病院や学校の仕組みの違いなんかを長々と説明しないといけないこともある。そしてそのどれもが、大抵の人には ”大丈夫、それくらい!” や ”それも異文化体験!” などと受け取られてしまい、また違う理由を述べねばならない。家では日本語なので英語の勉強にもならない、と言っても”じゃあその間だけ英語に切り替えて”と謎の要求をされたこともある。
相手はどなたも、たった2−3週間だし、知ってる人だから安心だし、日本語も通じるし、お金も持ってるっぽいし、どうぞうちの娘や息子の国際人としての一歩をあなたの家で始めさせてくれ、そんなんアメリカに住んでるんだから簡単でしょう
と思っているのだろう。
本当に、本当に、本当に、迷惑極まりない。そしてこのお願いをされると私は相手から距離をおいてしまう。断って申し訳ない気持ちとまた今度お願いされたらどうしようという恐怖から連絡を取らないようになってしまう。こちらが ”ごめんね” と謝り、向こうがちょっと怒っているのも理不尽だと感じる。
もう10年以上前の帰国時にかつて仲良くしていた友人夫婦と夕食を食べた。
お腹がいっぱいになり思い出話をしていい気分の時に、父親の方が、彼らの真ん中に座る10歳の娘をぽんぽんと叩き ”ほら、アヤちゃんからシマねえさんに言いなさい” と囁いた。
もうこの時点で私のいい気分はさーーっと吹っ飛んでいる。胃が重くなり、鳩尾のあたりがぞわぞわとしてくる。ひょっとしてアレをお願いされるのではないか、その恐怖で喉が乾く。
アヤちゃんはニコニコしながら
”私、いとこのA君とB君と3人でアメリカでホームステイしたいの。夏休みは8月30日までだから、1ヶ月だけだけど、お願いします!”
とハキハキ告げ、両親(友人)もニコニコしながら ”よろしくねー” などと言う。
まさか私が断るなんぞ思ってもなかったのか3人とも(いとこの2人も)もう行くつもりになってるようだった。
私はしどろもどろになりながら、夏休みも仕事があること、うちは田舎なので徒歩で行ける遊び場はなく、子供だけで家にいるのは違法なこと、何かあったら責任も持てないこと、などを懸命に笑顔で説明した。可愛いアヤちゃんに直接 ”来んな” と告げるのは本当に胸が痛むが、本心は ”来んなよ” しかない。
アヤちゃんと両親は断られて傷ついた表情で帰っていった。嫌な別れだった。
子供がいない夫婦が、子供がいないことを前提に生活している家に、子供を(大人でも)迎えるのは相当な勇気と準備がいる。
怪我をしたら、ホームシックになったら、迷子になったら、退屈だったら
そんなことを想像するだけでストレスマックスで眠れない。
友人夫婦とアヤちゃんに会ったのはそれが最後だった。私は断ったことを心苦しく思っていたし、正直彼からそんな図々しく大胆なお願いが来るなんて思ってもなかったので驚いたのもあった。赤の他人なら”ダメです”とあっさり断ることが出来るけど、仲の良い友人だからこそ断ると言う行為自体にモヤモヤしたものがまといつく。また会おう、なんてもう思えなかった。
ホームステイを快く受け入れるご家庭もたくさんあるだろうし、うちなんかと違い子供が来てくれて嬉しいというご夫婦も多いと思う。
だけどこのお願いは”関係をギクシャクさせる・終わりにするかもしれない”という大きいリスクを伴う。言う方は簡単だが、受ける方は悩みに悩みに悩むのだ。
なのでホームステイさせたいなーと思っている親御さんは、ご友人から ”うちにホームステイさせたらどう?” と聞かれるまで辛抱強く待って欲しい。
そして聞かれなかったら、ホームステイはちゃんと企業を通して体験させてあげてくれ。
シマフィー
追記2:この記事への考察と反省をアップしました。
追記:なんかたくさん反応あるなぁ、って思ってたらツイッターさんでRTしてご自分の意見や体験をシェアしてくださってる方が多数いらっしゃる!ありがとうございます。
共感していただいてうれしいのと、ホームステイに限らず”は?”というお願いをされる方も多いんだな、と驚きと!
そして”うちはウェルカム”とのご意見もあり、本当にこれは個々の事情と関係と受ける側もWINになれるか、がカギなのだなと思います。我が家ではWINの要素は全くないのでお金をいただいても無理な話です。
思春期のホームステイや留学は後の思考や視点、学びや感性に繋がる貴重な体験です。実績のあるエージェントさんや受け入れ体制が整っている現地の学校などもたくさんありますので、可能な範囲で是非送り出してあげてください!