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”Last Stage" で学ぶ Cry For〜の意味

1987年に発売されたアルフィーのOne Night Dreamsというライブアルバムに収録された”Last Stage” は多忙なミュージシャンの苦しい胸の内を赤裸々に歌った名曲です。歌詞を読むとわかるのですが、まるで高見沢さんがご自身の葛藤や後悔を歌っているようで、当時も大人気だった彼らのファンは驚き悲しまれたのが想像できます。(歌詞はこちらからどうぞ)

2015年のライブではアンサーソング的存在の “もうひとつのLast Stage” として、この辛く切ない歌詞を明るく愛溢れる歌詞に換えたものが披露されました。

どちらのバージョンでも Loneliness I cry for everyone という英語の一節があります。この一節を聞いた・読んだ時、みなさんはどんなイメージと日本語訳が頭に浮かびましたか?

I cry for everyone---そのまま捉えれば ”私はみんなのために泣く”・・・雰囲気はなんとなくわかるような、わからないような。

このシンプルな英文は色々な解釈が出来るので、果たしてどれがこの曲の全体像にぴったりとハマるのか、を見ていきます!

Cry for +人――”everyone”とすると映像がぼんやりしてしまうので、ひとまずYOU に置き換えて説明していきます。*文中は”高見沢さん”としていますが、ご本人は”これは自分”とはおっしゃっていません。なので説明上の”イメージ映像”と受け止めてください。


1. Cry for you--君のため、善かれと思って泣く

中学生で習う前置詞の for  ですが、動詞+ for(〜のため) の解釈はいくつかあります。一つは “あなたのためにする”=あなたの利益のために、あなたを思って、何かをする

例えば I did it for you と言えば 君のためを思って(善かれと思って)やった、になります。他の似たような動詞でも同じです:cleaned for you(君のために綺麗にした)、made for you(君のために作った)、どちらも行動したのは私、恩恵を受けたのはあなた、です。

この解釈だと、I cry for you、善かれと思ってあなたのために泣く・・・なんだか高見沢さんが嘘泣きしてるみたいですね。違うな。

2. Cry for you--君の代わりに泣く

もう一つの解釈は、あなたの代わりに何かをする、です。例えば本当はあなたがするはずだった事を私が代わりにやっておいたよ、という時に使います。

他の動詞だとわかりやすいでしょうか。I ate it for you (あなたが食べたくなかったものを代わりに食べておいた)、I answered for you (代わりに答えておいた)、I played for you(あなたの代わりに試合に出た)などです。

これも辛そうな高見沢さんを見て、本当に泣くべきなのは私たちなのに、高見沢さんが “みんなの代わりに泣いておいたよ“ だと変ですね。

3. Cry for you--君が可哀想だ、と泣く

もう一つは あなたに何か酷いことが起きて、それを可哀想に思って泣く、同情・共感の涙です。これはありえるかもしれませんので前後の歌詞を見てみます。

♪黄昏の街に夕日が沈む、まるで燃え尽きた愛のように Loneliness I cry for everyone 涙あふれて
♪祈るように星空を見つめてる 充たされぬ心をいたわるように Loneliness I cry for everyone 
♪掴んだ夢となくした愛が 心の中で揺れている Loneliness I cry for everyone 

どれも前の部分は“自分”のことのようで、誰がeveryoneなのかが不明です。憶測ですが、このeveryoneは本人の周りのみんな、つまりスタッフや友人や恋人やファンなどの出会った全ての人、なのではないでしょうか。

そう解釈すると “みんな”が可哀想で高見沢さんが泣く、というのもしっくりこない気がします。

4. Cry for you--え?泣いてないの?

最後の cry for の訳はちょっと違うものです。Cry には涙を流して泣く以外に“叫ぶ・叫んで呼ぶ” という意味もあります。Cry for +人になると その人を求めて(泣き) 叫ぶ の意味になります。

Cry for you =“君を求めて叫ぶ”、赤ちゃんが cry for her mom =“お母さんが恋しくて泣き叫ぶ” となり、

I cry for everyone だと独りぼっちの高見沢さんが “みんな、どこーー?”と、泣き叫んでいる様子が見えます。誰かに救って欲しくて、みんなを探すーーこの解釈だとすぐ前にある loneliness (寂しさ・孤独)とも呼応しますね。

私はこの I cry for everyone かな、と思って曲を聴いていました。この cry =叫び は自分のための叫びーーー切なさ・後悔・悲しみ・やるせなさ・心細さ・恐怖・寂しさ・・・そんな感情に包まれた高見沢さんの苦しみが伝わってくる Loneliness I cry for everyone です。この意味だと2015年のアンサーソングにもリンクしますね *注:いちファンの考察です、優しい目で見守ってくださいw

この部分は I cry for YOU でも意味は成り立つのに everyone としたのは何か大きな意味があったのでしょうか。周りの誰もが ”私もその一人かも” という可能性があり、一人に縛らないことによってより多くの人の胸に届きいつまでも残る曲になったのだとも考えられますし、答えてくれるのは自分を救ってくれる誰か一人でもいいので ”みんな” を呼んだ、のかもしれません(その場合も誰もが”その一人”という可能性を残していますね)。

こんな短い一文で感情を爆発させ、悲哀を描いた高見沢さん・・・さすが天才!

アルフィー・高見沢さんファンでなくても心をグッと掴まれる、素晴らしい曲です。ぜひ聞いてみてください。

シマフィー 


*アルフィーさんは公式のYoutubeがないのでファンの方がアップしている映像です。これをご覧になった後にぜひぜひサブスクなど合法な音源で聴いてみてください。

1991年の "Last Stage"(ひゃーーーーっ高見沢さん男前ーーーー)

2015年の ”もうひとつのLast Stage"(ひゃーーーー高見沢さん男前ーーー)

Spotifyを持ってる方はこちらで聴けます


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