幽霊裁判:敗訴・敗訴
小学校高学年のころ住んでいた家は大きな病院のすぐ目の前だった。
夕方薄暗くなってからは、その病院の入院棟の前の小さな道はちょっと怖いくらい静かで、まだ早い時間、6時とか7時とか、でも静まり返った古いコンクリートの大きな建物を通り過ぎる時は自然と早足になった。
ある夕方私はその道を歩いて家に帰る途中に、建物の外に立ち窓枠に手をかけて中を見ている白っぽい人間を見た。一瞬よりももっと長く見たが、怖くなって確かめることもなく走って逃げた。
確かめる、とはそれが生身の人間なのかそうで