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《変容の対象》2023年11月fine

濱地さんとは11月の最終日に3回ほどやりとりして今回の曲は終わった。
濱地さんからのテンポ設定が極端に早かったせいか、今までなんとなく慣れて、前提にしてしまっていた様式が通用しない、そんな風に感じたところから始まった。
1小節目に提示されたフレーズも短く、内部で調性も揺らぐのでどうピアノを充ててもしっくりこない。それでは、、というところで1小節目は書かず、2小節目だけ加えて返信。このような形は《変容の対象》2009年の1月と2月を想起させるものだった。2009年の1月と2月は規則上そのようにしか書けなかった頃のものだが、今回は規則上は互いに音を重ねることも許されている。だから僕は途中で音が交わる可能性も含みつつ続けることにしていた。
濱地さんからの2-3小節目の返答を見て、やはり濱地さんも今月は互いの小節に踏み込まずに進めるようだと感じた。
そのようなやりとりはしばらく続いて、12小節目のピアノではそれまでの1小節に含まれる拍を2倍にし、14/4で返信したみた。途中からサクソフォンが入るか、どうか。結局、濱地さんからは一貫してこちら側には干渉しない12-13小節目の提示があった。
13小節目はサクソフォンの動機のリフレインがある。ここの2回目でピアノを挿入する可能性も考える必要があったが、小節数が15/4に変更されていることも気になりだし、ここでピアノを入れたら多分、作品の整合性は次第に崩れていって混沌に向かいそうな気もした。(そういう方向性も悪いわけではないが。)
そのような気持ちもあり、そこからは小節内の拍数の関係が最初の小節の倍数になるように調整しながら進めた。ピアノとサクソフォンがどこかで切り替わっても、最終的には7の倍数で割り切れるような拍の関係に囲うように枠をはめていった。聴覚上それがどう作用するかまでは考えずに、あくまで構造的な均質の中に即興を導き入れるような枠で囲うことによって、そこから俯瞰できるものがありえるかもしれない、という小さな観念でしかないが。少なくとも後日、聴くための定規にすることはできるだろう。


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