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5年経ったので連絡しよう
10年前にタイ南部に生徒を20名連れて修学旅行に行った。
その時に現地のコーディネーター会社にいたタイ人の男の子と仲良くなった。彼は生徒たちに一生懸命にジャングルの自然や海の生き物や、南国の植物なんかを紹介していたが、意図せずそんな説明に一番食いついたのは引率者の私だった。
大きなヤモリやら
美しいトカゲ!
こんなに可愛い動物がいるのに生徒たちは ふーーん と興味がなさそうでガイドがかわいそうなほどだった。暑い国になれていない生徒たちの興味はもっぱら冷たいおやつや、海で日焼けをすることや、かっこいいTシャツを探すことで、山の中のハイキングに行ってもマングローブの海岸で腹ばいになって魚を見ても、あまり没頭はしなかったのだ。
めちゃめちゃ没頭してガイドを質問責めにしたのは私だった(引率はあと3人いたので私が仕事をしていなくてもセーフ笑)。
帰国して1−2回はFacebookでやり取りをしたが、彼はすぐに映画の仕事(現地コーディネーター)が入りぱったりと連絡が途絶えてしまった。
それから5年たったある日、私はふと思い立って彼にメッセージをしてみた。手元にある写真のデザートの名前が知りたかったからである。とは言ったが、結局は何か口実を探していたのかなとも思う。探そうと思えばネットの力で名前もレシピも見つかるだろうから、やっぱり私は彼は元気にしてるのか、私を覚えててくれているのかを確かめたかったのだろうと思う。
彼はすぐに返事をした。”久しぶりだ!5年ぶりじゃないかな?”と驚き、最近の写真をたくさん送ってくれた。コーディネーターの仕事を辞めて山奥の寺院でのんびり暮らしていると言った。自由人で自然人の彼にはバンコクのアパートよりもずっとふさわしい環境だった。
デザートの名前とレシピも探してくれたので、早速作って写真を送った。材料の関係で全く同じものではなかったけれど、彼は ”食べてみたいな〜” と優しい返事をくれた。そしてまた私たちの会話はそこでどちらからともなく途切れた。
共通の話題はタイでの思い出しかない。そしてその思い出の数は限られている。私たちの会話は思い出と近況報告が終わるともう続かなかった。タイの山道を3時間も歩いた時や海にプカプカ浮かんでいた時はいろんな話をたくさんしたのに、距離も時間も離れすぎてなにを話していいのか見当もつかなかった。なのでまた自然消滅した。
今日メッセンジャーの整理をしていて、彼と最後にやり取りをしたのがちょうど5年前の今週だったことがわかり、急に懐かしくなった。それと同時に一緒に食べたごはんやみんなで行った海や見つけた動物なんかの思い出が一気に蘇った。
メッセージを送ってみよう。また ”5年ぶり” と同じ会話から始まるだろう。元気にしているのかな、覚えててくれてるのかな、今はどこにいるのかな。また近況報告をして思い出話をして2−3日会話が続くかもしれない。
べったりくっついている友人ではないけれど、こんな風に5年ごとの再会もいいのかなと思っている。
シマフィー