剣と魔法の世界

小鳥のさえずりが聞こえる。清々しいほどに晴れた空。新緑の生い茂る原っぱ。僕はそこに寝転んでいた。
目を開けるのも苦しいほど陽の光が目に差し込む。
そのまま視界が霞み僕は2度寝をした。

この世界は度々剣と魔法の世界と称される。獣人や小人族、巨人族にエルフと多様な人種が混在している。
そしてほとんどの人は魔剣を追い求めて冒険者となるのだ。
魔剣とはこの世界に10本しか存在しない剣だ。魔剣は一振手に入れるだけで1つの概念を掌握できる、と言われている。
人々はそんな魔剣を手に入れるため、世界各地に点在するダンジョンに潜って日夜探索を進めている。
僕もその中の1人である。

きっかけは他の人と大差ない。幼少期に読んだ魔剣の英雄に憧れ冒険者の道を歩んだ。僕はそれなりに才能があったらしく、冒険者の中でもトップクラスの実力があり、ダンジョン攻略も最前線で進めていた。
そして、ダンジョン最下層100層に到達した。そこに居たのは魔剣を守る青龍だった。 
100人を超えるパーティで討伐に挑み、僕らはーーー
 「僕」は青龍を倒した。 周りには巨大な青龍の首、そしてパーティだったもの達の遺体が散乱していた。しかし、僕は遺体などには目もくれず魔剣の部屋の扉へと手をかけた。
 魔剣「夢想の剣」  その剣を前に興奮が止まらなかった。
 ゆっくりと息を整え剣を引き抜く。その瞬間思い出した。


 周りには新緑の草原が広がり、小川が流れ、満月の輝く夜空が広がっていた。
 草原には自分の死体が転がっていた。夢想の剣など死ぬ前の自分の幻想だった。いや、魔剣は実在したのだ。
村は魔物に焼かれ、日々生きるのもやっとだった僕は英雄の持つ剣を奪おうと考えたのだ。村だった場所にいる魔物の討伐依頼を受けた英雄が近くの草原で野営をしている時、闇討ちを画策するものの、当然叶わず瞬きする間に僕の胴体はふたつに断ち切られていた。 
今まで見ていたのは全て魔剣が見せた夢だった。
夢から覚めると、目の前には哀れんだ目をした英雄の顔が見えた。その存在が僕の目を開けるのが苦しくさせ、再び夢を見ようと目を閉じた。



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